人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京都交響楽団から2021年度会員券発売案内届く / 井岡瞬著「赤い砂」を読む ~ 自殺の連鎖を引き起こすウィルスを追う / 新大久保駅の韓国人留学生事故死から20年

2021年01月26日 07時20分04秒 | 日記

26日(火)。昨日の朝日夕刊第1面に「人の命のために彼は行動した 新大久保駅  韓国人留学生事故死20年」という見出しの記事が載っていました 東京のJR新大久保駅で韓国人留学生の李秀賢さん(当時26)が線路に落ちた日本人を助けようとして死亡した事故から 26日で20年となるーという内容です

今から20年前の2001年1月26日、私は大久保駅の現場を見ています 当日は東京フィルハーモニー交響楽団と新星日本交響楽団が合併して新生東京フィルとして生まれ変わる最初の記念すべきコンサートの日でした 渋谷のオーチャードホールで 沼尻竜典の指揮によりマーラー「交響曲第2番”復活”」が演奏されました     その帰り、山手線外回りの電車で巣鴨に向かったのですが、電車が新大久保駅に到着したら、ホームが騒然としていて、ホームの一角がブルーシートで覆われおり、警察官が人の整理をしていました その時は何があったのか全く分からなかったのですが、家に帰ってからテレビのニュースを観てその事故を知りました 日本人を助けるために韓国人の若者が犠牲になった事故と、2つのオケが合併して新たな道を歩もうとする記念すべきコンサートが同じ日に重なったことが、私の記憶の中に深く刻まれました 日韓関係が冷え込む中、あれから20年も経ったのか、と感慨深いものがあります

ということで、わが家に来てから今日で2308日目を迎え、新型コロナウイルスの収束が見通せない中、東京都千代田区と同区観光協会は、3月下旬から4月上旬に皇居近くの千鳥ヶ淵で開く「千代田のさくらまつり」の開催中止を決めるなど、早くも今春の花見に「自粛ムード」が漂っている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     お酒を飲まずに花見すればいいんじゃない?  さくら  それを言っちゃあおしめえよ

 

         

 

昨日の夕食は「みそ鍋」にしました 材料は豚バラ肉、牛バラ肉、鶏肉団子、キャベツ、しめじ、モヤシ、豆腐です。寒い夜は鍋に熱燗ですね

 

     

     

 

         

 

昨日、東京都交響楽団のチケットを2枚取りました 1枚目は2月11日(木・祝)14時からサントリーホールで開催される「第390回プロムナードコンサート」です オール・ベートーヴェン・プログラムで①ウェリントンの勝利(戦争交響曲)、②ヴァイオリン協奏曲、③交響曲第8番です ②のヴァイオリン独奏=金川真弓、指揮=川瀬賢太郎です

2枚目は2月22日(月)18時から東京文化会館で開催される「都響スペシャル2021」2月度公演です プログラムは①ブラームス「アルト・ラプソディー」、②マーラー「交響曲第4番」です ①のメゾソプラノ独唱=藤村実穂子、②のソプラノ独唱=中村絵里、指揮=大野和士です 20日に私の好きなサントリーホールで同一プログラムによる公演があるのですが、この日はオペレッタの映画を観るので、22日の方を選びました 東京文化会館大ホールで聴くのは一昨年の「東京春祭」以来2年ぶりくらいだと思います

 

         

 

東京都交響楽団から「2021年度会員券についてのご案内」が届きました それによると、「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、未だ全ての座席を販売できない状況が続く中、現段階では2021年度の会員券の継続手続きや、新規販売は行わない 4月から7月までの定期演奏会は1回券のみ販売する。発売日・金額は決まり次第、都響WEBサイトで通知する。9月以降の公演については6月ごろに改めて案内する」としています

 

     

 

じつに面倒な話ですが、7月までは毎月、翌月の公演案内が届いて、その都度申し込みをすることになります シーズン・チケットの販売については、東京フィル、東京交響楽団、読売日響のように従来通り1年分のチケットをまとめて販売する楽団と、都響のようにしばらくの間は小刻みに販売する楽団とに対応が分かれるようです

