人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット✕神尾真由子✕東響でストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ベートーヴェン「交響曲第4番」他を聴く~東響オペラシティシリーズ第107回演奏会

2018年11月11日 08時16分18秒 | 日記

11日(日)。わが家に来てから今日で記念すべき1500日目を迎え、トランプ米大統領は9日、米CNNテレビの記者のホワイトハウスへの入庁許可証を失効させたことに関連し「記者はホワイトハウスや大統領に敬意を払うべきだ」と述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプは自分が敬意に値する大統領だと思ってるらしいけど  うぬぼれじゃね?

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティシリーズ第107回演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「セレナード第13番ト長調K.525”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”」、②ストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲二調」、③ベートーヴェン「交響曲第4番変ロ長調  作品60」です ②のヴァイオリン独奏は神尾真由子、指揮はジョナサン・ノットです

ジョナサン・ノットという指揮者はプログラミングに意味を持たせることで定評があります が、今回のプログラムを見て、これはどういう組み合わせだろうか❓と一瞬疑問が湧きました。2つの古典派の作品の間にストラヴィンスキーが挟まれています。それは奥田佳通氏によるプログラムノートを読んで疑問が氷解しました ストラヴィンスキーは時代によって作風を大きく変化させていますが、このヴァイオリン協奏曲は彼が、秩序や様式への回帰を目指した「新古典主義」に傾倒した時期に書かれた作品なのです したがって、この日のプログラミングのテーマは「古典」といういことになるわけです

 

     

 

この日は3日(土)の定期演奏会に次いでジョナサン・ノットがタクトを取るからなのか、ソリストの神尾真由子に魅力があるのか、プログラミングが良いせいなのか、会場はいつもより多くの聴衆で埋まっています

1曲目はモーツアルト「セレナード第13番ト長調K.525”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1787年8月10日に完成した作品です 「モーツアルトで知ってる曲を口ずさんでごらん」と言われて 多くの人が口ずさむのがこの曲の第1楽章のメロディーではないかと思うほど有名な曲ですが、どういう目的で、誰のために作曲されたのかはっきりしていません また、モーツアルト自身による作品目録にはメヌエット楽章が2つあり5楽章から構成されていたことが分かっています   しかし、モーツアルトの没後、自筆譜がドイツの音楽出版業者アンドレの手に渡った時には当初2番目に置かれていたメヌエット楽章のページはなく全4楽章だったといいます   謎に満ちた作品です。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ:アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「ロンド:アレグロ」の4楽章から成ります

古典派の作品の演奏ということを意識して、オケは弦楽器のみ総勢21名による小編成です ヴァイオリン・セクションを左右に分ける対向配置をとります。コンマスは水谷晃です

ノットが登場して早速演奏に入りますが、これほどの完璧な構成の作品は 演奏に特色を出すのが難しいようで、テンポ設定も音のバランスも極めてオーソドックスでした

蛇足ですが、当ブログでもいくつかの作品をご紹介した作家・伊坂幸太郎の小説に「アイネ クライネ ナハトムジーク」というのがありましたね

管打楽器が入り、弦楽器も増員されフル・オーケストラ態勢になります

2曲目はストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲二調」です この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882‐1971)が、1931年にポーランド出身のヴァイオリニスト、サミュエル・ドゥシュキンのために作曲した作品です   第1楽章「トッカータ」、第2楽章「アリアⅠ」、第3楽章「アリアⅡ」、第4楽章「カプリッチョ」の4楽章から成ります   各楽章の冒頭は共通のモットー(短い楽句)が演奏されますが、とても強いインパクトがあります

マリンブルーの衣装を身にまとった神尾真由子がノットとともに登場しスタンバイします 神尾は2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝して以来、内外のオーケストラと多くの協演を果たしています

ノットのタクトで第1楽章が開始されます。印象としてはストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」のような賑やかで華やいだ感じを受けますが、響きは明快で様式美を感じます この曲で一番印象深いのは最後の第4楽章です。独奏ヴァイオリンが速いパッセージで様々に音色を変化させながら、オーケストラとの丁々発止のやり取りを展開します この楽章における神尾真由子とノット✕東響の協演はほとんど”饗宴”と言えるような楽しい演奏でした

カーテンコールが繰り返されましたが、神尾はアンコールには応えませんでした。見識です


     


プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第4番変ロ長調  作品60」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1806年の夏から秋にかけて作曲した作品です 第1楽章「アダージョ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

ノットのタクトで第1楽章がゆったりとしたテンポで開始されます アレグロに転換してからのノットは、切れ味の鋭い日本刀で青竹を一気に切り落とすような集中力に満ちた指揮を見せ、極めて速いテンポで東響の面々をグングン引っ張っていきます 弦楽セクションを見ていると、皆 必死になってついていく様子が窺えます 第2楽章はメロディーが美しい 第3楽章を経て、第4楽章に入ると再びノットはアクセルを踏み込みます きびきびした指揮でオケの楽員を駆り立てます。実にベートーヴェンらしいベートーヴェンです

ジョナサン・ノットというと、過去に「アンサンブル・アンテルコンタンポラン」の音楽監督を歴任しているところから、現代音楽の演奏が特に良いと言う人が少なくないようですが、私はベートーヴェンやブラームスが断然良いと思います

会場いっぱいの拍手とブラボーにカーテンコールが繰り返されます これだけの聴衆を集めるのは、やっぱりノット人気によるところが大きいのかな、と思いながら帰途に着きました

【追記】

文中、プログラムノートの執筆者名を「奥田佳通氏」と表記しましたが、「奥田佳道氏」の誤りでした。奥田様にお詫びを申し上げますとともに、ここに訂正させていただきます

コメント (3)
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