5日(月)。わが家に来てから今日で1494日目を迎え、来年10月の消費増税に備えた経済対策として、政府が購入金額に一定額を上乗せした「プレミアム商品券」の発行を検討している というニュースを見て感想を述べるモコタロです
それって結局バラマキだし 仕組みを複雑にしたら個人商店は対応できないと思う
昨日、新宿ピカデリーで「METライブビューイング2018‐19」のシリーズ第1作、ヴェルディ「アイーダ」を観ました これは今年10月6日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です
オペラ「アイーダ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813‐1901)が58歳の円熟期に完成させたオペラです スエズ運河の開通を祝って建設されたカイロのオペラ座の記念行事の一環としてヴェルディに作曲の依頼がきたのです。最初ヴェルディは断ったのですが、再度の要請があり、その時に示された台本の草案に興味を惹かれて作曲を承諾したのです
1871年12月24日にカイロのオペラ座で初演され、大成功を収めました
キャストは、アイーダ=アンナ・ネトレプコ、アムネリス=アニータ・ラチヴェリシュヴィリ、ラダメス=アレクサンドルス・アントネンコ、アモナズロ=クイン・ケルシー、ラムフィス=ディミトリ・ベロセルスキー、エジプト王=ライアン・スピード・グリーンほか。演出=ソニヤ・フリゼル、管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団、指揮=二コラ・ルイゾッティです
物語の舞台は古代エジプト。武将ラダメスは密かに女奴隷のアイーダと愛し合っていた しかし、王女アムネリスもラダメスを愛しており、アイーダが恋敵ではないかと疑う
ラダメスはエチオピアと戦う軍の総司令官に任命される。アイーダは身分を隠しているが、実はエチオピアの王女である。アイーダは恋人が祖国を征伐に向かうのを悲痛な想いで見送る(以上 第1幕)
アムネリスはアイーダに罠を仕掛けてラダメスを愛していることを白状させ、対決姿勢を露わにする 場面が転換し、凱旋行進の場となる。戦いに勝利を収めたラダメスは、人々の歓喜に迎えられ凱旋する
エチオピア人の捕虜の中にアイーダの父(王アモナズロ)がいる。ラダメスは王に捕虜たちの釈放を願い出て、アモナズロを除く奴隷たちを開放する(以上 第2幕)
ラダメスとアムネリスの婚礼が決まり、傷心のアイーダはナイル河のほとりでラダメスを待っている。そこに現れたアモナズロは、ラダメスからエジプト軍の機密を引き出すようアイーダに迫る ラダメスが現われ、アイーダに変わらぬ愛を誓い、軍の機密を口にする。その途端、アモナズロが現われて自分はエチオピアの王だと名乗り、ラダメスは驚く
アムネリスらに見つかり、ラダメスは2人を逃がして捕えられる(以上 第3幕)
ラダメスに「生き埋めの刑」の審判が下る。彼の命を助けたいアムネリスはラダメスに赦しを請うよう説得するが、彼は死を選ぶ 地下牢に閉じ込められたラダメスは、牢に潜んでいたアイーダに出会う。2人は天国で結ばれることを願いながらこと切れる(以上 第4幕)
指揮者の二コラ・ルイゾッティがオーケストラ・ピットに入り前奏曲の演奏に入ります 彼は2009年から12年まで東京交響楽団の首席指揮者を務めていたので親しみを感じます
頭に白いものが目立ち、彼も歳を重ねたものだと思いました
映像から オケはヴァイオリン・セクションを左右に分ける対向配置をとっていることが分かります
第1幕第1場ではラダメスのアリア「清きアイーダ」が歌われますが、1975年ラトヴィア生まれのテノールのアントネンコはどうも本調子ではないように感じました 無理やり声を張り上げているような印象です。しかし、そこは「オテロ」などでも主役を張っている彼のこと、第2幕以降は調子を上げていきました
次いでアイーダの恋敵アムネリスの登場です 1984年ジョージア生まれのアニータ・ラチヴェリシュヴィリのメゾ・ソプラノは深みがあり、強靭です
何より彼女の存在感は抜群です。ヒロインのアイーダに負けていません
さて、そのアイーダを歌うのは1971年ロシア生まれのアンナ・ネトレプコです 彼女の声は分厚くまろやかでありながら合唱を突き抜けて客席に届きます
彼女こそルネ・フレミングの後を継ぐMETを代表するディーヴァと言えるでしょう
抜群の歌唱力で声自体に力があり、役に成り切っています
ところで、第1幕第2場の冒頭、舞台裏で巫女の長が「全能なる神よ」を歌いますが、これを歌っていたのはMET若手育成プログラム研修生のG.レイエスです 幕間のインタビューで姿を現していましたが、「チャンスを与えてもらって感謝している」と話していました。これからの活躍が楽しみなソプラノの卵です
「アイーダ」で楽しみなことの一つはバレエです とくに第2幕第2場の有名な「凱旋行進曲」の直後に踊られるバレエは、音楽に魅力があるので観ても聴いてもウキウキします
イギリス出身の女性演出家ソニア・フリゼルによる舞台作りは、絢爛豪華さにおいてはフランコ・ゼフィレッリの「アイーダ」に及ばないものの、スケールが大きく、舞台に組み込まれた7台の大きな昇降機を自在に使い、古代エジプトの神殿を現出させていました
今回のライブビューイングを観て気が付いたのは、上演中の舞台を真上のカメラから映し出すシーンが何度か観られたことです 前シーズンまでは幕間の舞台作り映像で紹介されたことはありましたが、本番の中では初めての試みではないかと思います
とくにバレエのシーンは真上から見下ろすととても動きが綺麗で、カメラの本領を発揮していました
ところで、次回作「サムソンとデリラ」でサムソンを歌うロベルト・アラーニャが、幕間のインタビューで「モンセラート・カバリエさんがお亡くなりになりました。弔意を表したいと思います」と語っていましたが、先輩歌手へのリスペクトを忘れないところは若い歌手たちにも見習ってほしいところです
METライブビューイング「アイーダ」は休憩、歌手へのインタビューなどを含めて3時間45分の上映です 都内では新宿ピカデリー(8日まで=10時開始)、東劇(9日まで=10時半、14時半、18時半開始。10日~15日=18時半開始)ほかで上映中です
これだけのキャスト・舞台をライブで観たら数万円かかります ライブビューイングなら3,500円(3枚セットなら@3,100円)です
歌手の顔のアップもあり、舞台裏も覗けます
これを高いと思うか、安いと思うか、あなた次第です