人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「幻想古書店で珈琲を」「診療室にきた赤ずきん」「ないもの、あります」「バーニング・ワイヤー」を買う

2015年12月21日 07時01分45秒 | 日記

21日(月)。昨日は1か月ぶりくらいでコンサートも映画もない日曜日でした 「このペースで行ったら身体が持たないな」と思ったので、2度買い物に出掛けた以外は家でベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲等のCDを聴きながら新聞や本を読んで過ごしました 12月31日の大晦日に東京文化会館小ホールで開かれる「ベートーヴェン弦楽四重奏曲9曲演奏会」のうち「ラズモフスキー」以降の6曲を聴くのでその予習です ということで、わが家に来てからちょうど450日目を迎え、ゲージの中に閉じこもり、そろそろ冬眠の準備か、と思わせるモコタロです

 

          

              ぼくは クマじゃないから 冬眠しないし・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日、2日前に内幸町で一緒に飲んだ大学時代の友人S君から「クール宅急便」が届きました 彼の奥さまの実家が勝浦で海産物を扱う商店を開いているとのことで、蓋を開けてみたら、サンマ、アジ、金目鯛、サバの干物が合計11尾も入っていて、あまりの大きさに圧倒されました さらにB1グランプリを取った「勝浦タンタンメン」のセットまで入っていました さっそく電話でお礼を言いましたが、友だちは有難いものです。わが家はみな魚が大好きなので有難くいただくことにしました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の朝刊各紙はドイツの指揮者クルト・マズアの死去を伝えていました。19日に88歳で亡くなったとのことです マズアと言えば旧東ドイツ出身の指揮者ですが、1989年11月のベルリンの壁崩壊、90年10月の東西ドイツの統一に向けて尽力した文化人でもありました

マズアで思い出すのは、彼が読売日響を指揮して新宿文化センターでコンサートをやった時のことです マズアが拍手に迎えられて指揮台に立った時、センターブロックの一番前に座っていた若い女性が、何を思ったか小走りに退場していったのです しかも、財布か何かに付いている鈴の音をチリンチリンと鳴らしながらです これにはマズアも、おやおや という顔で彼女の行く末をしばらく見ていましたが、振り返ってタクトを上げました。今でこそケータイの着信音が悩みのタネですが、当時はケータイが無い時代だったので、あの時は”アナログ”の鈴の音が悩みのタネでした。時代の変遷を感じる年の瀬です

アンネ・ゾフィー・ムターがヴァイオリンを弾き、マズアがニューヨーク・フィルを振って録音したブラームスのヴァイオリン協奏曲のCDを聴いて彼を偲ぶことにしましょう

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

本を5冊買いました。1冊目と2冊目はジェフリー・ディーヴァーの「バーニング・ワイヤー(上・下)」(文春文庫)です ジェフリー・ディーヴァーの作品はこのブログでも何冊か紹介してきましたね

 

          

 

                      

 

 3冊目は蒼月海里著「幻想古書店で珈琲を」(ハルキ文庫)です この人の名前は初めて見ましたが、どうやら書店の店員さんのようです

 

          

 

 4冊目は大平健著「診療室にきた赤ずきん」(新潮文庫)です この本は朝日か日経かで読んだ記事で知りました

 

          

 

5冊目はクラフト・エヴィング商會「ないもの、あります」(ちくま文庫)です 例えば「左うちわ」ってどういううちわ?とか、だれも見たことがない商品を扱っています

 

          

 

いずれもこのブログでご紹介していきます。お楽しみに

 

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クリスマス・オーケストラ・コンサートを聴く~第一生命ホール

2015年12月20日 09時20分22秒 | 日記

20日(日)。わが家に来てから449日目を迎え、『今ここに迫る危機』を身を持って示すモコタロです

 

          

 

                      

 

                      

 

                     

 

  閑話休題  

 

昨日の夕食はハンバーグです。お歳暮に冷凍ハンバーグを頂いたので、湯銭しました ハンバーグには子供たちが好きなスライス・チーズを載せました。ジャガイモとニンジンは皮付きのまま茹でて、ジャガイモにはバターを挟みました。あとはいつものサラダです

 

          

 

昨日の夕食はメインのハンバーグを湯銭しただけで、とても”料理”とは言えないので、朝食のことについて書きます 下の写真がいつもの朝食です。わが家はパン食ですが、食事が不規則な息子は朝食抜きで慌てて学校に行くことが多い今日この頃です 

コーヒーは欠かせません ペーパードリップで今はキリマンジャロAAをブラックで飲んでいます 私は昔からコーヒーには砂糖もミルクも一切入れない主義です。パンは毎日種類が変わりますが、今朝はクルミパンです。そして、これも欠かせないのがフルーツ&ヨーグルトです 最近はリンゴとイチゴを小さく切ってヨーグルトをかけて食べています。私の健康の秘訣は、この3点セットかもしれません

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「クリスマス・オーケストラ・コンサート」(1回目の部)を聴きました 

地下鉄「勝どき駅」から徒歩でトリトンスクエアに向かいました。ビルの中に入ると、第九の合唱が聴こえてきたので、おやっ?と思ったら、ロビーで「中央区第九の会」という団体がベートーヴェンの第九の演奏をやっているところで、ちょうど第4楽章の後半、4人のソリストが立って歌っているところでした。年末はどこに行っても第九ですね

 

          

 

          

 

          

 

さて、第一生命ホールでのコンサートのプログラムは①モーツアルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章」、②きらきら星変奏曲(木管五重奏版)、③ヴィヴァルディ「2つのトランペットのための協奏曲~第1楽章」、④アンダーソン「クリスマス・フェスティバル」、⑤シューベルト「交響曲第1番~第1楽章」、⑥グルーバー「きよしこの夜」です 演奏は、NHK交響楽団ほか在京のオケの若手を中心に集まった33名による音楽集団「ARCUS」です

 

          

 

自席は1階18列23番、センターブロック右通路側席です。「子どもを連れてクラシック」という触れ込みのコンサートだけあって、会場は小学生を伴った親子連れがほとんどで、いつものコンサートと違って賑やかです 私の前も左隣りも後ろも全部小学生です。ステージには最初に20人の弦楽奏者が出てきてN響のヴァイオリン・フォアシュピーラー松田拓之氏の音頭でモーツアルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」から第1楽章が演奏されます。女性奏者はカラフルな衣装を身にまとっての演奏です N響の定期公演ではないので、華やかでリラックスした気分で良いと思います

演奏が終わると松田氏が、同じ弦楽器でもヴァイオリンとヴィオラとチェロとコントラバスは形は違うが、楽器が大きくなるにつれて音が低くなることを説明、それぞれの奏者が短いフレーズを演奏し小学生たちに音色を聴かせました 

