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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

上岡敏之+新日本フィルでマーラー「交響曲第6番イ短調」を聴く~渾身のアダージェットも

2017年03月12日 08時28分56秒 | 日記

12日(日).昨日,神保町の三省堂書店の文庫本売り場で 何か面白そうな本はないものか と漁っていた時,スマホにメールが入っているのに気が付きました  当ブログ読者のゆえさんからでした  「夕方のコンサートに急に行けなくなったので 特に予定がなければ代わりに行きませんか」という内容でした  念のため手帳で予定がないことを確かめて「せっかくなので行かせてもらいます」と返信ました 早速最寄り駅で待ち合わせをして,チケットの受け渡しをしました.入った喫茶店がなぜかBGMにクラシック音楽(モーツアルトが多かった!)を流していて いい感じでした ゆえさんとお会いするのは久しぶりだったので,コンサート情報や,自己顕示欲と承認欲求の固まりのサスペンダー爺さんの話や,ゆえさんの仕事や職場の話などで盛り上がりました

ということで,わが家に来てから今日で894日目を迎え,久しぶりに新聞なしで登場するモコタロです

 

       

         今回は大きな新聞ネタがなかったみたいで  男前のぼくひとりが主役で登場だよ

 

  閑話休題  

 

昨夕,すみだトリフォニーホールで新日本フィル特別コンサートを聴きました これは「すみだトリフォニーホール開館20周年記念:すみだ平和祈念コンサート2017」という位置づけの公演です 多くの犠牲者を出した東日本大震災から昨日,3月11日でちょうど6年が経過しました.新日本フィル第4代音楽監督・上岡敏之がこの日のプログラムに選んだのはマーラーの「交響曲第6番イ短調”悲劇的”」です

 

       

 

ゆえさん から頂いたチケットの席は1階8列20番,何とど真ん中の席です.かなり前から根性でチケットを押さえたことが窺えます

さて,東日本大震災のあった2011年3月11日はダニエル・ハーディングが新日本フィルのミュージック・パートナーになる就任披露演奏会で,マーラーの交響曲第5番を振る記念すべき日だったのです 大地震の瞬間,ハーディングは会場のトリフォニーホールに向かうタクシーの中にいたそうです.大震災で東京都内も相当被害が出た中で,何とか会場のトリフォニーホールにたどり着いた100人ほどの聴衆のために,ハーディングはマーラーの第5番を演奏したのです その後,日本の被災者らのためにチャリティーコンサートを開き再度,第5番を演奏しました このことが,ダニエル・ハーディングと新日本フィルの結び付きを特別なものにしました

その6年後の今,音楽監督の上岡敏之がマーラーの第6番を振ることになったわけです

オケはいつもの態勢で,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという配置をとります その後方には管楽器と打楽器が所狭しとスタンバイします コンマスはチェ・ムンス,右へ山田洋子,吉村知子,ビルマン・聡平,川上徹,富岡廉太郎(客員),脇屋冴子,篠崎友美という並びです

ステージ上には収録マイクが10本ほど林立しています.2階パイプオルガンの左サイドを見ると曲の中で使用するカウベルがスタンバイしています

マーラーの「交響曲第6番イ短調」は1903年から1905年にかけて作曲されました よく言われることですが,この時期 マーラーは妻アルマと結婚したてで幸せの絶頂にありました   この曲は第1楽章「アレグロ・エナージコ,マ・ノン・トロッポ」,第2楽章「アンダンテ・モデラート」,第3楽章「スケルツォ」,第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラートーアレグロ・エナージコ」の4つの楽章から成ります

上岡敏之が登場,指揮台に上がり第1楽章の演奏に入ります上岡は音楽ライターのオヤマダアツシ氏のインタビューで「この曲は自分で指揮してみて,つかみどころのない難しい曲だなと感じました たとえば第1楽章をどういったテンポで始めるのかということすら迷ってしまいます 葬送行進曲にしては速すぎますし,力が強すぎると戦いへ行く感じになってしまう」と語っていますが,冒頭は肩の力の抜けた中庸なテンポで入りました この人の指揮を見ていて いつも思うのは,気負いがない自然なアプローチで音楽に対峙しているということです 上岡は第1楽章に限らず,クラリネットやオーボエなどの楽器に「ベルアップ」奏法を求めます.これは,楽器の先端を持ち上げて 吹いた音が客席に直接届くようにする演奏法です マーラーは楽譜に指示を書き込んでいます

第1楽章が終了すると,上岡はしばらく間を置きました.時間にすればほんの2~3分程だったと思いますが,忙しい日常生活を送る聴衆にとっては長く感じます この間の取り方は,第1楽章・第2楽章間ほどではないものの,後の楽章間でも見られました 第2楽章は比較的穏やかな曲想です.2階バルコニーのカウベルが鳴らされ幻想的な独特の世界を醸し出します

私が今回の演奏で一番印象に残ったのは第3楽章「スケルツォ」です ある意味,第1楽章冒頭の弦楽器の刻みの変形のような形で力強く入ってきますが,楽章全体は「先が読めない,奇想天外」,英語で言えば「エキセントリック」な音楽に満ち溢れています 私はこれまで何度か第6番を生演奏で聴いてきましたが,今回ほどこの楽章がエキセントリックだと感じたことはありませんでした これまで聴いてきたのは,ある意味 聴き易いようによく整理された演奏だったのに対し,上岡による演奏はエキセントリックな曲をエキセントリックのまま演奏している,という印象です

第4楽章はチェレスタとハープのグリッサンドによって導かれますが,この楽章も,音の強弱だけをとってみてもエキセントリックです さらにこの交響曲が「悲劇的」と呼ばれる根拠であるかのように 木の大ハンマ―による打撃が2回鳴り響きます この時は,床が振動し椅子が微妙に揺れました

最後の音が会場に吸収され,上岡の両手が下されると,しばしの しじまの後,会場割れんばかりの拍手とブラボーがステージに押し寄せました この時,時計を見るとジャスト8時30分でした.偶然とは思えません

 

       

 

「約90分のマーラーの大曲の後はアンコールはないだろう」という大方の予想を(よい意味で)裏切って,弦楽奏者だけでアンコール曲が演奏されました 3.11を意識すれば,バッハの「G線上のアリア」かバーバーの「アダージョ」あたりでしょうが,メインがマーラーです.この曲しか考えられません 巨匠ルキーノ・ヴィスコンティ監督が映画「ベニスに死す」でテーマ音楽として使ったマーラーの「交響曲第5番」の第4楽章「アダージェット」です

