人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

橋本忍著「複眼の映像 私と黒澤明」を読む~「七人の侍」と「新世界」 / 中山七里「作家刑事毒島」、アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件(上・下)」、柚月裕子「ウツボカズラの甘い息」他を買う

2018年11月13日 07時26分23秒 | 日記

13日(火)。わが家に来てから今日で1502日目を迎え、パリで開かれた第一次世界大戦の終結100周年記念式典に向かっていたトランプ米大統領の車列に、上半身裸の女性が近づいて護衛に取り押さえられる一幕があった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      その女性はセミの脱皮を真似しただけだと思うよ セミヌードとか言っちゃって

 

         

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました   ハッシュドビーフにはやっぱりワインですね

 

     

 

         

 

目標達成のため本を5冊買いました 1冊目は中山七里著「作家刑事毒島」(幻冬舎文庫)です。これは先日ご紹介した中山氏の「中山七転八倒」の中に出てきた、出版業界をブラックユーモアに満ちた文章で綴った(一応)ミステリーです

 

     

 

2冊目と3冊目はアンソニー・ホロヴィッツ著「カササギ殺人事件(上・下)」(創元推理文庫)です これは新聞の書評欄で激賞されていて、一時入手困難だったミステリーです

 

     

 

     

 

4冊目は柚月裕子著「ウツボカズラの甘い息」(幻冬舎文庫)です 柚月裕子の作品は文庫化するたびにこのブログでご紹介してきましたが、期待を裏切らない本格ミステリー間違いなしです

 

     

 

5冊目は荻原浩著「ギブ・ミー・ア・チャンス」(文春文庫)です 荻原浩の作品はどれもがユーモアとペーソスに満ちています。これも例外ではなさそうです

 

     

 

いずれも読み終わり次第、このブログでご紹介していきます。スピードアップしないと目標達成が危ういので、精力的に読んでいきます

 

         

 

橋本忍著「複眼の映像 私と黒澤明」(文春文庫)を読み終わりました 橋本忍氏は大正7(1918)年、兵庫県神崎郡市川町生まれ。鉄道教習所を経て応召し 入隊中に結核にかかるが、療養中にシナリオに初めて接し、伊丹万作の唯一の脚本の弟子となる    昭和25年、「羅生門」を監督する黒澤明との共同脚本でデビュー   二人を核とした黒澤組は、小國英雄らが参加した脚本で「生きる」(27年)、「七人の侍」(29年)をはじめ、数々の名作を生み出した   48年には橋本プロダクションを設立し、「砂の器」「八甲田山」などの名作を世に送り出した。今年7月19日没

 

     

 

とにかく面白い本です 黒澤映画が好きな人にはたまらない映画製作に関するエピソード満載の本です 次から次へと面白い創作秘話が出てくるので、どれをご紹介しようかと迷うのですが、この本の中に一つだけ クラシック音楽が映画製作のキッカケとして出てくるエピソードがあるので、それをご紹介することにします それは、こんな文章で始まります

黒澤さんが読み終わったノートを机の上に置き、原稿用紙を前にしたまま私へ顔を向けていた。なにかが気になるらしく、両腕を組み、少し眉の根を寄せている

「今度のホンだけど・・・橋本君は、ドボルザークのニューワールドって、知ってる?」

「ええ、レコードも持ってますし、好きな曲だから時々聴いています

「その音楽のニューワールドを原作にしたいんだけど・・・この意味わかる?」

「分かります

私はズケッと一言で言い切った。黒澤さんは息をつめたまま私の顔を覗き込むようにしている

「それはこれから書く、ホンの質感・・・ホンを読む時に感じる高揚感ともいえる、音感に似たリズムでしょう

「そうだよ、そう、そう

「出だしは、第1楽章をそのままでいいし、第2楽章の黒人霊歌も、百姓達の苦悩には効果的に使える

黒澤さんが頷いた なんだかホッとした感じである

「それから軽快で、ひどく歯切れのいい第3楽章、これは前半のどこか調子のいいところだ 特にラスト、壮大なラスト・・・・最後の決戦ですよね。ラ-シ、ド、シ、ララ の、フレーズの繰り返しで、波のうねりのように、どこまでもどこまでも、巨大に盛り上がっていく第4楽章・・・・最後の決戦はこれ以外にないですよ

黒澤さんは大きく二、三度頷いた。心の底からの安堵が顔いっぱいの笑顔になって広がる

「よかった・・・じゃ、橋本君、この『七人の侍』は、ニュワールドを原作にしてやってみようよ

このようにして二人は、ドヴォルザークの「交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』」を映画の基本コンセプトとすることで意気投合し、世界の映画史に残る名作「七人の侍」を製作したのでした まさかドヴォルザークの「新世界より」が「七人の侍」に繋がっているとは夢にも思いませんでした

数々の名作を世に送り出した橋本氏は「エピローグ」の中で、「第2の黒澤明」を名乗るような後世の人たちへの警告を述べています

「切れのいい絵や、ちょっと気取ったコマシャクレタ絵は人目を引き目立つが、それはカメラマンの腕次第でもあり、画面の一部の現象だけでは黒澤明とはいえない 黒澤明の条件は、先ず優れた感覚と才能があり、高水準の映画脚本が書ける人であること。と同時に周辺に同じ高水準のライターが3、4名実在し、作品ごとにチームを組み、そのうちの一人もしくは二人と、同じ机の上で、同じシーンをどちらが上手か熾烈な競争をして書く、特殊な執筆方法で作り上げた、複眼の眼による完成度の高い共同脚本を現場に持ち込むのが基本条件である

「口で言えば簡単だが、これらのクリアは容易ではない しかし、困難や障害を乗り越える、共同著作者相互間の信頼感と連帯感さえ強靭なら、これの達成は可能である しかし、この基本的なものをなんとか克服したとしても、まだ足りないものがある。それは当の本人が『持ち唄』を持っているかどうかである 『持ち唄』はその人特有の語り口とか、話の抑揚みたいなもので、誰にでもある、その人自身が持って生まれた本性のようなものだ しかし、問題はその『持ち唄』が、黒澤明の『持ち唄』ほど、人を惹きつけ、魅了し、興奮させ、陶酔させるものがあるかどうかである

超一流の映画監督や脚本家になるには、極めて高いハードルをいくつもクリアしなければならないようです

コメント
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