人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

佐渡裕 ✕ 田部京子 ✕ 新日本フィルでモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」、ベートーヴェン「交響曲第6番」「同8番」を聴く ~ 第36回ルビーコンサート

2021年01月16日 07時29分34秒 | 日記

16日(土)。わが家に来てから今日で2298日目を迎え、朝鮮中央通信が15日に報じたところによると、北朝鮮・平壌の金日成広場で14日夜、朝鮮労働党の第8回党大会を記念した軍事パレードが開催され、「北極星5」と表記された新型の潜水艦発射ミサイル(SLBM)とみられる兵器などが登場、「世界最高の軍事力を証明した」と伝えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     アメリカの独裁者が退場すると思っていたら  北朝鮮に厄介な独裁者が残っていた

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のから揚げ」を作りました 栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」を作り置きしてあると思っていたら、冷蔵庫には影も形もなかったので、ニンニク、ショウガ、削り節と醤油で急ごしらえして冷蔵庫で30分ほど寝かせ、鶏肉を20分くらい漬けてから 揚げましたが、圧倒的に時間が足りなかったせいで 味が薄かったのでレモン汁をかけて食べました

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの「第36回ルビーコンサート」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「交響曲 第8番 ヘ長調 作品93」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466」、③ベートーヴェン「交響曲 第6番 ヘ長調 作品68 ”田園”」です 演奏は②のピアノ独奏=田部京子、指揮=佐渡裕(上岡敏之の代演)です

いつものように、午後2時の開演に先立って午前11時からホール隣のホテル6階の「チャペル」で音楽ライター・小室敬幸氏によるワン・コイン講座があり 参加しました 小室氏は「多様における統一 ~ ウィーン古典派の価値観を知る」と題して、この日の演奏曲目の解説を兼ねて①ウィーン古典派と「多様における統一」、②ハイドンの事例、③モーツアルトの事例、④ベートーヴェンの事例について音での再生を交えながら解説しました     私のような音楽素人にも分かり易い解説で毎回とても参考になります    主催者の新日本フィルにはずっと続けてほしいと思います

 

     

 

さて本番です。座席は市松模様を取らない通常配置です     オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスはチェ・ムンスです    オーボエには東京フィル首席の加瀬孝宏氏が客演しています。新日本フィルは たしかオーボエ首席候補の募集でオーディションをやっているはずですが、どうなったのでしょうか

さて、1曲目はベートーヴェン「交響曲 第8番 ヘ長調 作品93」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年にウィーンのルードルフ大公 邸で私的に初演されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります 他の交響曲が誰かに献呈されている中で、この曲だけが誰にも献呈されていません。ベートーヴェン自身は第7番よりも第8番の方が気に入っていたようですが、それだけになぜ誰にも献呈しなかったのか疑問です また、小室氏の解説によると、この曲は9曲の交響曲の中で奇数番の曲に比べて人気がないが、最近は専門家の間で見直されているとのことです

大柄な佐渡裕の指揮で第1楽章が開始されますが、彼はタクトを持ちません。たぶん目でアイコン・タクトを取るのでしょう 彼の指揮で聴くのは本当に久しぶりで、どこのオケを振って何を演奏したのかさえ思い出せませんが、その時に感じたのは「いかにも元気が良いが、ちょっと荒っぽいな」ということでした しかし、今回の第8番を聴く限りそうした印象は全くなく、歳を重ねて丸くなったのかな、と思いました 全体を通して感じたのは「力強くも包容力のある演奏」です。特に第3楽章を中心に温かく包み込むような感じを受けました

ピアノが右袖からセンターに運ばれてモーツアルト「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466」に備えます この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1785年に作曲、同年初演されました モーツアルトのピアノ協奏曲(全27曲)の中で、第24番ハ短調K.491とともに2つの短調作品の一つです モーツアルトは1782年から86年の間に15曲(第11~25番)のピアノ協奏曲を書いていますが、その中にこの2曲が入っています。モーツアルトが乗りに乗っていた時期に書かれたと言えます 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ります