上岡敏之は前述のインタビューで「このコンサートを生きている方たちや未来がある方たちに向けてのメッセージにしたい」と語っていますが,そうは言うものの,このコンサートが「3.11  平和祈念」を意識していることから,「過去と現在の延長線上に未来がある.震災で犠牲になった人たちの魂を慰める意味も込めたい」と思ったのではないか,と想像します この「アダージェット」は魂を鎮めるとともに,明るい未来を見通すかのような穏やかでロマンティックな曲想です その意味では,この日のコンサートは,最初から アンコールの「アダージェット」がプログラムに組み込まれていたのではないか,と思います 私の想像が正しいとすれば,もしアンコールを聴かずに帰宅したお客さんがいたら コンサートが完結する前に帰ってしまったことになります  新日本フィルの弦楽セクションの総力を結集した渾身のアダージェットでした

 

       

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ディヴィーア+藤原歌劇団のベッリーニ「ノルマ」のチケットを取る / バッハ・コレギウム・ジャパン第121回定期演奏会を聴く

2017年03月11日 07時47分30秒 | 日記

11日(土).わが家に来てから今日で893日目を迎え,韓国の憲法裁判所が,国会で可決した朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴訟を妥当と判断し,大統領は失職し,次の大統領が決まるまで黄教安(ファン・ギョアン)首相が大統領代行を続ける というニュースを見て,朴大統領とその友人・崔順実(チェ・スンシル),そしてファン首相に成り代わって感想を述べるモコタロです

 

       

         朴:ぼく知らないじゃ通らなかった チェ・スンシル:チェッ! ファン首相:北朝鮮が不安

 

  閑話休題  

 

7月4日(火)午後2時から日生劇場で開かれる藤原歌劇団共同制作公演,ベッリーニ「ノルマ」のチケットを取りました 7月1日,2日,4日の3回ある公演の最終日です.このうち1日と4日にマリエッラ・ディヴィーアが,2日に小川里美がタイトルロールのノルマを歌います 指揮はフランチェスコ・ランツィッロッタ,演出は粟国淳です

「ぶらあぼ」2月号でこの公演のことは知っていたのですが,昨日が一般発売開始日だと知ったのは昨日の朝日朝刊の「本日発売!!ノルマ公演」という小さな告知広告でした 慌ててネットで日本オペラ振興会・藤原歌劇団を検索して予約手続きを進めました.1日は「ネット受付終了」だったので,4日を仮予約したのですが 1階やや後方右端だったので,もっと良い席がないかと仮予約を解除して もう一度アクセスしたら「ネット受付終了」と表示されました.どうやら逃したのが最後の1枚だったようです しまった!と思った時はアフター・フェスティバル(後の祭り)です 仕方ないので,池袋のピア チケットポートに行って手配しました.係員が「残っているのは最後の1枚です」と言うのでここでもビックリ 4日のピアでの扱いが最後なのか,S席が最後なのか不明ですが,いずれにしてもネットで逃した席より条件の良い席だったので迷わず購入しました こういうことは稀なことだと思います

昨年のグルベローヴァの「ノルマ」が散々だったので,ディヴィーアに期待します お願いだからドタキャンしないでね

 

       

 

「ぶらあぼ」で思い出しましたが,3月号に「4月から遠藤真理が読響のソロ・チェロ奏者に就任」という記事が載っていました これで読響も一層チェロが充実しますね

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,初台の東京オペラシティコンサートホールで,バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の第121回定期演奏会を聴きました いつも思うのは,「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」など バッハの大作の時は満員御礼なのですが,それ以外の定期公演では1階,2階の後方席の空き状況が気になります 世界に通用する数少ない音楽集団なのに寂しさを感じます それでも,バッハとその周辺の音楽だけを演奏するコンサートで定員の8割近くを埋めるのですから大したものと言えるのかも知れません

 

       

 

最初に鈴木優人のオルガン独奏で①バッハ「プレリュードとフーガ ロ短調」BWV544,②同「心より我こがれ望む」BWV727,③同「我ら苦しみの淵にある時も」BWV641が演奏されました バッハの曲をパイプオルガンで聴くと,いつも”にわかクリスチャン”になり,頭を垂れて日常の失敗や失態のあれこれを反省したりします.今回もそうでした

次いで管弦楽と合唱団が入場し,①J.ヴァルター:コラール「平安と喜びをもって,私は逝こう」,②プレトリウス「使者たるポリュヒュムニアと賛歌」より「平安と喜びをもって,私は逝こう」第2部・第3部,③シュッツ「葬送の音楽 作品7」より「平安と喜びをもって,私は逝こう」第21曲~合唱が演奏され,間を空けることなく④バッハ:カンタータ第125番「平安と喜びをもって,私は逝こう」BWV125が演奏されました

いつもは若松夏美がコンマスを務めますが,この日は寺神戸亮が務め,若松は第2ヴァイオリンのトップに回ります 演奏でいつも感心するのは,オーボエの三宮正満とフラウト・トラヴェルソの菅きよみです.抜群の演奏テクニックによる古楽器特有の柔らかい音で聴衆を魅了します ソリストではソプラノの松井亜希,カウンターテナーのダミアン・ギョン,テノールの櫻田亮,バスのドミニク・ヴェルナーといったB.C.Jではお馴染みの歌手陣がノン・ヴィブラートの歌声を披露してくれましたが,最近際立って安定しているのは櫻田亮だと思います

 

       

 

プログラム後半は①バッハ:カンタータ第33番「ただあなたにのみ,主イエス・キリストよ」BWV33,②同:カンタータ第1番「何と美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは」BWV1です ここでは現代にはない古楽器=バルブのないナチュナル・ホルンとオーボエ・ダ・ガッチャ(オーボエの長いのを真ん中で折り曲げて「くの字」にしたような形の楽器)が加わりますが,これがB.C.Jの演奏に魅力を加えています ここでも三宮正満の演奏が光っていました

B.C.Jのコンサートを聴くたびに,もっと多くの人に聴いて欲しいなあ,と思います

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「ベストセラー  編集者パーキンズに捧ぐ」を観る / 遠藤周作「周作塾 読んでもタメにならないエッセイ」を読む

2017年03月10日 07時47分16秒 | 日記

10日(金).わが家に来てから今日で892日目を迎え,学校法人「森友学園」(大阪市)が新設予定の小学校の建築事業費を巡り,異なる金額の契約書が国や大阪府の私学審議会向けに学園側から提出されていた問題などを受けて,大阪府教育庁は小学校の設置を不認可とする方針であることが分かった とするニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                  全く違う金額の事業費を3通りも出したら 小学校設置認可は森友でなく 無理とも言える

