6日(水)その2.よい子は「その1」から見てね モコタロはそちらに出演しています
昨日、新文芸坐で 小國英雄・橋本忍・菊島隆三・黒澤明脚本、黒澤明監督による1957年製作映画「蜘蛛巣城」(モノクロ・110分)を観ました
北の館の主・藤巻の謀反を鎮圧した武将、鷲津武時(三船敏郎)と三木義明(千秋実)は、喜ぶ主君・都築国春(佐々木孝丸)に召し呼ばれ、蜘蛛巣城へ馬を走らせていたが、雷鳴の中、慣れているはずの「蜘蛛手の森」で道に迷い、奇妙な老婆(浪花千恵子)と出会う 老婆(物の怪の妖婆)は、武時はやがて北の館の主に、そして蜘蛛巣城の城主になることを、義明は一の砦の大将となり、やがて子が蜘蛛巣城の城主になることを告げる
2人は一笑に伏すが、主君が与えた褒章は、武時を北の館の主に、義明を一の砦の大将に任ずるというものだった
武時から一部始終を聞いた妻・浅茅(山田五十鈴)は、老婆の予言を国春が知ればこちらが危ない と、謀反をそそのかし、武時の心は揺れ動く 折しも、国春が、藤巻の謀反の黒幕・隣国の乾を討ったために北の館へやってくる。その夜、浅茅は見張りの兵士たちを痺れ薬入りの酒で眠らせ、武時は眠っている国春を殺す
主君殺しの濡れ衣を着せられた臣下・小田倉則安(志村喬)は国春の嫡男・国丸(太刀川洋一)を擁し、蜘蛛巣城に至るが、蜘蛛巣城の留守を預かっていた義明は開門せず、弓矢で攻撃してきたため、2人は逃亡する
義明の強い推挙もあって、蜘蛛巣城の城主となった武時だったが、子がないために、老婆の予言通り 義明の嫡男・義照(久保明)を養子に迎えようとする しかし浅茅はこれを拒み、自身の懐妊を告げたため、武時の心は又しても変わる
義明親子が姿を見せないまま養子縁組の宴が始まるが、その中で武時は、死装束に身を包んだ義明の亡霊を見て抜刀して錯乱する
浅茅が客を引き上げさせると、一人の武者が現れ、義明は殺害したが 義照は取り逃がしたと報告する
嵐の夜、浅茅は死産し、国丸、則安、義照を擁した乾の軍勢が攻め込んできたという報が入る 無策の家臣たちに苛立った武時は、轟く雷鳴を聞いて森の老婆のことを思い出し、一人で蜘蛛手の森へ馬を走らせる
現れた老婆は「蜘蛛手の森が城に寄せて来ぬ限り、お前様は戦に敗れることはない」と予言する
蜘蛛巣城を包囲され動揺する将兵に、武時は老婆の予言を語って聞かせ、士気を高めるが、野鳥の群れが城に飛び込むなど不穏な夜がふける
翌日、浅茅は発狂し、「血が取れぬ」と両手を洗い続ける
そして、兵士たちは押し寄せてくる蜘蛛手の森に恐れを抱く
持ち場に戻れと怒鳴る武時めがけて味方たちの中から無数の矢が放たれる
この映画は、シェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えた作品ですが、「能」の様式美を取り入れています この映画は何回観たか思い出せませんが、強く印象に残っているのは山田五十鈴が演じる浅茅が「血が取れぬ」と言って何度も両手を洗おうとするシーンです
能面のような顔の浅茅の目が大きく開かれ、まるで妖婆が乗り移り 気が狂ったかのようです
もう一つは、三船敏郎が演じる武時が、味方の兵士から次々と射られる矢を浴びるラスト・シーンです
このシーンで三船は、演技と言うより本当に死に物狂いの形相を見せていますが、それもそのはず、黒澤監督は、実際に三船やその周囲を目掛けて本物の矢を射って撮影したと言われています
撮影終了後、三船は黒澤のことを「ぶっ殺してやると思った」と語っています
とにかく面白い映画です。黒澤 ✕ 三船はやっぱり時代劇が一段と素晴らしいと思います