人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クリスチャン=ジャック監督、ジェラール・フィリップ主演「パルムの僧院 完全版」を観る ~ スタンダールと小林秀雄とモーツアルト

2018年11月21日 07時17分35秒 | 日記

21日(水)。わが家に来てから今日で1510日目を迎え、日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者が報酬を約50億円過少に申告したとして、金融商品取引法違反容疑で逮捕された事件で、ゴーン会長が海外の子会社に高級住宅を購入させた上で提供を受けていた疑いがあることが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 ニッサンしてCEOになってもらったのに 解任されルノー? Ghosn has gone

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ麻婆茄子」と「湯豆腐」を作りました 「豚バラ~」は cookpad のレシピですが、何度か作ったので味が安定してきました

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でスタンダール原作、クリスチャン=ジャック監督・脚本によるフランス映画「パルムの僧院  完全版」(1947年・白黒・173分)を観ました

ナポレオンを崇拝するイタリア人貴族の青年ファブリス・デル・ドンゴ(ジェラール・フィリップ)はワーテルローの戦いに参加するが、何も出来ないまま重傷を負う ファブリスの叔母で「魔性の女」サンセヴェリーナ侯爵夫人ジーナ(マリア・カザレス)は彼に夢中になり、彼女の愛人で腹黒い首相モスカ伯爵とともに、ファブリスをパルムの宮廷で出世させようと計る しかし、ファブリスはつまらない事件で殺人を犯し、ファルネーゼ塔に幽閉されてしまう そこで監獄長官ファビオ・コンチの娘クレリヤ(ルネ・フォール)と恋に落ちる しかし、彼女はクレサンジ侯と結婚することが決まっていた

 

     

 

この映画を観るのは初めてで、スタンダールの原作を読んだこともないのですが、映画を観る前から一つの予想を立てていました それは劇中、モーツアルトの音楽が必ず使われるということです

映画の序盤ではシューベルトの劇付随音楽「ロザムンデ」の「間奏曲第3番」が流れましたが、中盤のパーティーの場面ではモーツアルトの「ディヴェルティメント第17番ニ長調K.334」の第3楽章「メヌエット」が、終盤では、クレリヤが自宅でモーツアルトの「ピアノソナタ第11番イ長調K.331”トルコ行進曲付き”」の第1楽章「アンダンテ・グラツィオーソ」を演奏するシーンが映し出されました 予想は的中したことになります

なぜ、この作品でモーツアルトの音楽が使われると予想したかというと、原作者のスタンダールがモーツアルトの熱烈な崇拝者であることをクリスチャン・ジャック監督もしくは音楽担当のレンツォ・ロッセリーニは知っていたのではないか、そうであるならきっと 映画の中でモーツアルトの音楽を使うはずだと思ったからです

(もっとも、スタンダールの原作の中にモーツアルトの名前と曲名が書かれていることも考えられますが、私は読んでいないので何とも言えません もし原作を読んだ方がいらっしゃれば、教えていただけると有難いです

後世のクラシック音楽界に多大な影響を及ぼした評論家・小林秀雄は『モオツァルト』の中で次のように書いています

「スタンダアルが、モオツァルトの最初の心酔者、理解者の一人であったという事は、なかなか興味ある事だと思う スタンダアルがモオツァルトに関して書き残した処は、『ハイドン・モオツァルト・メタスタシオ伝』だけであり、それも剽窃問題で喧しい本で、スタンダリアンが納得する作者の真筆という事になると、ほんの僅かばかりの雑然とした印象記になってしまうのであるが、この走り書きめいた短文の中には、『全イタリイの輿論に抗する』余人の追従を許さぬ彼の洞察がばら撒かれている 結末は、取ってつけた様な奇妙な文句で終わっている。『哲学上の観点から考えれば、モオツァルトには、単に至上の作品の作家というよりも、更に驚くべきものがある 偶然が、これほどまでに、天才を言わば裸形にしてみせた事はなかった。このかつてはモオツァルトと名付けられ、今日ではイタリイ人が怪物的存在と呼んでいる驚くべき結合において、肉体の占める分量は、能うる限り少なかった』。僕には、この文章が既に裸形に見える。この文句は、長い間、僕の心のうちにあって、あたかも、無用なものを何一つ纏わぬ、純潔なモオツァルトの主題の様に鳴り、様々な共鳴を呼び覚ました。果てはモオツァルトとスタンダアルとの不思議な和音さえ空想するに至った

私は この文章を読んで、スタンダールは「音楽の神が モーツアルトという人間の体を借りて 名曲の数々を書かせたのではないか。『モーツアルトは天才だ』というのは、そういうことではないのか」と考えている、と解釈しました

映画を観終わって、果たしてスタンダールの頭の中で鳴っていたのはモーツアルトのどんな音楽だったのだろうか、と しばらく考えていました

 

     

 

     

コメント
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