人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ピアノで聴く田園交響曲」(ピアノ&解説=沢田千秋)を聴く~音楽の友ホール

2015年12月18日 07時06分12秒 | 日記

18日(金)。わが家に来てから447日目を迎え「頭隠して尻隠さず」の状態にあるモコタロです

 

          

            あなたの過去など 尻たくないの なんて歌あったな

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「すき焼き煮」を作りました。あとはレタスと大根とトマトとブロッコリのサラダと、エリンギと豆腐の味噌汁です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、神楽坂の音楽の友ホールで「ピアノで聴く田園交響曲」を聴きました これは日本ベートーヴェンクライス主催による公演でピアニストの沢田千秋さんが解説をしながら演奏をする「レクチャーコンサート」です。第1部はリスト「ベートーヴェン交響曲ピアノ・スコア」、第2部は「ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調”田園”」リストのピアノスコアによる演奏です

 

          

 

音楽の友ホールは確か20年以上前に一度行ったことがありますが、どの辺にあるのか思い出せません チラシによると地下鉄東西線「神楽坂駅」1番出口から徒歩1分とあります。実際に行ってみたら坂の上に位置していました。かつての記憶では坂の下にあったと思うのですが、人の記憶はあいまいですね 同ホールは音楽之友社の1階奥にありますが、まさか同社が引っ越ししたわけではないでしょう 

全自由席のためちょっと早めに着いたので、前から2列目のほぼど真ん中の通路側席を押さえることが出来ました 小ホールですが、会場はほぼ満席に近い状態です。ステージ中央にはヤマハのグランドピアノがスタンバイしています この会の主役・沢田千秋さんが上下黒の衣装で登場、挨拶をしてさっそくベートーヴェンの交響曲のピアノ演奏について解説を加えました

最初に沢田さんが何故交響曲のピアノ版の演奏に興味を持ったかといった話を披露し、ピアノ編曲の種類や文化について解説しました ピアノ編曲には、原曲の調性や和声構造、全体の小節数、楽曲構造などの内容を温存した「トランスクリプション」と、旋律など原曲の一部を素材として用い、自由に発展させていく「パラフレーズ」があるとのことで、リストの「ベートーヴェン交響曲ピアノスコア」は「トランスクリプション」とのことです

ピアノ編曲の全盛期とも言える19世紀は、ヨーロッパ社会が貴族中心の社会から市民社会へと大きく変化したという特徴があり、ピアノの性能も画期的に向上した時期で、演奏技術に大きな影響を及ぼしたということです そうした背景のもと、管弦楽曲などの作品をアマチュア向けに編曲した「トランスクリプション」が、家庭で音楽に触れるツールとして、現代のレコードやCDのような役割を担っていたとのことです それが20世紀に入り、オーディオ機器が普及し、インターネットを通じて音楽を視聴したりできるようになったことに伴い、録音物の代用として重宝されてきた「トランスクリプション」は、事実上役割を終えることになったということです ただ、演奏する側として、沢田さんは、一つの表現形態としての「トランスクリプション」を普及させたいと熱意を語ってました

 

          

 

そして、ベートーヴェンの第5番”運命”冒頭部分のピアノ編曲版の聴き比べに入りました。最初にフンメルの編曲版を演奏、次いでカルクブレンナーの編曲版を演奏しましたが、まったく同じです メロディーそのものを素直にピアノ用に編曲したといった感じです。次にリストの編曲版で演奏しました。これがまったく違うもので、深みが増したというか、迫力がまったく違います 沢田さんの解説によると、リストはオクターヴ低い音を加えているとのことです

その後、「リストのスゴ技10」と題して、いかにしてリストはベートーヴェンの交響曲を効果的にピアノ演奏用に編曲したかについて、第5番、第6番の演奏を加えながら解説しました 言ってみれば、交響曲は様々な音色の楽器により演奏されるわけで、それをピアノ1台でその世界を表出するわけですから、相当な工夫が必要になります リストは、例えば、左手に金管楽器の音を乗せ、右手に弦楽器の音を乗せて、さらにタイミングを図って左手に木管楽器の音を乗せ、というように複合的に音を組み合わせて曲に広がりと深みを与えた、ということです

沢田さんの解説は素人の私にも分かりやすく、とても興味深く聴くことが出来ました

 

          

 

第2部はベートーヴェン「交響曲第6番ヘ長調”田園”」が、リストによるピアノスコア版で演奏されます 沢田さんが、お色直しして、紫色のラメ入りの衣装で登場します この会の前半で、何カ所かを予習していたので、演奏がスムーズに耳に入ってきます 「ああ、ここはホルンに吹かせるつもりで編曲したんだな」とか「ここは、弦楽器に歌わせているな」とか勝手に解釈しながら聴いていました 前から2列目で、ピアノのすぐ前なのですごい迫力で音楽が迫ってきます

第4楽章「雷雨、嵐」のあとの第5楽章「牧歌の歌」の美しいメロデイーを良い気分で聴こうと思っていたら、左後方から「ジリリリーン」というケータイの着信音が聴こえてきました 「おいおい、2日連続でケータイかよ」とうんざりしました しばらく鳴り続けましたが、”前日と比べれれば”比較的早めの音が鳴りやみました。普通のコンサートでない、ある程度聴衆の嗜好が限られた公演で、こういう非常識極まりないことが起こるのだろうか?と不思議に思いました しかも演奏の真っ最中に鳴ったのですから、演奏者に対して失礼だし、静かに音楽に集中している聴衆に対しても失礼です その人はたぶんケータイを持って退場したと思います

終演後、大きな拍手に、沢田さんは目に涙を浮かべて、この日の演奏会を開けたことに対する感謝のあいさつをされました。とても良いレクチャー・コンサートでした 今度は第5番と第7番のカップリングでレクチャー・コンサートをやってほしいと思います

 

コメント (6)
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