次いで松田氏は「次のモーツアルトの『キラキラ星変奏曲』を管楽五重奏で演奏しますが、演奏の前にクイズをやります。舞台の奥で5つの楽器を鳴らしますので何と何の楽器か当ててください 分かった人は大きな声で叫んでください」と小学生を挑発しました

5つの楽器がアンサンブルで鳴らされると、会場のあちこちから「クラリネット!」「ホルン!」「ファゴット!」「フルート!」「オーボエ!」と大きな声がかかります 私のすぐ後ろのガキが、もとい、育ちの良さそうなお子様が、その都度大きな声で叫ぶので耳が潰れそうになりました

楽器の名前が当たるたびにその楽器の奏者が短い曲を演奏し、次の楽器クイズに移りました。5つが全部当たったところで、5人の奏者は舞台前方ではなく、管楽器の定位置で「きらきら星変奏曲」を演奏しました

会場が急に暗転し、左右の入り口ドア付近で、スポットライトを浴びたトランペット奏者が勇ましいファンファーレを吹き、小学生たちを驚かせました そしてヴィヴァルディの「2つのトランペットのための協奏曲」から第1楽章をオケをバックに明るく楽しく演奏しました

今度は打楽器を含めた33人のフルメンバーが登場して、アンダーソンの「クリスマス・フェスティバル」を演奏します この曲は「もろびとこぞりて」「ジングルベル」「きよしこの夜」などのクリスマスの曲が「フックト・オン・クラシックス」のように次から次へと出てくる曲で、小学生を飽きさせません

 

          

 

次にシューベルトが16歳の時に作曲した「交響曲第1番」から第1楽章を根性を込めて演奏し、小学生に本格的なクラシックの一端を叩き込みました この曲を聴いて、数年前にユベール・スダーンが東響を振って演奏したシューベルトの交響曲全曲演奏シリーズの名演を思い出しました

最後にグルーバーの「きよしこの夜」を、会場の小学生を巻き込んでステージと客席の一体化を図り、国営放送局であるNHKらしい視聴者参加型の演奏に徹しました そして、アンコールにアンダーソンの曲の後半部分を演奏し、コンサートを締めくくりました

このコンサートで感心したのは、進行役を務めたヴァイオリンの松田拓之氏のトークです 小学生を相手に実に分かりやすく、クラシックが身近に感じられるようにユーモアを交えて解説していました ある程度、慣れていないと出来ないと思います

笑味、もとい、正味1時間ほどのコンサートでしたが、こういうコンサートを通じて本格的なオーケストラの演奏会に行く人が一人でも多く増えればいいな、と思いながら帰路につきました

 

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ピエール・ルメートル著「悲しみのイレーヌ」を読む~「その女アレックス」の衝撃をもう一度

2015年12月19日 08時36分11秒 | 日記

19日(土)。わが家に来てから448日目を迎え、相変わらず体重計が大好きなモコタロです

 

          

             ちーっす! 今年も残すところあと13日だね

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚肉とチンゲン菜の重ね蒸し」を作りました あとはいつもの野菜サラダです。「重ね蒸し」は子どもたちにも好評でした

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、大学時代の友人、S君と飲みました お互いの結婚式以来ですからほぼ30年ぶりです。彼は千葉県勝浦市の大手材木商の跡取り息子で、学生時代には大学主催の海外研修旅行にも参加していたし、結婚式も大掛かりで立派なものでした

新橋駅の機関車前で5時に待ち合わせましたが、お互い早めに着いたので、内幸町界隈を散策して時間を潰すことにしました S君とはゼミも別だったのになぜか気が合い、内幸町にNHKがあった時には水道橋にある大学から歩いて来たことがあります。今は日比谷シティになっている場所に案内して「ここがNHKがあったところだよ」と話しました。それから日比谷図書文化館(元・日比谷図書館)を訪ね、飯野ビルの地下に行って広場の椅子で一休みしました。そこで、S君がカバンからおもむろに取り出したのは「ルネ・マグリット展」の分厚い画集でした 今年6月に六本木の新国立美術館で展覧会が開かれたときに買い求めたとのことでした。出掛けに「こんな重いものをわざわざ持っていくなんて」と奥さまに笑われたそうですが、彼にとっては良き”重いで”のキッカケとなるツールだったのだと思います

大学時代、S君と北の丸公園にある東京国立近代美術館で開かれていたマグリット展に行ったことがあり、マグリットの有名な「大家族」(鳩の身体の中が空になっている絵)に感銘を受け、シュールリアリズムについて熱心に語り合ったのを覚えています 今回、彼の話を聞いて、お互いがその絵のポスターを部屋の壁に飾っていたことが判明しました 彼は6月に「マグリット展」を観て、私のことを真っ先に思い出して連絡をくれたのですが、その頃は連日コンサートの日程が入っていて、なかなか会う機会が持てませんでした 私の方が現役から退き、毎日のペースをつかみかけてきたこともあって、「そろそろ会おうか」と声をかけたのでした

5時半になったので、私が10月末まで働いていたNPCが入居するPCビル地下の焼き鳥Rに行って飲みました 彼は物持ちのいい人で、当時の卒業生名簿やら、ハガキやら、身分証明書用の写真やら(そこには髪の毛がしっかりと定着していた好青年が映っていた)、書いたけれど出さなかった手紙(どうして、そういうものを取っておく?)などを見せてくれました。それを見て、当時のことを思い出しました 「女子高の先生になるんだ」と言って別の大学に移っていったM君、革マル派の集会に行って、茨城弁で過激派学生に議論を吹っ掛けていたO君、卒業後「俺に1,000万円預けないか。1年後に2倍にして返してやる」と言っていた証券会社に就職したO君、島根県の県紙S中央新報社の取締役まで出世したM君・・・と話は尽きませんでした

お互いの家族の話になり、教師をしていた奥さまとの間に一人息子がいるが「出来ちゃった結婚」をして子供がいるので、今では「じーじ」になっているとのことで、『ライン』で長男夫婦とつながっているとのことでした 当方はまだ独身者を二人抱えているので、うらやましい限りです

あれやこれや話しているうちに時間があっと言う間に過ぎてしまい、いつの間にか9時半になってしまいました。4時間も話し込んでいたことになります 勝浦行の最終電車は東京駅発10時頃(早っ!)だというので、一緒に新橋駅まで行って山手線に乗りました。東京駅で、来年は私が勝浦に行くという約束をして別れました。「おれには何もないけど、友だちは沢山いる。それがおれの財産だ」と言っていた彼の言葉が忘れられません。再会を楽しみにしたいと思います