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚肉のアスパラ巻き焼き」と「生野菜とアボガドのサラダ」を作りました 「豚肉~」は久しぶりに作りましたが,レモン汁をかけて食べると最高でした

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,神楽坂のギンレイホールで「ベストセラー  編集者パーキンズに捧ぐ」を観ました これはマイケル・グランデージ監督による2016年 イギリス・アメリカ合作映画(104分)です

 

       

 

この映画は,1920年代にアメリカ文学の名作を数多く手がけた実在の編集者マックスウェル・パーキンズと,37歳で生涯を閉じた小説家トマス・ウルフの人生と友情を描いた 実話に基づく作品です

ヘミングウェイら世界的な作家を見い出し世に送り出した編集者マックス・パーキンス(コリン・ファース)の元に,無名作家トマス・ウルフの分厚い原稿が持ち込まれる それを読んだマックスはトムの才能を見抜き,処女作「天使よ故郷を見よ」を出版,ベストセラーとなる マックスは妻や子供たちを犠牲にし,ウルフは恋人アリーン(ニコール・キッドマン)を犠牲にしながら,二人は昼夜を問わず第2作の出版に向けて執筆活動に明け暮れる ウルフは「この本をパーキンズに捧げる」という献辞を付けて出版,またもやベストセラーになる ウルフは「編集者マックスあってのウルフだろう」と批判される中,自立すべく歩み出そうとするが,急な病に倒れ 道が閉ざされる

この映画は,作家がいかに優れていても,その才能を見い出し,作品に注文を付け,売れる作品にして世に送り出す優れた編集者が居なかったら,その作品は世の中に存在しないということを示しています 作家は多くのことを作品に盛り込みたがるものですが,編集者は 読者の立場に立って それをいかに読ませるか,という視点で大幅な削除を求め,改稿を求めることになります 作家と編集者は二人三脚で作品を作り上げることになります.この映画はその辺の立場の違う二人の葛藤が良く描かれています まさに「天才は作られる」のです

この映画を観ていて良く分からなかったのは,マックスがどこにいても決して帽子を脱がなかったことです 職場のデスクでも,自宅で家族と食事を取るときも,彼は帽子を被ったままなのです.それはなぜなのか

その理由は最後のシーンで理解できるようになります マックスが帽子を脱いだのは,病床でウルフがマックス宛てに書いた手紙を読むシーンでした.この時初めて,マックスはウルフの才能に対し尊敬の念を抱いたのだと思います このラストには脱帽です

 

  最後の,閑話休題  

 

遠藤周作著「周作塾 読んでもタメにならないエッセイ」(講談社文庫)を読み終わりました  遠藤周作は1923年東京生まれ.1948年慶応義塾大学仏文科を卒業.1950年カトリック留学生として,戦後日本人として初めて渡仏,リヨン大学で学ぶ.1955年「白い人」で第33回芥川賞を受賞 「海と毒薬」,「沈黙」などの傑作を相次いで発表し数々の文学賞を受賞する 一方,狐狸庵山人の別号を持ち,ユーモア作家としても名を馳せた.1996年9月,73歳で死去

 

       

 

ウソばっかりである サブタイトルに「読んでもタメにならないエッセイ」とあるが,これほど実用的でタメになるエッセイはない 収録されたエッセイは男性向け雑誌「PENTHOUSE」の1984年5月号から87年12月号まで44回にわたり連載されたものです 目次を見ただけでも若者が生きる上で即 役にたつ知識で溢れています  例えば,

〇名前を2つか3つ持とうよ

〇自分の夢を毎日2回となえなさい

〇ブスがモテる法を彼女に教えてあげなさい

〇ゴルフやテニスはやめて,豊かな好奇心を持て

〇きみは自分の第一印象を知っているか

〇きみも金持ちになれる!蓄財12の法則

〇こんな女友だちが君の人生を豊かにする

〇ツキを呼ぶ後天運の秘法を伝授しよう

〇結婚に錯覚は禁物だよ,若い人たち

〇ガール・フレンドに感謝される勉学のいろいろ

〇女性をエスコートするときの要点をあげてみよう

〇孤独なる若い人に,友人の作り方を教示する

これらのうち,最初の「名前を2つか3つ持とうよ」は,「遠藤周作」のほかに「狐狸庵」という名前を持つようなことを意味します 彼はエッセイの中で,三島由紀夫に「なんでそんな年寄りじみた名前を付けたのか?」と訊かれたとき,「そのほうが,生き方が楽ですからね」と答えたと書いています.別の名前を持つことについて,狐狸庵先生は「これだけで あなたの生活はより奥行がひろくなる.嘘ではない.この私が実際にやって,味わったことである」と書いています

個人的なことを言えば,私の場合は本名のほかにブログ・ネーム  tora  を持っていますが,ブログの読者の何人かからは,お会いする時「トラさん」と呼ばれることが多いです

「ゴルフやテニスはやめて,豊かな好奇心を持て」では,先生の個人的な経験から,①ものを見る時,ちょっと角度を変えてみる.別の見方がないかを考えてみろ ②ツマらぬものを無視するな ③以上の2点を思いつく柔軟な頭を持つためには,たえず好奇心を持つことだ と具体例を挙げて述べています.「スマホ全盛時代」,「ポケモンGOで事故多発」という世の中に狐狸庵先生が現れたら「スマホやポケモンGOはやめて,豊かな好奇心を持て」と言うでしょう

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山下一史+上森祥平+東響でドヴォルザーク「チェロ協奏曲」,ムソルグスキー/ラヴェル「展覧会の絵」他を聴く

2017年03月09日 07時53分35秒 | 日記

9日(木).わが家に来てから今日で891日目を迎え,2月にマレーシアで殺害された北朝鮮の金正男氏の息子,キム・ハンソル氏と称する男性が「数日前に父が殺された」と話す動画がインターネットで公開された,というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        シンガポール警察は  殺された人物を特定するのに親族の協力が必要と言っているよ

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「手羽元の甘辛さっぱり煮」と「生野菜とツナのサラダ」を作りました 「手羽元~」は初挑戦ですが,自分で言うのも何ですが美味くできました 味にうるさい娘にも好評で,食べきれず残したものを今日の弁当のおかずに持っていくと言っていました あっ,言い忘れましたが,1年近く無職だった娘はパートながら定職を得て毎日通勤しています それは良いのですが,通勤時間の関係で帰りが遅いので,夕食は毎日私が作ることになってしまいました.これは想定外です まあ,どちらかと言えば娘が働いてくれた方がはるかに良いことなので仕方ありません 実は1月までは私が週3回,娘が週2回当番(毎週土・日は総菜を買ってくる)だったのを,2月から娘が週3回,私が週2回に変更したばかりだったのです これがいきなり3月から私が週5回当番となったわけで「親分てーへんだ.今夜のおかずどうしよう」の世界ですが,いいんです,どうせ暇人28号だから

