戦争はすべてを失わせる
戦争で得たのは憲法だけ

 昭和の、特に前半は「戦争の時代」だった。特攻隊に“志願”して、皇軍と呼ばれた軍隊の実態を厭というほど体験させられた城山は、特攻は志願ではない、国家や社会によって志願と思わされた強制だと強調しながら、私との初めてのインタビューで、

「不確実、不確定の時代でわからないことが多いけれども、戦争になったら、元も子もなくなるということだけはハッキリした事実だと思うんです。だからとにかく勝つ負けるよりも先に、戦争を防ぐということ、戦争にならないようにするということしかないと思う。そういう意味では、戦争を前提にしたものの考え方にはついていけないし、戦争を前提にして人を煽りたてるようなことに対しては抵抗があります」

 

 と断言した。城山はまた、

「戦争はすべてを失わせる。戦争で得たものは憲法だけだ」

 と主張し、土井たか子や落合恵子とともに私がつくった「憲法行脚の会」の呼びかけ人にも加わってくれた。

 同期の友人たちを含む多くの人の血を流して生まれた非戦の日本国憲法だという思いからだろう。