 

  最後の、閑話休題  

 

ピエール・ルメートル著「悲しみのイレーヌ」(文春文庫)を読み終わりました ピエール・ルメートルと言えばあの「その女アレックス」の衝撃が忘れられません。彼は1951年パリに生まれ、教職を経て、2006年にここで紹介する「悲しみのイレーヌ」で作家デビューしました この作品はコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ大賞を受賞しています つまり、彼は55歳の遅まきデビューで、いきなりミステリ界の時代の寵児となったのです

 

          

 

「こんなのは見たことがない」と事件の現場を見た警察官に言わしめたほど異様な手口で二人の女が惨殺された その後も連続して同じ犯人による異様な殺人事件が発生する。背が低いのが特徴のカミーユ・ヴェルーヴェン警部は、若き富豪警部ルイ、ケチで名が通っているベテラン刑事アルマンらと事件の解決に挑む ヴェルーヴェンは、一連の犯行が過去の犯罪小説をそのまま実行に移したことを突き止める。ヴェルーヴェンらは、専門家の手を借りながら、凶悪な犯罪をテーマにした過去の犯罪小説を調べ上げ、何らかの手がかりを得て、次の犯行を阻止しようと尽力する。しかし、やっと真犯人のめどが立ったところで、犯行の手はついに、ヴェルーヴェン警部の身重の妻イレーヌに及ぼうとしていた

この作家は凄いです 途中まで読んで初めて、犯人の手記を読んできたことに気付かされます 「魔法の書がある。それを読んだ人は生きて帰れない」という書き出しで人を引き付けておいて、最後に「いまあなたが読んできたこの本こそ『魔法の書』である」と引っかける手法に似ています

エピローグは事件から1年後に犯人が拘置所の中からヴェルーヴェン警部あてに書いた手紙の形を取っていますが、その中で「ある意味では、殺したのはわたしでもあり、あなたでもあるんじゃありませんか?」と問いかけています 警部には思い当たる節があるでしょう。そんなことも考えながら一気読みしました。お薦めします

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「ピアノで聴く田園交響曲」(ピアノ&解説=沢田千秋)を聴く~音楽の友ホール

2015年12月18日 07時06分12秒 | 日記

18日(金)。わが家に来てから447日目を迎え「頭隠して尻隠さず」の状態にあるモコタロです

 

          

            あなたの過去など 尻たくないの なんて歌あったな

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「すき焼き煮」を作りました。あとはレタスと大根とトマトとブロッコリのサラダと、エリンギと豆腐の味噌汁です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、神楽坂の音楽の友ホールで「ピアノで聴く田園交響曲」を聴きました これは日本ベートーヴェンクライス主催による公演でピアニストの沢田千秋さんが解説をしながら演奏をする「レクチャーコンサート」です。第1部はリスト「ベートーヴェン交響曲ピアノ・スコア」、第2部は「ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調”田園”」リストのピアノスコアによる演奏です

 

          

 

音楽の友ホールは確か20年以上前に一度行ったことがありますが、どの辺にあるのか思い出せません チラシによると地下鉄東西線「神楽坂駅」1番出口から徒歩1分とあります。実際に行ってみたら坂の上に位置していました。かつての記憶では坂の下にあったと思うのですが、人の記憶はあいまいですね 同ホールは音楽之友社の1階奥にありますが、まさか同社が引っ越ししたわけではないでしょう 

全自由席のためちょっと早めに着いたので、前から2列目のほぼど真ん中の通路側席を押さえることが出来ました 小ホールですが、会場はほぼ満席に近い状態です。ステージ中央にはヤマハのグランドピアノがスタンバイしています この会の主役・沢田千秋さんが上下黒の衣装で登場、挨拶をしてさっそくベートーヴェンの交響曲のピアノ演奏について解説を加えました

最初に沢田さんが何故交響曲のピアノ版の演奏に興味を持ったかといった話を披露し、ピアノ編曲の種類や文化について解説しました ピアノ編曲には、原曲の調性や和声構造、全体の小節数、楽曲構造などの内容を温存した「トランスクリプション」と、旋律など原曲の一部を素材として用い、自由に発展させていく「パラフレーズ」があるとのことで、リストの「ベートーヴェン交響曲ピアノスコア」は「トランスクリプション」とのことです

ピアノ編曲の全盛期とも言える19世紀は、ヨーロッパ社会が貴族中心の社会から市民社会へと大きく変化したという特徴があり、ピアノの性能も画期的に向上した時期で、演奏技術に大きな影響を及ぼしたということです そうした背景のもと、管弦楽曲などの作品をアマチュア向けに編曲した「トランスクリプション」が、家庭で音楽に触れるツールとして、現代のレコードやCDのような役割を担っていたとのことです それが20世紀に入り、オーディオ機器が普及し、インターネットを通じて音楽を視聴したりできるようになったことに伴い、録音物の代用として重宝されてきた「トランスクリプション」は、事実上役割を終えることになったということです ただ、演奏する側として、沢田さんは、一つの表現形態としての「トランスクリプション」を普及させたいと熱意を語ってました

 

          

 

そして、ベートーヴェンの第5番”運命”冒頭部分のピアノ編曲版の聴き比べに入りました。最初にフンメルの編曲版を演奏、次いでカルクブレンナーの編曲版を演奏しましたが、まったく同じです メロディーそのものを素直にピアノ用に編曲したといった感じです。次にリストの編曲版で演奏しました。これがまったく違うもので、深みが増したというか、迫力がまったく違います 沢田さんの解説によると、リストはオクターヴ低い音を加えているとのことです

その後、「リストのスゴ技10」と題して、いかにしてリストはベートーヴェンの交響曲を効果的にピアノ演奏用に編曲したかについて、第5番、第6番の演奏を加えながら解説しました 言ってみれば、交響曲は様々な音色の楽器により演奏されるわけで、それをピアノ1台でその世界を表出するわけですから、相当な工夫が必要になります リストは、例えば、左手に金管楽器の音を乗せ、右手に弦楽器の音を乗せて、さらにタイミングを図って左手に木管楽器の音を乗せ、というように複合的に音を組み合わせて曲に広がりと深みを与えた、ということです

沢田さんの解説は素人の私にも分かりやすく、とても興味深く聴くことが出来ました

 

          

 

第2部はベートーヴェン「交響曲第6番ヘ長調”田園”」が、リストによるピアノスコア版で演奏されます 沢田さんが、お色直しして、紫色のラメ入りの衣装で登場します この会の前半で、何カ所かを予習していたので、演奏がスムーズに耳に入ってきます 「ああ、ここはホルンに吹かせるつもりで編曲したんだな」とか「ここは、弦楽器に歌わせているな」とか勝手に解釈しながら聴いていました 前から2列目で、ピアノのすぐ前なのですごい迫力で音楽が迫ってきます