淡い藤色のエレガントな衣装の田部京子がピアノに向かい、佐渡の指揮で第1楽章に入ります モーツアルトのほとんどのピアノ協奏曲は、最初にオーケストラによる序奏があって、独奏ピアノは女王のごとくおもむろに登場します 序奏部の短調特有のデモーニッシュな音楽を聴くとゾクゾクします 続けて入ってくる田部京子のピアノはどこまでも美しくエレガントです カデンツァはどうやらベートーヴェンの作曲によるものと思われます。聴きごたえがありました 第2楽章に入ると、ピアノの美しさに優しさが加わります 田部さんはそういう人なのでしょう。人間性が音楽に表れています ピアノを弾く、というよりは音を紡いでいくという表現がぴったりするような演奏です 第3楽章はモーツアルトの「明」と「暗」が混じり合いながらドラマティックに展開し、華やかなフィナーレを迎えました ソリスト、オーケストラともども素晴らしい演奏でした

休憩時間にパトロネージュ部の登原さんと立ち話しましたが、幸運にも会場内でモーツアルトが聴けたようで、「ピアノがとても綺麗でしたね」とおっしゃっていました オーケストラのスタッフの皆さんも仕事に支障がない限り ”わがオーケストラ” を聴くべきだと思います そうしなければ、人に「うちのオーケストラはこんなに素晴らしいんですよ」とは言えないはずです どんどん聴いてほしいと思います

 

     

     

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲 第6番 ヘ長調 作品68 ”田園”」です この曲は1807年から翌08年にかけて作曲され、1808年12月22日にアン・デア・ウィーン劇場で初演されましたが、この日は歴史的な1日になりました この日のプログラムは次の通りでした

①交響曲 第5番 ヘ長調 『田園』(現在の第6番)

②アリア  ”Ah,perfido" 

③ミサ曲ハ長調(作品86)より「グロリア」

④ピアノ協奏曲第4番ト長調

 《 休 憩 》

⑤交響曲第6番ハ短調(現在の第5番)

⑥ミサ曲ハ長調(作品86)より「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」

⑦合唱幻想曲

この日のコンサートの記録によると、当日は「暖房もない劇場で、少数の観客が寒さに耐えながら聴いていた」とされています 上記のプログラムから想像できるように、全体で4時間を超える超ロング・コンサートになっており、演奏上のトラブルもあり大失敗に終わったようです 当時の人たちにとってはこの日演奏された作品の全てが「現代音楽」です それを考えると、どれだけの人がベートーヴェンの作品を理解できたか、と疑問が湧きます

CDや配信技術によって演奏を繰り返し聴くことが出来る現代から、1回だけ過去に遡って ある特定の日・場所にワープできるとしたら、1808年12月22日のアン・デア・ウィーン劇場が最有力候補になると思います

さて、この曲は第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ:田舎に着いて起こる晴れ晴れとした気分の目覚め」、第2楽章「アンダンテ・モルト・モッソ:小川のほとりの情景」、第3楽章「アレグロ:田舎の人々の楽しい集い」、第4楽章「アレグロ:雷鳴・嵐」、第5楽章「アレグレット:牧人の歌、嵐の後の喜ばしい、感謝の念に充ちた気持ち」の5楽章から成ります

佐渡の指揮で演奏に入ります 全体を通して聴いた印象は、特定の演奏者が目立つというよりは全体のバランスを重視した演奏だったということです 第4楽章ではフルートの野津、オーボエの加瀬、クラリネットのペレスといった木管奏者の好演が目立ちましたが、全体としてはアンサンブル重視でした 佐渡はこの曲でも包容力のある音楽作りに徹していました

ところで、プログラム冊子(1,2月号)の「楽団よりお知らせ」に「ソロ・コンサートマスターの豊島泰嗣氏が12月末でソロ・コンサートマスターを辞し、桂冠名誉コンサートマスターに就任することになった。今後の演奏会にも出演する」旨の告知が掲載されていました 豊嶋氏は1964年生まれの56歳なので定年というわけではないようです。これまで東京交響楽団の大谷康子さんの「名誉コンサートマスター」という例がありますが、「桂冠名誉コンサートマスター」というのは豊嶋氏が初めてではないか、と思います いずれにしても、今後のコンサートにも出演するということなので一安心です

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする