人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

飯守泰次郎 ✕ 新交響楽団でスメタナ「わが祖国」全曲を聴く / 「マスク +『2メートル』= 新様式の合唱 ~『第九』で飛沫1メートル超  密回避を」~ 朝日の記事から

2021年01月18日 07時20分23秒 | 日記

18日(月)。昨日の朝日朝刊「新型コロナウイルス」ページに「マスク+『2メートル』=新様式の合唱~『第九』で飛沫1メートル超  密回避を」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「文部科学省は昨年12月、合唱について、原則マスクをつけ、前後左右の間隔を2メートル(最低1メートル)空けて歌うよう求める通知を出した この通知の背景には、歌い手からしぶき(飛沫)がどう広がるのか、実際に調べた実験のデータがある 全日本合唱連盟と東京都合唱連盟が12月に実験の報告書をまとめた。曲は、はっきりした強弱があり、卒業式などで人気の合唱曲『大地讃頌(さんしょう)』と、ドイツ語の『第九』で試した 5マイクロメートル以上の比較的大きな飛沫でみると、大地讃頌では男性で最大61センチまで飛んだ。ドイツ語の第九では遠くまで飛び、最大で111センチだった マスクをつけて歌うと飛沫は大幅に減った。実験を受けて全日本合唱連盟のガイドラインが改訂され、練習するときには前方向に1.5メートル程度、左右には『密が発生しない程度』を確保し、十分な換気をすることなどが盛り込まれた クラシック音楽公演運営推進協議会も12月、プロの声楽家8人の協力を得た実験の報告書を公開した 歌手や言語によって、飛沫の量は大きく違った。日本語より、ドイツ語やイタリア語の方が多い傾向があった テノールよりソプラノの方が多い傾向も見られた

この記事を見る限り、コロナが収まるまでは、オーケストラのライブコンサートにおける多人数による合唱は出来ず、極力人数を絞って少数精鋭の合唱で歌うしかなさそうです ますますアマチュア合唱団の出番はなくなり、プロの合唱団の出番が増えるように思います

ということで、わが家に来てから今日で2300日目を迎え、豊富な資金力をバックにトランプ大統領を支持してきた全米ライフル協会(NRA)が破産法の適用を申請した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     人殺しの武器で金もうけして トランプに献金してきた団体は トランプと共に去れ!

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団の「第252回演奏会」を聴きました プログラムはスメタナ:連作交響詩「わが祖国」全曲です 指揮は仙台フィル常任指揮者、東京シティ・フィル桂冠名誉指揮者、関西フィル桂冠名誉指揮者を務める飯守泰次郎です 「わが祖国」はスメタナ(1824ー1884)が1874年から1879年にかけて作曲した6つの曲から成る連作交響詩です 第1曲「ヴィシェフラド」、第2曲「ヴルタヴァ」、第3曲「シャールカ」、第4曲「ボヘミアの森と草原から」、第5曲「ターボル」、第6曲「ブラニーク」です   各楽曲の初演は1875年から1880年にかけて別々に行われており、全6曲の初演は1882年11月5日でした

 

     

 

自席は1階G列23番、センターブロック右から2つめです    市松模様配置なので実質的に右通路側です

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新響の並び。コンミスは内田智子さんです 緊急事態宣言発令中ということもあってか、弦楽奏者は全員がマスク着用、譜面台は1人が1台を使用します 満80歳の飯守泰次郎がゆったりとした足取りで指揮台に向かいます

第1曲「ヴィシェフラド(高い城)」はプラハにあるヴィシェフラド城を題材としています この城はボヘミア国の国王が居城していたことこともある城でしたが、戦乱により破壊され廃墟となりました この曲は1872年から1874年にかけて構想され、1874年9月末から11月中旬にかけて作曲されましたが、この間、スメタナの聴力が徐々に衰えるようになり、それから間もなく完全に失聴してしまいます したがって、6曲のうちこの曲だけがスメタナが失聴する前に書かれた唯一の作品ということになります