第4楽章「雷雨、嵐」のあとの第5楽章「牧歌の歌」の美しいメロデイーを良い気分で聴こうと思っていたら、左後方から「ジリリリーン」というケータイの着信音が聴こえてきました 「おいおい、2日連続でケータイかよ」とうんざりしました しばらく鳴り続けましたが、”前日と比べれれば”比較的早めの音が鳴りやみました。普通のコンサートでない、ある程度聴衆の嗜好が限られた公演で、こういう非常識極まりないことが起こるのだろうか?と不思議に思いました しかも演奏の真っ最中に鳴ったのですから、演奏者に対して失礼だし、静かに音楽に集中している聴衆に対しても失礼です その人はたぶんケータイを持って退場したと思います

終演後、大きな拍手に、沢田さんは目に涙を浮かべて、この日の演奏会を開けたことに対する感謝のあいさつをされました。とても良いレクチャー・コンサートでした 今度は第5番と第7番のカップリングでレクチャー・コンサートをやってほしいと思います

 

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「文の京」の第九を聴く~文京シビックホール15周年記念公演

2015年12月17日 07時02分32秒 | 日記

17日(木)。わが家に来てから446日目を迎え、仮住まいの段ボール箱から白ウサちゃんに声をかけるモコタロです

 

          

           モコタロ:ここで雨宿りしてかないか? 白ウサ:雨降ってないし

 

  閑話休題  

 

昨日、久しぶりに内幸町に行って、飯野ビルの「ランチタイムコンサート」を聴きました これは毎月1回、飯野ビル1階のエントランスロビーで若手の演奏家を招いて、以前イイノホールで使用していたベーゼンドルファーを弾くコンサートを開いているものです 近くのビルの地下で軽く食事を取ってから12時前に会場に行き、前から3列目の椅子を確保しました 

ちょうど、仕事上いろいろお世話になったイイノホールの支配人K氏のお顔が見えたので挨拶をしました。さて、演奏するのは桐朋学園大学音楽学部4年在学中の大江沙耶さん(ヴァイオリン)と、同じく坂本彩さん(ピアノ)の二人です

 

          

 

ヴァイオリンの大江さんは薄紫のドレス、ピアノの坂本さんは淡いピンクのドレスでの登場です 最初にエルガーの「愛の挨拶」から演奏しました。演奏と演奏の合間に曲目解説を入れていたので、座って聴いている人も、立ったまま聴いている人も、ロビーを行きかう人も熱心に耳を傾けていました

マスネ「タイスの瞑想曲」、ピアソラ「リベルタンゴ」と続き、この日のメインであるフォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」の第1楽章、第4楽章が演奏されました これは聴きごたえがありました ロマンティックであり詩情豊かでもあり、素晴らしい演奏でした。あらためて桐朋の学生は優秀だな、と思いました

そのあとシューマン「3つのロマンス」とサン=サーンス「ハバネラ」を演奏して45分のミニ・コンサートを締めくくりましたが、とても良いコンサートでした 演奏が終わってから、K氏とIビルテックのK氏に、「良いコンサートでした。素晴らしい社会貢献ですね」と感謝の気持ちをお伝えしました

          

  も一度、閑話休題  

 

昨日の夕食はマーボナスを作りました あとはサラダとホウレン草の味噌汁です。マーボナスは作りすぎました

 

          

 

  またまた、閑話休題  

 

新日本フィルから次年度の「室内楽シリーズ」の請求書が届いたので振り込みました 申し込んでおいたのは来年4月11日(月)のクラリネット・重松希巳江さんプロデュースによる公演(フランセ「クラリネットと弦楽四重奏曲のための五重奏曲」、ブラームス「クラリネット三重奏曲イ短調」)と、7月13日(水)の第2ヴァイオリン・吉村知子さんプロデュースによる公演(ベートーヴェン「セレナーデ ニ長調」、ブリス「オーボエ五重奏曲」)です 5月と6月の公演は、残念ながらほかのコンサートの予定があり聴きに行けません

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕、文京シビックホールで「『文の京』の第九」公演を聴きました これは文京シビックホール15周年記念公演として挙行されたものです。プログラムは①ワーグナー「さまよえるオランダ人序曲」、②ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」です。指揮は大井剛史、ソプラノ=西本真子、アルト=奥野恵子、テノール=朝倉佑太、バリトン=加藤宏隆。オケはSHOBIシンフォニーオーケストラ、合唱は「文の京」の第九合唱団です

 

          

 

自席は1階22列14番、センター左ブロック右から3つ入った席です。会場はほぼ満席状態です 何しろ合唱団だけで文京区に在住、在学、在勤の人が総勢200人を超えるのですから、その関係者だけでも相当な人数が集まっているはず 豊島区に住む私などは例外と言ってもよいでしょう

舞台の奥行が深いせいか、オケが後方寄りにスタンバイしています。オケはこのシビックホールのすぐ近くにある尚美ミュージックカレッジ専門学校の学生選抜メンバーから成ります オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスというオーソドックスな編成をとります いかにも生真面目そうな指揮者・大井剛史が登場、1曲目のワーグナー「さまよえるオランダ人」序曲が演奏されます。ワーグナーはその当時忘れられていたベートーヴェンの第九を蘇らせた立役者として、この公演で取り上げるようになったとのことです 冒頭からうねるような力強い音楽が展開します。なかなかやるじゃないか、といった感じです。迫力がありました

 

          

 

10分間の休憩後、いよいよベートーヴェンの第九の演奏に入ります。プログラムノートによると、この日、12月16日はベートーヴェンの誕生日である可能性が高いと説明されていました それによると、「正確な誕生の日付に関する記録は残っていないが、12月17日が教区教会での受洗日となっていることから、おそらく生誕日は12月16日だったのではないかと考えられている」とのことです。知らなんだ

第1楽章と第2楽章が順調に進み、さて第3楽章に移ろうとするとき、2階席からケータイの着信音が聞こえてきました かなりのんびりした、人を馬鹿にしたようなメロディーで、なかなか止まりません 指揮者も後ろを振り返って2階席を見上げています。1階前方の席から2階席に向けて大きな声で「どなたかケータイの着信音を消していただけませんか」と怒鳴りました。私の隣席の人は「自分のケータイの着信音くらい分かるだろうに」と言っていましたが、多くの人はそう思ったに違いありません それでもまだしばらく鳴っていました。呆れたころ、やっと音が鳴りやみ、指揮者もオケの方を向いてタクトを上げました