ところで、都響の2021年度のラインアップは下の通りですが、私にとっては大規模編成による管弦楽曲が揃っていて会場がサントリーホールのBシリーズが最も魅力的です 会員継続案内が届いた時は、迷わずBシリーズを申し込むつもりです

 

     

 

         

 

井岡瞬著「赤い砂」(文春文庫)を読み終わりました 井岡瞬は1960年、東京都生まれ。2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞して作家デビュー 2014年刊行の「代償」は累計50万部を突破するベストセラーになった

国立疾病管理センター職員の阿久津久史が電車に飛び込んで自死した その2週間後に、阿久津を轢いてしまった電車の運転手・早山郁雄が自宅で包丁を振り回したあげく、外に飛び出してトラックに撥ねられ死亡した その同じ日、阿久津の現場検証に当たった警視庁戸山署刑事課鑑識係の工藤智章が同僚の拳銃を奪ったうえ自らを撃って死亡した さらに工藤に拳銃を奪われ左肩に被弾した交通課の山崎浩司巡査も錯乱して非常階段から飛び降りて自死した 何が原因で自殺の連鎖が続くのか、工藤の親友で戸山署刑事課の巡査部長・永瀬遼が事件の真相を追う中、大手製薬会社・西寺製薬に「赤い砂を償え」という脅迫状が届く 犯人は何の目的で脅迫状を送ったのか・・・事件の裏には「アレナ・ルブラ」(赤い砂)と呼ばれるウィルスが存在していたことが判明する このウィルスは「感染後3日くらいで発熱、悪寒、咳などの症状が、感染約2週間後に幻覚、幻聴、自傷行為などの症状が発症し、場合によっては他者を傷つけ、ついには自死行為に至る」というもので、「経口感染、飛沫感染、直接摂取感染などによって感染が広がって行く」というものだった 永瀬は「赤い砂」による自死連鎖事件の真相を突き止めるために奔走するが、自らも”赤い砂”の症状が表れていることに気が付く

 

     

 

この作品は「2000年代初頭、発症すると錯乱し破滅的行動の果てに自死する恐るべきウィルスの感染症が、東京において発生した」という物語です 井岡氏がこの作品を書いたのは、2年弱の間に感染者2万8000余人、死者1千人を超えた「エボラウィルス」が世界的に蔓延した2014年の10年以上前の2003年でした 2020年6月に、文藝春秋社の人との会合で「実は大昔、ウィルスの話を・・・」と話したところ、「そんなものがあるなら、すぐに読ませてほしい」と言われ、17年前に書いた原稿を古いハードディスクから探し出して、手直しもせずに送信したら、その翌日に「年内に、文春文庫から”緊急出版”という形で出させてください」という返信があったとのことです そういうことで、いきなり文庫で出版となったというわけです

「あとがき」の中で著者が述べているように、出版にあたっては、文体や事実関係、時系列の不整合などは細かく手直ししたものの、「2003年当時に知り得た知識、存在した技術以外を織り込まない」というルールを自分に課して書き上げたとのことです 当時はインターネットによる検索技術が現在ほど発達していなかったので、とくにウィルスの知識を獲得するのに苦労しながら相当勉強したようで、その成果が作品の中で披瀝されています もちろん、この作品はウィルスが主役になっていることから「ワクチン」の話も出てきますが、著者は「昨今『ワクチン万能』のような風潮があるが、開発に膨大な手間と費用がかかることを度外視しても、『ごくまれな例外を除けば感染前に打たなければ効かない』『ウィルスごとに作らねばならない』などの課題がある。したがって、インフルエンザのように変異するウィルスには、毎年新種のワクチンを生産し打たねばならないし、一部には『打たないよりましな程度』という意見もある」と書いています まさに今、世界中に蔓延している新型コロナウイルスにも共通する課題ではないかと思います

本書は「ウィルスを間違って扱うととんでもない連鎖反応を引き起こす可能性がある」ということを教えてくれます この作品を読んで思うのは、ウィルスに対しては「正しく恐れる」姿勢で臨まなければならない、ということです それはインフルエンザに対しても、新型コロナウイルスに対しても同様だということです

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