ステージ左奥にスタンバイした2台のハープが「ヴィシェフラド」のテーマを抒情的に奏でますが、この演奏が素晴らしい   この動機は「わが祖国」全体を支配します

第2曲「ヴルタヴァ(モルダウ)」は1874年12月に完成されましたが、単独で演奏される機会の多い作品です ヴィシェフラド城の下を流れる川が「モルダウ」です 南ボヘミアの源流のしずくが小川になり、それが次第に大きな流れになり、エルベ川に向かって遠ざかっていく様々な場面が描かれています

冒頭、フルートによる冷たい水源とクラリネットによる温かい水源から流れ出しますが、この演奏が絵画的で素晴らしい また、流れの途中での村人たちの楽しい祭りの様子や、夜になって月光に照らされるモルダウ川の様子が目に浮かぶような演奏です

第3曲「シャールカ」は1875年2月に完成しましたが、シャールカとはプラハの北東にある谷の名前です その名前の由来は、男たちと女たちが死闘を繰り広げたというチェコの伝説「乙女戦争」に登場する少女の名前です 物語は「恋人に裏切られた少女シャールカは怒りに燃えて全男性に復讐を誓う 兵士たちが 思いあがった女たちを懲らしめるためにやってくると、シャールカはわざと木に縛り付けられて苦しんでいるように見せかる    ツティラートは彼女を見て恋に落ち、彼女を解放する    彼女は酒宴を催しツティラートと兵士たちに酒を飲まて眠らせてしまう シャールカの吹くホルンを合図に女軍が襲いかかりツティラートと兵士たちを刺殺し、復讐を果たす」というものです

シャールカを現すクラリネットの演奏が素晴らしかった そして兵士たちが眠っている様子を描いたファゴットの”いびき”が思わず笑いを誘いました 私は「わが祖国」の中では「モルダウ」とともにこの「シャールカ」が好きですが、具体的なストーリ―を音楽で表しているので分かり易いからだと思います

 

     

 

休憩後の最初は第4曲「ボヘミアの森と草原から」です 1875年10月に完成したこの曲は、ボヘミアの田舎の美しさを描写した音楽です 色彩感溢れる演奏がスケール感を伴って展開しました

第5曲「ターボル」は1878年12月に完成しましたが、次の「ブラニーク」とともに、15世紀のフス戦争におけるフス派信者たちの英雄的な闘いを湛えた曲です 「フス戦争」とは、ボヘミアにおける宗教改革の先駆者ヤン・フスが、堕落した教会を烈しく非難して破門され死刑にされた後、彼の教理を信奉する者たちが団結して起こした18年に及ぶ戦争です ターボルとは南ボヘミア州の古い町で、フス派の重要な拠点でした

冒頭の重く力強い音楽「タ、タ、ター、ター」はティンパニと低弦の刻みの上にホルンが奏で、曲全体を通して現れますが、これはフス派の有名な讃美歌「なんじら神の戦士」に基づくモットーです オーケストラは渾身の演奏を展開します

最後の第6曲「ブラニーク」は1879年3月に完成しましたが、第5曲「ターボル」のフィナーレのメロディーを引き継ぐ形で演奏されます ブラニークとは中央ボヘミア州にある山の名前で、ここにはフス派の戦士たちが眠っており、また讃美歌に歌われる聖ヴァ―ツラフの率いる戦士が眠るという伝説もあります 平和と自由を讃えるファンファーレが力強く演奏され曲を閉じます 聴きごたえのある素晴らしい演奏でした

ところで、「プログラムノート」は毎回 楽団員の方が交替で執筆されていますが、いつも充実した内容で感心しています 今回はコントラバス奏者の中野博行さんが書かれていますが、とても参考になりました 一例を挙げれば、中野さんは「わが祖国」について次のように解説されています

「奇数番目の曲(ヴィシェフラド、シャールカ、ターボル)は、歴史的あるいは回顧的な動機を用い、偶数番目の曲(ヴルタヴァ、ボヘミアの森と草原から、ブラニーク)は生きた現在の鼓動あるいは未来をあらわそうと意図されている これによって、人民と国土が離れがたく結ばれていることを示した

もちろん、いろいろな参考文献にあたって勉強された上で書かれているわけですが、それにしても熱心に勉強された跡が窺えます 新交響楽団はアマチュア・オーケストラですが、個々の楽団員の方々の音楽に対する情熱は、プロに負けないのではないか、とあらためて感じました

コメント (2)
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