こんなに長いケータイの着信音による演奏妨害は初めてです 3分以上は鳴りっぱなしだったのではないでしょうか。自分のケータイの着信音さえ認識できない人は、コンサートに来ても音楽を聴く耳を持っていないと思います 

そういう不本意な妨害があったものの、大井はめげずに第3楽章を無事こなしました

第3楽章が終わると、オケの後方にコーラス陣が入場し配置に着きます。真ん中に男声を挟み、両脇に女声がスタンバイします 総勢200人以上のコーラス陣はさすがに壮観です 次いでソリストの4人が登場、センターにスタンバイします

オケの爆発とともに第4楽章が開始されます。バリトンによる「おお友よ、この調べではない・・・・」という歌は東京芸大卒の加藤宏隆が歌いましたが、深みのある声で会場を圧倒しました 合唱はさすがに数の力により大迫力の”歓喜の歌”を歌い上げました 練習、大変だったでしょうね。でもハレの舞台で歌えましたね。お疲れさまでした オケは若干不安定なところもありましたが、アマチュア・オケにしては大健闘でした

 

          

 

それにしても、この「文の京」の第九実行委員会はプログラムだけではなく、プログラムを入れるクリアファイルまで作って配るんですから徹底しています 表面にはオケと合唱団の写真と、指揮者、合唱指揮者、ソリストの名前が、裏面にはオケのメンバーとコーラス陣全員の名前が印刷されています。この公演に参加した人たちにとっては良き思い出の記念品になるでしょう

 

          

 

                      

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福川伸陽&三浦友理枝「ホルンとピアノの万華鏡」を聴く~第一生命ホール

2015年12月16日 07時01分22秒 | 日記

16日(水)。わが家に来てから445日目を迎え、CDラックを前に呆然としてたたずむモコタロです

 

          

             えっ シューベルトのピアノ・ソナタのCDを探せって?

 

                       

             ピアノ・ソナタって言ったって いっぱいあるし・・・・

 

                     

             第一 ぼく文字が読めないし ムリムリムリ

 

  閑話休題  

 

昨日の夕食のメインは「牛肉の八幡巻き」です。あとはダイコン・サラダとコンソメ・玉子スープです 「牛肉の八幡巻き」(ごぼう巻き)は、牛肉のもも肉が売り切れだったのでバラ肉で代用し、料理の手順を一部間違えたため苦労しましたが、その甲斐あって子供たちの評判は上々でした

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「福川伸陽&三浦友理枝 ホルンとピアノの万華鏡」を聴きました プログラムは①マレ「5つの古いフランスの踊り」、②ベートーヴェン「ホルン・ソナタ ヘ長調」、③酒井健治「ホルンとピアノのための”告別”」、④ショパン「バラード第3番イ長調」(ピアノ・ソロ)、⑤鈴木優人「モーツアルティアーナ」、⑥ローゼンブラット「カルメン・ファンタジー」です

ホルンの福川伸陽は日本フィルの首席奏者を経て2013年からNHK交響楽団のホルン奏者を務めています 一方、三浦友理枝は英国王立音楽院を首席で卒業、2001年「第47回マリア・カナルス国際音楽コンクールで第1位を獲得している人気のピアニストです

 

          

 

自席は1階8列11番、左ブロック右から2つ目です。会場は6割程度入っているでしょうか。ウィークデーの真昼間ですから、健闘していると言っても良いでしょう 1曲目はマレの「5つの古いフランスの踊り」です。マラン・マレ(1656-1728年)はフランスの作曲家ですが、太陽王ルイ14世の宮廷で活躍していた人です 「5つの古いフランスの踊り」は1.愉しいロンド、2.プロヴァンスの踊り、3.ミュゼット、4.水夫の踊り、5.バスクの踊りから成ります。踊りの音楽なので聴いていて楽しくなります。楽器も明るいホルンと音域の広いピアノとがリズム感よく奏でられ心地よく耳に響きます

2曲目はベートーヴェンの「ホルン・ソナタ ヘ長調」です。この曲はベートーヴェンが活躍していた頃に使っていたバルブの無いホルンで演奏するということで、演奏に先立って、進行役の山野雄大氏がナチュラル・ホルンを持った福川氏にインタビューしながら解説を加えました それによると、モダン楽器だと左手の指でバルブを操作するので左手が活躍するのに、ナチュラル・ホルンだと左手を固定して右手をラッパの中に出し入れして音程を調整するのに忙しいということでした 福川氏の説明によると、ナチュラル・ホルンの長さは4メートル弱とのことで、ストレートなアルペン・ホルンを巻き上げた感じだとのことでした。見た目はそれほど長い感じはしませんが、伸ばすと4メートルにもなるのですね

このソナタを生で聴くのは初めてです。しかもバルブなしでの演奏はCDを含めて初めてです 聴いている限り、極めて技巧が要る曲で、相当右手の動きに細心の注意を払いながら吹かないと正確な音程の音は出せないのではないか、と思いました 福川伸陽は三浦友理枝のしっかりしたサポートのもと、伸び伸びと正確に演奏し切りました。素晴らしい演奏でした

次の曲は酒井健治(1977年~)がこの二人の演奏家のために作曲した「ホルンとピアノのための『告別』」です。この「告別」というのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番変ホ長調「告別」の動機からインスピレーションを得て作曲したもので、悲しい音楽ではありません 聴いていると、ホルンはもちろん大変ですが、ピアノがそれ以上に忙しく超絶技巧の曲のように思いました この曲を聴いて思ったのは、三浦友理枝というピアニストは相当打鍵が強いのではないか、ということです

 

          

 

ここで、ホルン奏者を休ませるために三浦友理枝のソロでショパン「バラード第3番変イ長調」が演奏されました ショパンのバラードというと第1番を思い浮かべますが、この3番も良い曲です。ショパンが得意、というのも頷ける演奏でした

続いて、バッハ・コレギウム・ジャパンのオルガ二ストとしてお馴染みの鈴木優人がこの二人のために作曲した「モーツアルティアーナ ~ ホルンとピアノのための しりとり変奏曲」が演奏されました 山野氏の解説によると、モーツアルトのホルン協奏曲第1番のテーマをもとにした変奏曲で、「しりとり」というのは作曲家のアルファベット表記でしりとりをしていくように変奏を展開していく曲とのことです 最初がモーツアルトで最後がTで終わるので、次はTで始まるチャイコフスキーの曲が現れ、最後がYで終わるのでイザイ・・・・といった具合に展開していくようです

全部で16人の作曲家の曲が演奏されましたが、どこかで聴いたことがある、と思って思い出そうとしていると、もう次の曲に移ってしまうので、結局半分以上分からないまま最後のフィナーレを迎えてしまいました 正解はロビーに貼り出されました

