13日(日)。わが家に来てから442日目を迎え、椅子の下にもぐり ”一人消防訓練”に参加しているモコタロです
地震だ! って声がしたら この下にもぐればいいんだよ
閑話休題
昨日、銀座のヤマハホールで「徳永二男、堤剛、練木繁夫による珠玉のピアノトリオ・コンサートVol.2」を聴きました プログラムは①ハイドン「ピアノ三重奏曲第39番ト長調”ジプシー・トリオ”」、②ショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番ホ短調」、③メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」です これは、メンデルスゾーンが目当てでチケットを買ったコンサートです
自席は1階K列15番、右ブロック左通路側です。会場はほぼ満席です 3人の奏者が登場し、1曲目のハイドン「ピアノ三重奏曲第39番ト長調」の演奏に入ります この曲は”ジプシー・トリオ”という愛称が付けられていますが、これは第3楽章がジプシー風音楽であることに由来します。それにしても、ハイドンはピアノ三重奏曲だけでも40曲以上書いているということですから、交響曲や弦楽四重奏曲ばかりでなく、”ピアノ三重奏曲の父”とも言えるのではないかと思います 3つの楽章から成りますが、ハイドンらしい明るく明快な音楽です。3人の呼吸はぴったりで、心地よい演奏に思わず寝入りそうになりました
2曲目はショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番ホ短調です。1944年(ショスタコーヴィチ38歳の時)の作品ですが、彼の親友で音楽評論家のソレルチンスキーの急逝を悼んで作曲されたものです
第1楽章の冒頭、チェロが演奏に入ろうとするまさにその時、会場の左サイドの席からケータイの着信音が鳴り、演奏に入れませんでした 銀座に音楽を聴きにくる人は気配りが効いた人ばかりだと思っていましたが、中には無作法な人も混じっているようです。今どきコンサート会場でケータイの着信音を鳴らすなんて時代遅れもいいとこです。そんなブームはとっくの昔に終わっています
堤氏は仕切り直しです。冒頭、チェロが、笛のような音を出す特殊な奏法であるハーモニクスで演奏し、少し遅れてヴァイオリンが低音でその音を模倣します 皮肉屋ショスタコーヴィチらしい考えで、低音楽器と高音楽器の役割を入れ替えて演奏させているわけです 普段弾きなれない奏法に取り組んだせいか、堤氏のチェロが途中で方向感を失ったようで、聴く側もひやっとしました そこはベテラン、何とか立ち直り、ヴァイオリンとピアノに助けられて曲の流れを取り戻しました
圧巻は第2楽章「アレグロ・コン・ブリオ」です。いわば”スケルツォ”楽章ですが、ここはピアノを中心とする3人のバトルです ショスタコーヴィチらしい推進力に満ちた勢いの良い音楽が展開します 第3楽章「ラルゴ」、切れ目なく演奏される第4楽章「アレグレット」に続きますが、最後は消え入るように終結します。この辺もショスタコーヴィチらしいところです
休憩後は待望のメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」です。第1楽章の冒頭はチェロから入りますが、このチェロが素晴らしい ショスタコーヴィチの冒頭のツマヅキを挽回するのに十分な豊かな演奏です 徳永のヴァイオリンと練木のピアノが加わり、まさに”黄金の三重奏”が展開します この3人の演奏を見ていると、重厚感が漂います 音楽も重厚そのものです。第2楽章を経て、第3楽章はスケルツォですが、これがメンデルスゾーンらしい曲想で、まるで妖精が飛び回っているような賑やかな音楽です そして第4楽章のアレグロ・アッサイに移りますが、活気と推進力に満ちた曲想でフィナーレを迎えます
この曲や弦楽八重奏曲などを聴くたびに「メンデルスゾーンっていいなあ」と思います。3人はアンコールに、先ほど演奏したショスタコーヴィチの第2楽章を、次にメンデルスゾーンの3楽章をもう一度演奏し、再び会場いっぱいの拍手喝さいを浴びました
室内楽は、どちらかというと若手や中堅どころの演奏を聴く機会が多く、この日のようなベテラン勢による演奏は滅多に聴く機会がないだけに貴重な体験でした