16日(水)。わが家に来てから445日目を迎え、CDラックを前に呆然としてたたずむモコタロです
えっ シューベルトのピアノ・ソナタのCDを探せって?
ピアノ・ソナタって言ったって いっぱいあるし・・・・
第一 ぼく文字が読めないし ムリムリムリ
閑話休題
昨日の夕食のメインは「牛肉の八幡巻き」です。あとはダイコン・サラダとコンソメ・玉子スープです 「牛肉の八幡巻き」(ごぼう巻き)は、牛肉のもも肉が売り切れだったのでバラ肉で代用し、料理の手順を一部間違えたため苦労しましたが、その甲斐あって子供たちの評判は上々でした
も一度、閑話休題
昨日、晴海の第一生命ホールで「福川伸陽&三浦友理枝 ホルンとピアノの万華鏡」を聴きました プログラムは①マレ「5つの古いフランスの踊り」、②ベートーヴェン「ホルン・ソナタ ヘ長調」、③酒井健治「ホルンとピアノのための”告別”」、④ショパン「バラード第3番イ長調」(ピアノ・ソロ)、⑤鈴木優人「モーツアルティアーナ」、⑥ローゼンブラット「カルメン・ファンタジー」です
ホルンの福川伸陽は日本フィルの首席奏者を経て2013年からNHK交響楽団のホルン奏者を務めています 一方、三浦友理枝は英国王立音楽院を首席で卒業、2001年「第47回マリア・カナルス国際音楽コンクールで第1位を獲得している人気のピアニストです
自席は1階8列11番、左ブロック右から2つ目です。会場は6割程度入っているでしょうか。ウィークデーの真昼間ですから、健闘していると言っても良いでしょう 1曲目はマレの「5つの古いフランスの踊り」です。マラン・マレ(1656-1728年)はフランスの作曲家ですが、太陽王ルイ14世の宮廷で活躍していた人です 「5つの古いフランスの踊り」は1.愉しいロンド、2.プロヴァンスの踊り、3.ミュゼット、4.水夫の踊り、5.バスクの踊りから成ります。踊りの音楽なので聴いていて楽しくなります。楽器も明るいホルンと音域の広いピアノとがリズム感よく奏でられ心地よく耳に響きます
2曲目はベートーヴェンの「ホルン・ソナタ ヘ長調」です。この曲はベートーヴェンが活躍していた頃に使っていたバルブの無いホルンで演奏するということで、演奏に先立って、進行役の山野雄大氏がナチュラル・ホルンを持った福川氏にインタビューしながら解説を加えました それによると、モダン楽器だと左手の指でバルブを操作するので左手が活躍するのに、ナチュラル・ホルンだと左手を固定して右手をラッパの中に出し入れして音程を調整するのに忙しいということでした 福川氏の説明によると、ナチュラル・ホルンの長さは4メートル弱とのことで、ストレートなアルペン・ホルンを巻き上げた感じだとのことでした。見た目はそれほど長い感じはしませんが、伸ばすと4メートルにもなるのですね
このソナタを生で聴くのは初めてです。しかもバルブなしでの演奏はCDを含めて初めてです 聴いている限り、極めて技巧が要る曲で、相当右手の動きに細心の注意を払いながら吹かないと正確な音程の音は出せないのではないか、と思いました 福川伸陽は三浦友理枝のしっかりしたサポートのもと、伸び伸びと正確に演奏し切りました。素晴らしい演奏でした
次の曲は酒井健治(1977年~)がこの二人の演奏家のために作曲した「ホルンとピアノのための『告別』」です。この「告別」というのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番変ホ長調「告別」の動機からインスピレーションを得て作曲したもので、悲しい音楽ではありません 聴いていると、ホルンはもちろん大変ですが、ピアノがそれ以上に忙しく超絶技巧の曲のように思いました この曲を聴いて思ったのは、三浦友理枝というピアニストは相当打鍵が強いのではないか、ということです
ここで、ホルン奏者を休ませるために三浦友理枝のソロでショパン「バラード第3番変イ長調」が演奏されました ショパンのバラードというと第1番を思い浮かべますが、この3番も良い曲です。ショパンが得意、というのも頷ける演奏でした
続いて、バッハ・コレギウム・ジャパンのオルガ二ストとしてお馴染みの鈴木優人がこの二人のために作曲した「モーツアルティアーナ ~ ホルンとピアノのための しりとり変奏曲」が演奏されました 山野氏の解説によると、モーツアルトのホルン協奏曲第1番のテーマをもとにした変奏曲で、「しりとり」というのは作曲家のアルファベット表記でしりとりをしていくように変奏を展開していく曲とのことです 最初がモーツアルトで最後がTで終わるので、次はTで始まるチャイコフスキーの曲が現れ、最後がYで終わるのでイザイ・・・・といった具合に展開していくようです
全部で16人の作曲家の曲が演奏されましたが、どこかで聴いたことがある、と思って思い出そうとしていると、もう次の曲に移ってしまうので、結局半分以上分からないまま最後のフィナーレを迎えてしまいました 正解はロビーに貼り出されました
この曲の”ミソ”は、モーツアルトのMで始まって、アマデウスのSで終わる(ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト)、それが作曲者のSUZUKI(S)MASATO(M)に結びついていて、また先頭のモーツアルトのMに戻るというところです
最後の曲はローゼンブラット(1956年~)の「カルメン・ファンタジー」です。言うまでもなくビゼーの歌劇「カルメン」から主なメロディーを取り上げた曲で、原曲はクラリネット版とのことです これをホルンで吹くというのですから相当のテクニックがないと息切れしてしまうでしょう そこは福川です。何の苦も無くカルメンの世界を表出します。さすがはN響で吹いているだけあるな、と唸ります
二人はアンコールにプーランクの「愛の小路」というチャーミングな曲を演奏してコンサートを締めくくりました 「モーツアルティアーナ」の作曲者・鈴木優人がサプライズ出演し、一言挨拶するというおまけが付いていました
休憩なしで約1時間半のコンサートが2,000円で聴ける。こんなに良心的なコンサートも珍しいでしょう 次回は来年5月とのことですが、是非聴きに行きたいと思います