 

          

 

この曲の”ミソ”は、モーツアルトのMで始まって、アマデウスのSで終わる(ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト)、それが作曲者のSUZUKI(S)MASATO(M)に結びついていて、また先頭のモーツアルトのMに戻るというところです

最後の曲はローゼンブラット(1956年~)の「カルメン・ファンタジー」です。言うまでもなくビゼーの歌劇「カルメン」から主なメロディーを取り上げた曲で、原曲はクラリネット版とのことです これをホルンで吹くというのですから相当のテクニックがないと息切れしてしまうでしょう そこは福川です。何の苦も無くカルメンの世界を表出します。さすがはN響で吹いているだけあるな、と唸ります

二人はアンコールにプーランクの「愛の小路」というチャーミングな曲を演奏してコンサートを締めくくりました 「モーツアルティアーナ」の作曲者・鈴木優人がサプライズ出演し、一言挨拶するというおまけが付いていました

休憩なしで約1時間半のコンサートが2,000円で聴ける。こんなに良心的なコンサートも珍しいでしょう 次回は来年5月とのことですが、是非聴きに行きたいと思います

 

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「ボヴァリー夫人とパン屋」「彼は秘密の女ともだち」を観る~早稲田松竹

2015年12月15日 07時06分56秒 | 日記

15日(火)。わが家に来てから444日目を迎え、おやつが生きがいのモコタロです

 

          

             おやつさえもらえれば 多少のことはスルーするよ

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に日曜日の朝日新聞に載っていた「ダイコンと豚肉の煮物」を作りました あとはいつものサラダと、ダイコンの葉っぱがもったいないので、自己流で油揚げと一緒に、醤油、ミリン、酒で炒めてみました。和食はこの3つの調味料があれば大抵のものは出来るのではないかという甘い考えで作ったのですが、味は甘くなかったです それでも子供たちからは「ダイコンと豚肉の煮物」も「ダイコンの葉っぱの適当炒め」も大好評でした

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、早稲田松竹で「ボヴァリー夫人とパン屋」と「彼は秘密の女ともだち」の2本立てを観ました 「ボヴァリー夫人とパン屋」は2014年フランス映画です

 

          

 

フランス西部ノルマンディー地方でパン屋を営むマルタン家の隣に、イギリス人夫妻が引っ越してきた その名は、ノルマンディーを舞台にしたフローベールの『ボヴァリー夫人』の登場人物、ジェマとチャーリー・ボヴァリーだった 文学好きのマルタンは自由奔放に行動するジェマから目が離せなくなる。やがて近所の屋敷に若き青年が受験勉強のために一人でやってきて、ジェマは夫の目を盗んで情事を重ねるようになる このままではジェマが『ボヴァリー夫人』と同じような運命をたどるのではないか、と案じたマルタンは、ジェマあての偽の手紙を書く それが元で思わぬ方向に話がころがり、結局マルタンの懸念は払しょくできないまま物語が展開する

 

          

 

原作『ボヴァリー夫人』を読んだことはありませんが、文庫本のキャッチフレーズは「田舎町の不倫話を芸術にしたフランス小説の傑作」らしいです

さて、私が興味があるのは音楽です。この映画で使われていたクラシック音楽は、映画の冒頭で流れたヨハン・シュトラウスⅡ世の「美しき碧きドナウ」です エンドロールを見ていたら「ヘンデル」という名前が出てきましたが、どのシーンで使われたのか分かりませんでした ひょっとすると、教会で祈るシーンがありましたが、そこでオルガンで演奏されていたのがヘンデルだったのかも知れません

さて次は「彼は秘密の女ともだち」です。この作品は2014年、フランソワ・オゾン監督による映画です

 

          

 

クレールは、親友のローラを亡くし悲嘆に暮れている。残された夫のダヴィッドと幼子を守ると約束したクレールだが、ある日、ダヴィッドが女装癖があることを偶然知ってしまう 最初は戸惑い気味なクレールだったが、やがて彼を「ヴィルジニア」と名付け、夫に内緒で親交を深めていく。そうすることによって、彼女自身も女としての輝きを取り戻していく しかし、ある出来事をきっかけにヴィルジニアが男であることを否定できない事実に直面し、彼から距離を置こうと考えるが、ヴィルジニアは交通事故にあって意識不明の重体になってしまう 彼女が彼を見舞うことを通して二人はお互いに新たな道を見い出していく

 

          

 

さて、音楽です。この映画では少なくとも2回、オペラのアリアのような女声の歌が流れます 1回目は何か分かりませんでしたが、2回目に流れたのは次の2つのうちどちらかではないかと思います 

第1候補:カタラーニの歌劇「ワリー」第1幕から「さようなら、ふるさとの家よ」

第2候補:ジョルダーノの歌劇「アンドレア・シェニエ」第3幕から「亡くなった母を」

どちらも静かな感動を呼ぶソプラノのアリアです 映画の最後に流れるエンドロールを目を凝らして見ていたのですが、なにしろフランス語なのでさっぱりついていけず、まったく分かりませんでした

フランス映画は、クラシック音楽を使う場合、純粋な器楽による音楽よりも人間の声を使う方が多いような気がしますが、気のせいでしょうか

 

          

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ゴレンシュテイン+東響でチャイコフスキー「交響曲第5番」他を聴く~第636回定期演奏会

2015年12月14日 07時11分45秒 | 日記

14日(月)。わが家に来てから443日目を迎え、お兄ちゃんと闘牛ごっこをして遊ぶモコタロです

 

          

              ほれほれ こっちだ こっちだ かかってこい!

