2日(土)。昨日は一日中 CDでイタリア・カルテットによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴きながら、分厚い新聞2紙と本を読みました 静かなお正月で読書が進みました
ということで、わが家に来てから今日で2284日目を迎え、1月6日に米上下院で予定されている大統領選の選挙人投票の結果承認で、与党・共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は12月30日、ジョー・バイデン次期大統領の勝利に真っ先に異議を唱えるつもりだと明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです
無駄な努力と自覚した上でやってる そんなにトランプのご機嫌を取りたいのか?
中山七里著「笑え、シャイロック」を読み終わりました。中山七里は1961年、岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー その後の精力的な新作発表は「中山七里は7人いる」とまで噂されるほど多作作家の代名詞的存在になっています
帝都第一銀行に勤務する結城慎悟は、勤続3年目の春に大型店舗の営業部から、新宿支店の渉外部に異動の通知を受ける。営業部が銀行の表道だとすれば、渉外部は債権を回収する裏道だ 左遷されたと腐る結城だったが、山賀雄平という課長代理に出会うことにより人生観が変わる 山賀は債権回収に関しては右に出る者のない存在で、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」に登場する金貸しにちなんだ『シャイロック山賀』なる異名を奉られている 結城は彼の下で仕事をするうちに、彼の取り立ては厳しいものがあるが、彼の行動は金融業務に対する確固とした思想に貫かれていることを理解するようになる 取り立ての厳しさから債券回収先からは恨まれる存在だった山賀が、ある日何者かに殺された 債権回収が困難な”山賀案件”を引き継いだ結城は、新宿署の刑事・諏訪からの捜査協力要請に応じながら、容疑者候補でもある債務者たちと対峙していく
結城は5人の債務者と向かい合うことになりますが、ただ「借金を返せ」と言うのでなく、以下のように債務解消の具体的な方策を提案します ここが中山七里らしいところです
第1話「わらしべ長者」に登場する債務者・土屋公太郎は、高級スピーカーのユニットを製造する町工場の経営者です ここでは、生前の山賀が土屋に対し「いくら技術者として優秀でも損得計算ができなければ経営者失格だ」と批判します そして、技術力のノウハウを他社に売ることにより債務を解消することを提案します
第2話「後継者」に登場する債務者の海江田物産社長・海江田大二郎は、典型的な無能2代目社長です 結城は債務を担保物件ともども他社に乗り換えることを提案します
第3話「振興衆狂」に登場する債務者は新興宗教法人「奨道館」です ここでは、自身の教義以外の声に耳を傾けない新興宗教に対する批判が展開されます 結城はとんでもない営利事業のアイディアを相手に授け、その結果 債務の解消を図りますが、諏訪刑事からは悪徳宗教法人の延命に手を貸したと批判されます
第4話「タダの人」に登場する債務者は落選した民生党の元幹事長・椎名武郎です 誰が見ても何億円もの価値があるとは思えない担保物件の絵画を競売にかけて、債務の解消を図るという破天荒な計画が企てられます
第5話「人狂」に登場する債務者は暴力団が経営するフロント企業「アーカル・エステート」です 結城は空き地となった土地に低所得者(フリーター、外国人の不法就労者)向けのマンションを建設し、シェアハウスとして売り出すことを提案します
そして、最後の最後にいつものどんでん返しが待っていますが、実は最初に伏線が張られていることに気が付きます そしていつものように思います。「またしても、してやられた」と