娘が何とか経済的な独立状態になったので,残るは1年後に就職を控えた大学院生の息子です 大学の研究室に行ったまま2日か3日に1回しか家に帰らない状態で,就活もやらなければならないという非常に厳しい状況下にありますが,大丈夫だろうか? 取りあえず身体が心配です

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京交響楽団のコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」,②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」,③ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」です ②のチェロ独奏は上森祥平,指揮は山下一史です

 

       

 

自席は2階RBA列4番,右側バルコニー席の4番目です.一度この席で聴いてみたかったのです 位置としては,ステージの後方,真下がコントラバスの最後列,チューバ辺りと言えば分かるでしょうか.同じバルコニー席でも 例えば東京オペラシティコンサートホールなどは3列くらいになっているので,身を乗り出す者がいて鑑賞の妨げになることがあります その点ここ芸劇と すみだトリフォニーホールはバルコニー席が1列なので後ろを気にする必要がありません 席に座るとステージ上のヴァイオリン奏者の顔が見え,客席が1階から3階まで見渡せます サントリーホールで言えばP席に近いと言っても良いでしょう

東響のメンバーがステージに登場し配置に着きます.コンマスはグレヴ・二キティンです.指揮者・山下一史が登場し1曲目に入ります

1曲目はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」です この曲は1829年夏のスコットランド旅行中に訪れた ヘブリディーズ諸島の印象をもとに着想された曲です.この曲はブラスバンドで演奏されることもありますが,やはり目の前で管弦楽で聴く方が色彩感に溢れていて聴きごたえがあります

2曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」です  良く知られているように,ドヴォルザークはニューヨーク・ナショナル音楽院の院長として招かれ1892年9月から約3年間アメリカに赴任しました この曲は帰国直前の1894年11月から翌年2月にかけて作曲されました.第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」,第3楽章「アレグロ・モデラート」の3つの楽章から成ります

指揮者とともに上森祥平が颯爽と登場,指揮台の隣にスタンバイします 第1楽章は独奏チェロはなかなか出てきません.管弦楽で出番を演出して盛り上げます.そしておもむろに独奏チェロが王者の貫禄で出てきます 上森のチェロはスケールが大きく演奏に説得力があります 

2階のバルコニー席からステージ上の演奏者を見ていると,クラリネットの吉野亜希菜,フルートの甲藤さち,オーボエの荒木奏美,ファゴットの福井蔵たち首席奏者の息づかいが手に取るように分かります それだけ舞台に近いわけですから当たり前ですが,新鮮な驚きです それと,ティンパ二が半端ないド迫力で迫ってきます 身体で音楽を感じるにはこの席はとても良い席だと思います

私はコンサートを聴く時,多くの場合,オケから3人くらいを選んで順番に見ています 今回はコンマスと第2ヴァイオリンの最後列の女性とクラリネットの首席奏者でした この3点のトライアングルを見渡しながら音を聴いています.もちろんコンサートによって特定する3人は変わりますが,大体の位置は同じようなものです.これは習慣としか言いようがありません

上森はアンコールにブリテンの「無伴奏チェロ組曲第1番」から超絶技巧曲「無窮動」を鮮やかに演奏,会場いっぱいの拍手に包まれました

 

       

 

休憩後はムソルグスキー/ラヴェルの組曲「展覧会の絵」です この曲は元々ロシアのムソルグスキーがハルトマンの遺作展に展示された絵画からインスピレーションを得て1874年に作曲したピアノ曲を,フランスのラヴェルが1922年に管弦楽用に編曲・完成させたものです

管楽器が大幅に拡大しフルオーケストラの態勢になります 山下一史が再度登場,指揮台に上がります

この曲は10のシーンから成る曲ですが,第2曲「古城」におけるアルト・サクソフォンの演奏は聴かせてくれました 第3曲「テュイルリー」では荒木奏美のオーボエが冴えていました 第8曲「カタコンベ」における分厚いブラスの響きは会場を支配しました 最後の第10曲「キエフの大門」における打楽器群の大迫力は文字通り身体が震えました

ラヴェルの編曲がなければ,この曲は今ほど演奏される機会がなかったのではないか,と思うほど色彩感に溢れ管弦楽の魅力に満ちています

これだけの熱演なので,アンコールは無いだろうと思いましたが,まさかのアンコールでラヴェルの「クープランの墓」から「リゴードン」が演奏され,会場いっぱいの拍手に包まれました

この日のような大管弦楽曲のプログラムの場合は,2階バルコニー席はとても良いと思いました 他の会場でも試してみようと思います

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塚本晋也監督「鉄男」,北野武監督「その男,凶暴につき」を観る~早稲田松竹

2017年03月08日 07時51分04秒 | 日記

8日(水).わが家に来てから今日で890日目を迎え,北朝鮮が在日米軍を攻撃する弾道ミサイル4発を同時に発射したことについて,安倍首相とトランプ米大統領,稲田防衛相とマティス米国防長官がそれぞれ電話会談し,「北朝鮮の挑発行為は断じて容認できない」との認識で一致したというニュースを見て,当事者に成り代わって感想を述べるモコタロです

 

       

           安倍:Y・ABEえな 稲田:ミサイルは否だ マティス:北朝鮮ちょっと待てㇲ 

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「肉豆腐」と「生野菜とアボガドとタコのサラダ」を作りました 実は前日のカレーの残りがあるので,簡単料理にしました

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で「鉄男」と「その男,凶暴につき」の2本立てを観ました

「鉄男」は監督・脚本・撮影・出演などすべて塚本晋也による1989年製作 モノクロ映画(67分)です

 

       

 

金属による肉体改造を行った直後に自動車事故に遭い 脳に金属片が刺さった「やつ」(塚本晋也)は,自分を轢き逃げしたサラリーマン(田口トモロヲ)と恋人のカップルに復讐を企てる  ある日,サラリーマンの男は体中が金属によって膨張し「鉄男」となる.一方,「やつ」は体内に組み込まれた金属棒が錆びて腐り始めていた そんな二人は憎悪と愛情の背反したパワーで融合し,ひとつの巨大な金属の怪物となり,世界中を鋼鉄化し錆びて腐らせてやろうと夜明けの都市を失踪し始める