 

                      

             あっ そらされた いいとこ見せようと思ったのに

 

                      

             遊んであげたのに お兄ちゃん どっかにいっちゃったよ

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第636回定期演奏会を聴きました プログラムは①ムソルグスキー「交響詩”禿山の一夜」(リムスキー・コルサコフ編)、②ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、③チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」です。指揮は2002年に巨匠スヴェトラーノフの後任としてロシア国立交響楽団の首席指揮者に就任しているマルク・ゴレンシュテイン、②のピアノ独奏はモスクワ音楽院出身のセルゲイ・カスプロフです

 

          

 

1曲目のムソルグスキーの交響詩「禿山の一夜」は、リムスキー・コルサコフの編曲によるバージョンで演奏されます この作品は、もともとムソルグスキーがゴーゴリの短編「聖ヨハネ祭前夜」にインスピレーションを受けてオペラを作ろうとしたものの完成に至らず、1867年にオーケストラ用に作曲したものです。それは現在「原典版」と呼ばれています その後、リムスキー・コルサコフがこの作品を「洗練さに欠ける」として編曲したということです

コンマスのグレブ・二キティンのもとチューニングが行われ、指揮者ゴレンシュテインが登場します。一見、80年代にマーラーブームの一角を担ったガリー・ベルティー二に風貌が似ています ゴレンシュテインのタクトで「禿山の一夜」の不気味な音楽が始まります これはこれで良いのですが、私はかつて一度聴いた、洗練されていない荒々しい「原典版」による演奏の方が好きです いかにも42歳の誕生日にブランデーの大瓶を一気飲みして発作を起こし急逝したムソルグスキーらしい曲だと思います。良い人でした。面識はありませんが。惜しい人を亡くしました

段差が付いた第1ヴァイオリンの床がコンピュータ制御により平らにならされ、ステージ左サイドにあったグランドピアノがセンターに移動します。2曲目のラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏するため、ソリストのセルゲイ・カスプロフが指揮者とともに登場します かなりの長身です。ピアノの前で会場に一礼したかと思ったら、ニコリともせずにすぐにピアノに向かいました。多くのピアニストは指揮者やコンマスと握手をしたりして、おもむろにピアノに向かいますが、この人は直球勝負の人のようです。あるいは緊張しているのかもしれません

この曲の名前にある「パガニーニの主題」とはパガニーニの「24の奇想曲」の最後の第24番の「主題と変奏」の「主題」のことを指します カスプロフはゴレンシュテインの確かなサポートのもと、高度なテクニックによって変奏曲を紡いでいきます この曲で一番有名な第18変奏「アンダンテ・カンタービレ」こそラフマニノフのロマンティシズムが凝縮された曲です 何度聴いても背筋が寒くなるほど感動します

会場いっぱいの拍手とブラボーに、カスプロフはいきなり高音部での超高速演奏を始めました。何の曲か知りませんが、人間の手でこんな高速演奏が可能なのだろうか と思うほど超絶技巧・超高速で最後まで弾き切りました あとでロビーの掲示で確かめたらヴィラ・ロボス作曲「赤ちゃん族」第1組曲「お人形たち」~7「道化人形」とのことでした プログラムに掲載された彼のプロフィールによると、リヒテル国際ピアノコンクールでは、審査員長の鬼才ヴァレリー・アファナシエフから絶賛されたとのこと。さもありなん、です

 

          

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」です。この曲の大きな特徴は、第1楽章に登場する「運命」の主題が、最初は絶望的な雰囲気の曲想なのに、第4楽章に登場するときは勝利のテーマとして現れるということです ベートーヴェンの「苦悩から歓喜へ」「闇から光へ」というテーマを思い出します

この曲で一番好きなのは第2楽章「アンダンテ・カンタービレ コン・アルクーナ・リチェンツァ」です 「コン~」というのは「ある程度自由に」という意味だそうです。ホルンが抒情的なテーマを奏で、クラリネットとオーボエが絡んで演奏されますが、メロディー・メーカー、チャイコフスキーの面目躍如といったところです

最後の第4楽章「フィナーレ」は勝利の音楽です。第1楽章で「暗いMAX」だったテーマが、この楽章では堂々たる「勝利MAX」のテーマに変貌しています

最後まで聴いてみて思います。マルク・ゴレンシュテインのタクトさばきは見事でした

 

                      

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ハイドン、ショスタコーヴィチ、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲を聴く~ヤマハホール

2015年12月13日 08時53分58秒 | 日記

13日(日)。わが家に来てから442日目を迎え、椅子の下にもぐり ”一人消防訓練”に参加しているモコタロです

 

          

             地震だ! って声がしたら この下にもぐればいいんだよ

 

  閑話休題  

 

昨日、銀座のヤマハホールで「徳永二男、堤剛、練木繁夫による珠玉のピアノトリオ・コンサートVol.2」を聴きました プログラムは①ハイドン「ピアノ三重奏曲第39番ト長調”ジプシー・トリオ”」、②ショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番ホ短調」、③メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」です これは、メンデルスゾーンが目当てでチケットを買ったコンサートです

 

          

 

自席は1階K列15番、右ブロック左通路側です。会場はほぼ満席です 3人の奏者が登場し、1曲目のハイドン「ピアノ三重奏曲第39番ト長調」の演奏に入ります この曲は”ジプシー・トリオ”という愛称が付けられていますが、これは第3楽章がジプシー風音楽であることに由来します。それにしても、ハイドンはピアノ三重奏曲だけでも40曲以上書いているということですから、交響曲や弦楽四重奏曲ばかりでなく、”ピアノ三重奏曲の父”とも言えるのではないかと思います 3つの楽章から成りますが、ハイドンらしい明るく明快な音楽です。3人の呼吸はぴったりで、心地よい演奏に思わず寝入りそうになりました

2曲目はショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番ホ短調です。1944年(ショスタコーヴィチ38歳の時)の作品ですが、彼の親友で音楽評論家のソレルチンスキーの急逝を悼んで作曲されたものです

第1楽章の冒頭、チェロが演奏に入ろうとするまさにその時、会場の左サイドの席からケータイの着信音が鳴り、演奏に入れませんでした 銀座に音楽を聴きにくる人は気配りが効いた人ばかりだと思っていましたが、中には無作法な人も混じっているようです。今どきコンサート会場でケータイの着信音を鳴らすなんて時代遅れもいいとこです。そんなブームはとっくの昔に終わっています

堤氏は仕切り直しです。冒頭、チェロが、笛のような音を出す特殊な奏法であるハーモニクスで演奏し、少し遅れてヴァイオリンが低音でその音を模倣します 皮肉屋ショスタコーヴィチらしい考えで、低音楽器と高音楽器の役割を入れ替えて演奏させているわけです 普段弾きなれない奏法に取り組んだせいか、堤氏のチェロが途中で方向感を失ったようで、聴く側もひやっとしました そこはベテラン、何とか立ち直り、ヴァイオリンとピアノに助けられて曲の流れを取り戻しました

圧巻は第2楽章「アレグロ・コン・ブリオ」です。いわば”スケルツォ”楽章ですが、ここはピアノを中心とする3人のバトルです ショスタコーヴィチらしい推進力に満ちた勢いの良い音楽が展開します 第3楽章「ラルゴ」、切れ目なく演奏される第4楽章「アレグレット」に続きますが、最後は消え入るように終結します。この辺もショスタコーヴィチらしいところです

 

          

 