はっきり言って,最初から最後まで何が何だかさっぱり分からない映画です  ストーリーはあることはあるものの,台詞が極めて少なく,騒々しい破壊音と忙しく転換する映像で耳と目がオカシクなりそうでした  カルト映画だと割り切って観たとしても,まだモノクロで67分だったから最後まで観られたのだと思います

 

  最後の,閑話休題  

 

2本目はビートたけしが北野武として監督・主演デビューを飾った「その男,凶暴につき」(1989年,103分)です

 

       

 

刑事の我妻諒介(北野武)は狂暴ゆえに署内で異端視されていた 麻薬売人の柄本が惨殺された事件を追ううち,青年実業家・仁藤と殺し屋・清弘の存在にたどり着いたが,麻薬を横流ししていたのは諒介の同僚の防犯課係長・岩城だった 岩城は口封じのため自殺と見せかけて殺されてしまう.我妻は若い菊池と組んで事件を追うが,諒介は狂暴ゆえに刑事を辞めさせられる 諒介は裏から手を回して手に入れた拳銃で,岩城の復習のため仁藤を,さらに清弘も射殺する しかし,仁藤の部下・新開が諒介を射殺する.新開は菊池を雇い岩城の代わりをさせ,麻薬の密売取引を引き継ぐことになった

拳銃で腹を撃たれても何事もなかったかのように歩く諒介の姿は,リアリズムの観点からは”あり得ない”と思いますが,この頃の北野武はカッコいいです.まるで高倉健のようです

映画を観て気が付いたのは,冒頭のシーンをはじめ,劇中で何度か流れる音楽はエリック・サティの「6つのグノシエンヌ」の第1曲「レント」の編曲版ではないか,ということです   ひと言でいえば”アンニュイ”な音楽です.なぜか,この映画に良く似合います

家に帰ってから,アンヌ・ケフェレックによる「エリック・サティ ピアノ作品集」の2枚組CD(1988年,1990年録音)を聴きました ケフェレックのサティは最高です

 

       

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是枝裕和監督「幻の光」,河瀬直美監督「萌の朱雀」を観る~早稲田松竹

2017年03月07日 07時44分01秒 | 日記

7日(火).わが家に来てから今日で889日目を迎え,北朝鮮が6日午前,日本海へ向けて弾道ミサイルを4発発射したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        そのうち在庫のミサイルが無くなるよ 北朝鮮は懲りてない? NOす  コリヤせん!

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「カレーライス」と「生野菜とアドガドのサラダ」を作りました 今回はS&BのGOLDEN CURRY と グリコのZEPPIN CURRY の中辛を半分ずつ使いました.2種類のカレールーを使うのは普通だと思いますが,一番困るのは双方の具の量が異なることです.私はかなりいい加減で レシピで多い方を基準に作ります.それでも結果的には美味くできています

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で「幻の光」と「萌の朱雀」の2本立てを観ました

「幻の光」は「海よりもまだ深く」の是枝裕和の劇場映画デビュー作で,宮本輝の同名小説を1995年に映画化した作品(110分)です

 

       

 

幼い頃,「死にに行く」と言って失踪した祖母のことがいつまでも忘れられないゆみ子(江角マキコ)は,夫の郁夫(浅野忠信)との間に子どもが生まれ,質素ながら幸せに暮らしていた しかし,ある日,動機が分からないまま郁夫は鉄道自殺をしてしまう 再び愛する家族の死を食い止めることが出来なかった ゆみ子は,悔恨の思いを秘めながら奥能登へ嫁いでいく.そこでは閉鎖的な社会が待っていた

少し前に芸能界からの引退騒動で週刊誌やテレビのワイドショーを賑わした”ショムニ”の江角マキコが新鮮です

この映画を観て感じたのは,是枝監督がスクリーンに映し出される絵の”構図”に相当こだわりを持っているのではないか,ということです 人間を映すときも,自然を写すときも,どこで切っても「絵になる」映画作りをしているということです 小津安二郎監督の名作の数々,黒澤明監督の「影武者」などに見られる「静的で美しい」シーンを連想させます

この作品はベネチア国際映画祭のオゼッラ賞を受賞しています

 

  最後の,閑話休題  

 

「萌の朱雀」は河瀬直美監督が史上最年少でカンヌ映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を受賞した1997年製作の作品(95分)です

 

       

 

今だから告白しますが,この映画が公開された時,私はタイトルが読めませんでした 「もえのすざく」と読むと知った時,何でこんな難しいタイトルを付けたんだろうと思いました

物語の舞台は奈良県吉野村.山間の村にある田原家には,当主の孝三(國村準)と妻の泰代(神村泰代),母の幸子(和泉幸子),孝三の姉が残していった栄介(柴田浩太郎)と,孝三と泰代の子・みちる(尾野真千子)の5人が暮らしていた 村に鉄道を通す計画が持ち上がって15年になるが,トンネル工事に携わっていた孝三は,計画の中止を知らされ気力を失っていた そんな一家を支えることになったのは栄介だった.ある日,孝三の死が伝えられ,泰代とみちるは実家に引き上げることになる

この映画では,今でこそ様々な話題作に出演して活躍している尾野真千子が初々しい女学生を演じています 

誰もが故郷を想う気持ちに変わりはないと思いますが,バスが1日何本も来ない山間での生活は不便極まりなく,村に住む人たちも高齢化が進み年寄りばかりになってしまいます この映画は,そんな人里離れた山間の村から出て行かざるを得ない家族の別れのつらさを描いています 映画では,実際に吉野村に暮らしている人々の顔がスナップショットのように映し出されますが,顔の皺にそれぞれの人生が刻まれています

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秋山和慶+東響でショスタコーヴィチ「交響曲第9番」,ハイドン「交響曲第70番」他を聴く / 英国情報部のクラシック超絶問題

2017年03月06日 07時57分28秒 | 日記

6日(月).わが家に来てから今日で888日目を迎え,朝日新聞社が全国84自治体に「安倍政権が目指す2017年度末までに待機児童ゼロを達成できるか」尋ねたところ,「達成できる」という回答が31%の26自治体にとどまったというニュースを見て感想を述べるたモコタロです

 

       

         いくら保育園があっても保育士が足りなければ待機児童問題は解決しないと思う

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日別刷り「GLOBE」のBooksコーナーで,昨秋にGCHQ(英国諜報活動の主要組織である政府通信本部)が出した「The  GCHQ  Puzzle Book」というクイズ本がベストセラーの一角を占めた という記事が載っていました たぶん2番目にやさしいクイズとして次の問題が出されています

「Brahmsの交響曲第1番,Elgarの第1,Mahlerの第5,Schubertの第8,Schumannの第3,Borodinの第2,Shostakovichの第9,Brucknerの第7,という順序の後にはまるBeethovenの交響曲は第何番でしょう?」

 クラシック通のあなた,わかりましたか? 正解はこのブログの最後に掲載します.

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,初台の東京オぺラシティコンサートホールで東京交響楽団オペラシティシリーズ第96回演奏会を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第70番ニ長調」,②クロンマー「フルート,クラリネットとヴァイオリンのための協奏交響曲 変ホ長調」,③ショスタコーヴィチ「交響曲第9番変ホ長調」です ②のフルート独奏は東響首席・相澤政宏,クラリネット独奏は同・エマニュエル・ヌヴ―,ヴァイオリン独奏は同コンマス・水谷晃,指揮は秋山和慶です

 

       

 

この日のプログラムは東響創立70周年を記念して,3曲とも作品70番を揃えました

コンマスを務めるのはアシスタント・コンサートマスターの田尻順です.コンマスの水谷晃が2曲目でソロを弾くための臨時昇格です

1曲目はハイドンの「交響曲第70番ニ長調」です 1779年12月18日にハイドンが仕えていたエステルハージ爵の65歳の誕生日を祝して初演されました.第1楽章「ヴィヴァーチェ・コン・ブリオ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「メヌエット,アレグレット」,第4楽章「フィナーレ,アレグロ・コン・ブリオ」の4つの楽章から成ります

ロマンスグレイの秋山和慶が登場し第1楽章に入ります 第1楽章冒頭は,モーツアルトの初期の交響曲,あるいはドイツ舞曲に似た曲想で,弾むようなウキウキする音楽です ハイドンらしい明るい開始です.第2楽章「アンダンテ」を気持ちよく聴いていたら,1階右サイド後方でケータイのマナーモードの”ブーブー”と言う音が鳴り始め,しばらく続きました まだ居るのですね,あれほど事前のアナウンスでケータイの電源を切るように注意を促しているのに ご本人はマナーモードにしておけば良いと甘い考えを持っているのでしょうが,生のコンサートでは絶対に電源を切らなけらばならないのです 響きの良いホールでは,針1本落としただけで,会場の隅々まで聴こえると聞いたことがあります

第3楽章まで明るい曲想できたのが,第4楽章になるとニ短調になり,ちょっと陰りが射しますが,これもまたハイドンらしいところかも知れません 秋山和慶+東響はハイドンのエッセンスを凝縮したような軽快な演奏を展開しました

2曲目はフランツ・クロンマー(1759-1831)の「フルート,クラリネットとヴァイオリンのための協奏交響曲変ホ長調」です クロンマーはモーツアルト(1756-1791)とほぼ同じ年代に生きた作曲家です.この曲は1808年に作曲され1821年に出版されました 第1楽章「アレグロ」,第2楽章「メヌエット,アレグレット」,第3楽章「アダージョ,クアジ  アンダンテ」,第4楽章「アラ・ポラッカ」,第5楽章「フィナーレ,アレグロ」から成ります

ソリストを務めるフルートの相澤政宏,クラリネットのエマニュエル・ヌヴ―,ヴァイオリンの水谷晃の3人が登場,指揮台の左サイドにスタンバイします バックを務めるオケは管楽器はホルン2のみで,あとは弦五部です.全曲通して聴いた感じでは,同じ時代のモーツアルトと比べると天才と凡才の違いを見せつけられた感じです バックを務める弦楽器は,ヴァイオリンもヴィオラもチェロも同じ弓使いの部分が多く,アンサンブルとしては物足りなさを感じます それだけにソロが目立つと言えるのかも知れません.ヴァイオリンの水谷はさすがはコンマスという演奏で,遊び心も垣間見られました ヌヴ―と相澤はソロを務める意気込みを感じさせる見事な演奏でした 田尻コンマスも頑張ってました

 

       

 

休憩後は,ショスタコーヴィチ「交響曲第9番変ホ長調」です 前半でソロを務めた水谷晃がコンマス席に移ります.ショスタコーヴィチの交響曲第7番,8番,9番は「戦争三部作」と言われていますが,その最後を飾る曲です 当時のソ連当局は,ベートーヴェンの「第九」のような祝祭的な大交響曲を期待していたのだと思いますが,ショスタコーヴィチが作曲したのは,期待を見事に裏切る”軽い”そして”人をおちょくったような”こじんまりとした曲でした 1945年の夏に作曲され,その年の11月に初演されました.驚くのは,日本での初演はその3年後,1948年3月9日に上田仁指揮東宝交響楽団(現在の東京交響楽団)により挙行されたことです この曲は東響にとっては切っても切れない縁のある曲です

第1楽章「アレグロ」,第2楽章「モデラート~アダージョ」,第3楽章「プレスト」,第4楽章「ラルゴ」,第5楽章「アレグレット~アレグロ」の5つの楽章から成りますが,第3楽章以降は続けて演奏されます

第1楽章と第2楽章では,いつもはフルートを吹いている濱崎麻里子のピッコロが冴えわたり,第4楽章ではファゴットの福士マリ子のモノローグ的な演奏が沁みました それと同時に3本のトロンボーンの重厚感溢れる演奏が会場を圧倒しました

第5楽章のフィナーレは,人をおちょくったようにあっけらかんと終わり,われわれ聴衆は,心地よい演奏に乗せられていたのに,急ブレーキをかけられて,慣性の法則で前方に放り出されたような感覚に陥りました いかにもショスタコーヴィチらしいフィナーレと言えるでしょう

すべてが作品番号が同じというプログラミング,これから流行るかも知れませんね

 クイズの答え  第9番. Beethovenという単語の9番目の「n」を選べばBeethovenの綴りが完成する

「GLOBE」もたまには面白い企画をやるんだな

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ケント・ジョーンズ監督「ヒッチコック/トリュフォー」を観る~映画監督のバイブルとなったロングインタビュー

2017年03月05日 08時49分51秒 | 日記

5日(日).わが家に来てから今日で887日目を迎え,中国の2017年の国防予算が前年比7%増の1兆元(約16兆5千億円)になるというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

         トランプ米大統領が国防費を1割増やすと言ってるから 対抗心を燃やしてるのかな?