休憩後は待望のメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」です。第1楽章の冒頭はチェロから入りますが、このチェロが素晴らしい ショスタコーヴィチの冒頭のツマヅキを挽回するのに十分な豊かな演奏です 徳永のヴァイオリンと練木のピアノが加わり、まさに”黄金の三重奏”が展開します この3人の演奏を見ていると、重厚感が漂います 音楽も重厚そのものです。第2楽章を経て、第3楽章はスケルツォですが、これがメンデルスゾーンらしい曲想で、まるで妖精が飛び回っているような賑やかな音楽です そして第4楽章のアレグロ・アッサイに移りますが、活気と推進力に満ちた曲想でフィナーレを迎えます

この曲や弦楽八重奏曲などを聴くたびに「メンデルスゾーンっていいなあ」と思います。3人はアンコールに、先ほど演奏したショスタコーヴィチの第2楽章を、次にメンデルスゾーンの3楽章をもう一度演奏し、再び会場いっぱいの拍手喝さいを浴びました

室内楽は、どちらかというと若手や中堅どころの演奏を聴く機会が多く、この日のようなベテラン勢による演奏は滅多に聴く機会がないだけに貴重な体験でした

 

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「ピアノで聴く田園交響曲」(解説と演奏:沢田千秋)のチケットを買う

2015年12月12日 07時36分08秒 | 日記

12日(土)。わが家に来てから441日目を迎え、チケット・ケースを味見しようとするモコタロです

 

          

              ご主人が またチケット 買ってきたみたいだ 味見しよっと

 

  閑話休題  

 

昨日は夜出かけるので子供たちのために夕食を作っておきました 鶏もも肉の照り焼き、いんげんのごまあえ、野菜・海藻サラダ(レタス、ブロッコリ、きゅうり、トマト、わかめ、オキアミ、生ハム)です。鶏は味見していないので中まで焼けていることを祈るばかりでしたが、飲み会の帰りにメールをチェックしたら娘から次のようなメールが入っていました

「鶏のもも肉めっちゃ美味しいです」

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、10月末まで勤務していたNPCの入居するPCビル地下1階の炭火焼き鳥Oで、W調剤薬局主催の「クリスマス会」が開かれ、あらかじめ社長夫妻から声をかけてもらっていたので参加しました 主催者側の仕事の都合で会の開始が午後7時半と遅かったので、下で報告するように上野の森美術館で「肉筆浮世絵 美の競艶」を観てきました 

この会では、参加者は全員1,200円程度のプレゼントを用意して、それを基に抽選によるプレゼント交換会が開かれます 私は前述「肉筆浮世絵 美の競艶」のカレンダーと浮世絵をあしらったチケットホルダー(合計1,300円)を買って、セットにしてプレゼントにしました あまりにも安直な決断に自己嫌悪に陥りましたが、あれも人生、これも人生、と思って深く考えないことにしました

タイミングよくX部長から電話があり、地下の焼き鳥Rで飲んでいるというので、早速合流しました そこで1時間半ほど飲んで時間を潰し、7時半少し前にOに移りました。私はk弁護士事務所の若手職員k氏やw薬局の美人2名と話をしながら楽しく過ごしました いよいよプレゼント交換の時間になり、くじを引くと「NO.2」の次の賞品が当たりました

       

          

 

「おっ シャネルだ だけど1,200円じゃシャネルは買えないだろう」と思って、開けてみると黒い箱が出てきました

 

          

 

シャネルの金庫破りセットか?と思って箱を開けてみると

 

          

 

                       

 

名刺入れ(カード・ケース)が現れました 私はもう名刺やカードを数多く使う立場にはないので、現役で活躍する娘にプレゼントすることにしました

抽選会はこれで終わりではなく、ダブル・チャンスということで、全員の中から3人だけに「職人厳選ハムギフト」が当たる抽選があり、何と、私はその3人の一人に当選しました 今年は最後までツキがあるようです Wご夫妻のお陰で楽しいひと時を過ごすことができました。ありがとうございました また来年もよろしくお願いいたします

 

  さらに、閑話休題  

 

「ピアノで聴く田園交響曲」のチケットを買いました 12月17日(木)午後7時から神楽坂の音楽の友ホールで開かれるレクチャー・コンサートです これは日本ベートーヴェンクライスの主催する公演で、第1部はリストの「ベートーヴェン交響曲ピアノ・スコア」についてピアニスト・沢田千秋さんが解説し、演奏します 第2部はベートーヴェン「交響曲第6番”田園”」がリストによるピアノスコアにより演奏されます。こういうレクチャー・コンサートは音楽素人の私にとっては貴重な勉強の機会です。楽しみです

 

          

 

  またまた、閑話休題  

 

前述のとおり、昨日、夜の宴会に先立って、上野の森美術館で「肉筆浮世絵 美の競艶~シカゴウェストンコレクション」を観ました これは先日、「日経ミューズサロン」のコンサートの際にアンケートに回答したところ招待券をいただいたものです

実は、9日(水)夕方、上野の東京文化会館大ホールに早稲田大学フィルのコンサートを聴きに行った際、ついでに、ということで5時ごろ同美術館に行ってみたのですが、「入館は4時半までです」と言われ、入れなかったのです 仕方なく仕切り直しで、昨日観に行ったのです

招待券を見ると確かに「午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)」と書かれています。金曜日だけは「午後8時まで」となっていますが、通常の開館時間が「10時から5時まで」というのはいかにもお役所仕事です この美術館は公益財団法人日本美術協会が運営するものらしいのですが、美術館は職員のためにあるのか と言いたくなります。サラリーマンは金曜の夜か土曜・日曜に来い、ということですから、私がサラリーマンだったら招待券が無ければ絶対観に行きません

 

          

 

そうは言うものの、美術展は素晴らしいもので、版画ではなく肉筆の浮世絵の数々が展示されていました 美術展ではアメリカ・シカゴの日本美術収集家ロジャー・ウェストン氏所蔵の肉筆浮世絵1,000点以上の中から厳選された130点が展示されています 江戸時代初期から明治に至るまでの肉筆浮世絵の歴史を知ることができます。私は作品の解説にある年代を見ながら、「モーツアルトの生まれる前から死後まで広い範囲で浮世絵が描かれていたんだな」と思っていました。今回の展示は滅多にないチャンスです。ぜひご覧になることをお薦めします

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、池袋西武の地下で新しいコーヒーを買ってきました 今度はキリマンジャロAAです。今はいろいろ試しています

 

          

本日toraブログのトータル・アクセス・ページ数が200万ページに達しました 本日現在のトータル・アクセス・ページ数は200万535PV、トータル・アクセス数は53万6,595 IPです。これもひとえに毎日ご覧いただいている定期読者の皆さまのお陰です。ありがとうございました これからもtoraブログをよろしくお願いいたします

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