 

  閑話休題  

 

昨日,池袋の新文芸坐で,ケント・ジョーンズ監督「ヒチコック / トリュフォー」(2015年,アメリカ・フランス合作,80分)を観ました

 

       

 

ヒッチコックを敬愛するフランソワ・トリュフォーが,映画の巨匠に熱烈な手紙でインタビューを申し出たことから,1962年に1週間に及んだロング・インタビューが実現しました このインタビューは映画解説書「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」としてまとめられ,フランスとアメリカで同時出版されましたが,これはヒッチコックの評価を決定づけただけでなく,世界中の映画監督に多大な影響を与え,映画人のバイブルとなりました この映画は,そんな伝説的なインタビューの音源を元に,ヒッチコックの映画理論や具体的なテクニックを解き明かしたドキュメンタリー映画です

インタビュアーを務めるフランソワ・トリュフォーは「大人は分かってくれない」が代名詞のようになっているフランスの映画監督ですが,彼の映画を初めて観たのは「隣の女」でした それ以来,彼の映画を良く見るようになりました

いま「沈黙」で話題のマーティン・スコセッシやデビッド・フィンチャー,黒沢清など現代を代表する映画監督10人がインタビューでヒッチコックの映画について語っていますが,その合間を縫って,ヒッチコックの「鳥」「めまい」「北北西に進路を取れ」をはじめとする数々の映画の名場面がごく短く紹介されます 観ていると,もう少し長めに映してくれないかな,と思うほど引き込まれてしまいます

ヒッチコックの映画に対する考えは明快です.それは観衆に驚きを与え 喜ばせることです  この点は,世界に誇る日本の映画監督・黒澤明に通じるところがあります 「七人の侍」「椿三十郎」「用心棒」がいかに理屈抜きで面白いか

映画の中で ある監督が「時代が変わるにつれて,聴衆が映画に求めるものも変わっていく 現代の観衆はより大きな刺激を求め,映画はクライマックスの連続だ」と語っていますが,まさにその通りの現象が起きています.ヒッチコックの時代にはCG技術は初期段階で,いわば「アナログ」的な手法で映画を撮っていた訳ですが,現代では,何かというとすぐにCGに頼り,派手なばかりで中身のない映画が増えているような気がします

この映画を観て,あらためてヒッチコックの一連の映画を観たいと思いました 新文芸坐で特集をやってくれると嬉しいな

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クァルテット・エクセルシオでモーツアルト「弦楽四重奏曲K.465”不協和音”」,メンデルスゾーン「同・ヘ短調」,ドヴォルザーク「同 ヘ長調”アメリカ”」を聴く

2017年03月04日 07時56分37秒 | 日記

4日(土).わが家に来てから今日で886日目を迎え,学校法人「森友学園」への国有地売却問題で,政府が売却価格を当初非公開にしていた理由を「先方(学園)から『(地下ごみの存在が知られれば)生徒を集めることに風評被害が出るので公開を控えて欲しい』と要請があった」と説明したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

          地下ごみの風評よりも 教育方針への風評の方を気にすべきなんじゃないのかな?

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「チキンステーキ」と「生野菜とアドガドとサーモンのサラダ」を作りました 「チキンステーキ」を食べた娘が「これ どこのお店で買ってきたの?」と聞くので「自分で作ったんだけど」と答えたら「お店で売っているものかと思った」と言われました.どうやらトマトケチャップを使ったタレが絶妙だったようです

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夜,東京文化会館小ホールでクァルテット・エクセルシオのコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲ハ長調K.465”不協和音”」,②メンデルスゾーン「同 ヘ短調 作品80」,③ドヴォルザーク「同 ヘ長調 作品96”アメリカ”」です メンバーはヴァイオリン=西野ゆか,山田百子,ヴィオラ=吉田有紀子,チェロ=大友肇です

開場時間の6時半少し前に文化会館のロビーで列に並んだのですが,すぐ脇をサスペンダー爺さんがいそいそとトイレの方に行きました 「またこの爺さんといっしょかよ,勘弁して欲しいなぁ」とガックリきました.が,会場に入りしばらく最前列の席を見ていたのですが,とうとう開演時間になっても爺さんは現れませんでした そこで,ハタと気が付いたのですが,大ホールで6時半からパリ・オペラ座バレエ団の公演があったのでそっちに行ったのかも知れない と お陰で小ホールの方は心地よく聴くことが出来る反面,大ホールの方はスター気取りの爺さんが開演直前に入場して,周囲から白い目で見られることになるのだろうな バレエだから双眼鏡を覗くんだろうな 床に落として またヒンシュクを買うんだろうな 大ホールの聴衆の皆さん,本当にお気の毒です

 

       

 

自席はO列47番,センター右ブロック右から3つ目です.会場は9割方埋まっているでしょうか

ステージに登場した女性陣はデザインは異なるものの色はパープル系で統一しています

1曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465”不協和音”」です モーツアルトはハイドンを作曲の師と仰いでいましたが,ハイドンの「ロシア四重奏曲」から感銘を受けて6曲からなる弦楽四重奏曲(いわゆる『ハイドン・セット』)を作曲しました その第6曲に当たるのがこのK.465です.この曲が「不協和音」と呼ばれるのは,第1楽章冒頭の序奏部が当時の和声法の常識から外れた不協和音だったことに起因します 第1楽章「アダージョーアレグロ」,第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」,第3楽章「メヌエット,アレグロ」,第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります

序奏部は混沌とした響きが続きますが,雲の間から急に太陽が覗いたような明るい音楽が奏でられます エクの演奏はこの辺りの表現が鮮やかです この冒頭部分を聴くと,以前読んだドイツ文学者・小塩節氏の「ブレンナー峠を越えて」を思い出します モーツアルトは人生の3分の1を旅で過ごしましたが,故郷ザルツブルクからイタリアに行くときは馬車に揺られながらブレンナー峠を越えた.オーストリア側のどんよりした気候から,峠を越えただけで,そこは太陽が燦々と輝くイタリアである ー この話から,ひょっとしてモーツアルトは「ブレンナー峠越え」をこの作品の冒頭に音楽で表したのではないか,と想像します

モーツアルトに限らず,エクセルシオを聴くたびに思うのは,チェロの大友肇氏がどっしりと構えて要になっているな,ということです

2曲目は今回どうしても生演奏で聴きたかったメンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第6番ヘ短調」です 彼は38歳の若さで死去しましたが,この作品はその2年前に作曲されました.その同じ年に姉のファニーに先立たれていますが,彼にとっては最愛の姉の死は耐え難いものがあったらしく,この曲には”運命としての死”が内包されているかのようです 第1楽章「アレグロ・アッサイ」,第2楽章「アレグロ・アッサイ」,第3楽章「アダージョ」,第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります

第1楽章が激しい慟哭のような曲想で開始されます.聴いている方が悲痛になります この緊張感は半端ではありません.第2楽章も同様です.この2つの楽章に限らず,エクセルシオの4人は,メンデルスゾーンのデモ―二ッシュな側面を見事に表出しました 例えるならば,切れ味鋭い銘刀政宗で藁の束を一刀両断するような緊張感に満ちた演奏でした 初めて生で聴くメンデルスゾーンの作品がエクセルシオで良かったとつくづく思います

 

       

 

休憩後は,ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調”アメリカ”」です ドヴォルザークは1892年から3年間,ニューヨークのナショナル音楽院の院長として迎えられましたが,どうやらホームシックにかかり,生まれ故郷のボヘミアを思って交響曲第9番”新世界より”,チェロ協奏曲,弦楽四重奏曲第12番を作曲しました 言うまでもなく「新世界=アメリカ」ですが,不思議なのは,同じような動機で書かれたのに,交響曲第9番が「新世界より」と「より」が付いているのに,弦楽四重奏曲第12番は「アメリカより」ではなく「アメリカ」と呼ばれていることです どうでもいいことかもしれませんが,気になっています

第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」,第2楽章「レント」,第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」,第4楽章「ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ」から成ります

第1楽章に入ります.もちろん第1ヴァイオリンの西野ゆかが主導しますが,この曲では俄然ヴィオラの吉田有紀子の実力が発揮されます それといつもは目立たない第2ヴァイオリンの山田百子もソロで活躍します 逆に言うと,ドヴォルザークは4つの楽器がそれぞれ目立って活躍できるように作曲したのだと思います 4人のアンサンブルは完璧です

会場いっぱいの拍手に,オーストラリアの作曲家グレインジャーの「岸辺のモリー」を軽快に演奏し,コンサートを締めくくりました

3曲とも満足のいく演奏でしたが,とくにメンデルスゾーンの作品を聴けたのは最大の喜びでした エクセルシオには今後,定期的にメンデルスゾーンの作品を取り上げて欲しいと思います

 

       

コメント (2)
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梅田俊明+小山実稚恵+都響でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」他を聴く / ショスタコーヴィチ「交響曲第9番」他を予習する

2017年03月03日 07時22分34秒 | 日記

3日(金).わが家に来てから今日で885日目を迎え,米通商代表部が トランプ政権の通商政策報告書の中で,世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きが不利益になる場合は「従うことはない」と表明した というニュースを見て 感想を述べるモコタロです

 

       

        トランプ政権は WTOに対して「わしゃ トランプだ おそれいったか」と主張するらしい

 

  閑話休題  

 

昨日,喫茶店で新聞を読みながら聴いたCDの1枚目は,モーツアルト「弦楽四重奏曲 ハ長調K.465”不協和音”」です この曲は今夕,クァルテット・エクセルシオで聴くので その予習です  演奏はアマデウス・クァルテットによる1956年 ザルツブルク音楽祭での実況録音です

 

       

 

2枚目は,ショスタコーヴィチ「交響曲第9番」(ベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン・フィル.1981年録音)です これは5日(日)に秋山和慶指揮東京交響楽団で聴くので その予習です

 

      

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夜,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京都交響楽団のコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.オール・ベートーヴェン・プログラムで,①「エグモント」序曲,②ピアノ協奏曲第5番”皇帝”,③交響曲第8番です ②のピアノ独奏は小山実稚恵,指揮は梅田俊明です

 

       

 

自席は2階N列3番,2階の左奥最後列のどんづまりです 会場は文字通り満席です オケのメンバーが入場して配置に着きます.弦は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという いつもの都響の編成です コンマスは山本友重,首席は第2ヴァイオリンが双紙正哉,チェロが古川展生,ヴィオラが鈴木学と揃っていますが,第2ヴァイオリン首席にエンカナ(遠藤香奈子)さんの姿が見えないのは寂しいです メガネをひったくられて,今使っているのは以前使用していたものなので,焦点がピタリと合わず ステージ上の楽員を見るのに若干苦労しました

1曲目は劇付随音楽「エグモント」序曲です この曲は,ウィーンの宮廷劇場の支配人がゲーテの「エグモント」をウィーンで上演するのに際し,その劇付随音楽をベートーヴェンに依頼したことを受けて,序曲を含め10曲の劇音楽を作曲したものです

梅田俊明が登場しタクトを振り下ろします.このオケはいつ聴いても弦楽セクションが動きも音もピッタリと揃っていて素晴らしいと思います この曲では,とくにオーボエ首席・広田智之の演奏が冴えていました 序曲なので短い曲ですが,ベートーヴェンらしい劇的な音楽です

ピアノがステージ中央に運ばれます.2曲目は「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調」です この曲は1809年に完成しましたが,なぜ「皇帝」というニックネームが付けられたのか定かではありません しかし,ピアノ協奏曲の中の最高峰であるという意味では,まさに「皇帝」の名が相応しいと言えるでしょう 第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アダージョ・ウン・ポーコ・モッソ」,第3楽章「ロンド アレグロ」から構成されています

ワイン・レッドのシックな衣装の小山実稚恵が登場しピアノに向かいます 梅田の指揮で第1楽章冒頭の和音が奏でられ,すぐに小山のピアノが華々しく入ってきます 私が一番好きなのは,第2楽章から第3楽章に移るところです.第2楽章が弱音で終わり,切れ目なくピアノが爆発するかのように最強音を叩きます 小山の演奏はコントラストが鮮やかでした 第3楽章はピアノとオケの掛け合いがテンポ感よく続けられ,皇帝に相応しい堂々たるフィナーレを迎えます

小山ほどのピアニストならアンコール曲は山ほどあるでしょう しかし,小山は繰り返されるカーテンコールに対し,アンコールを演奏しませんでした 本人でなければ分からない理由があるのかも知れません

休憩後は交響曲第8番ヘ長調です この曲はベートーヴェンの9つの交響曲の中でも,肩の力が抜けた明るく明朗な雰囲気に満ちた曲です 1812年夏から10月まで作曲が続けられ,1814年2月にウィーンで公開初演されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」,第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」,第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」,第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」から構成されています

私はこの曲で好きなのは第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」です 第1主題の心地よいリズムは,メトロノームの創始者メルツェルの機械からヒントを得たと言われています この曲を聴くと,曲想は違いますが,ハイドンの交響曲第101番「時計」の第2楽章を連想してしまいます

梅田俊明+都響はテンポ感の良い演奏を展開し,小学校の音楽室に飾られた深刻な顔をしたベートーヴェンのもう一つの明朗な側面を明らかにしました

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