新型コロナ 茨城で17人感染 水戸赤十字病院の女性看護師ら

2021年03月14日 11時15分18秒 | 医科・歯科・介護

3/14(日) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

茨城県と水戸市は13日、県内で新型コロナウイルス感染者が新たに計17人確認されたと発表した。水戸赤十字病院(同市)では、新型コロナの感染症病棟に勤務する40代女性看護師の感染が分かった。県内の累計感染者は6166人となった。

同病院によると、女性看護師は、全職員を対象とする月1回の抗原検査で陽性と判定され、11日にPCR検査で陽性と判明。12日にワクチンを接種する予定だった。同じ病棟に勤務する看護師2人が濃厚接触者に当たり、検査では陰性だが2週間の自宅待機とした。

同病院では1月に医師や看護師、入院患者など17人の感染が判明、診療体制を縮小するなどしたが、今回は通常の診療体制に変更はないとしている。

新型コロナ感染者のうち新たに26人が回復、県内の退院・退所などは計5618人。

■県内の感染状況  
新規 17人  
累計 6166人  
うち死者 121人  
退院・退所等 5618人  
(県発表、13日午後10時現在)

【関連記事】


「自殺を考えたことのある人」が最初にやるべきこと

2021年03月14日 11時05分03秒 | 医科・歯科・介護

樺沢 紫苑:精神科医、作家

2020.7.19 4:50  ダイヤモンド
    
コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。

発売たった5日で4.6万部を突破した、樺沢紫苑氏による最新作『ストレスフリー超大全』では、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー。

自殺する人は相談しない

日本財団の調査によると、「本気で死にたいと思っても相談しなかった人」は、73.9%にも及びます。

厚生労働省研究班の調査(自殺未遂者1516人、自殺既遂者209人)によると、自殺の前に「誰かに死にたい気持ちを話しましたか」という質問に、家族に相談していたのは16.3%、友人にしていたのは8.3%、精神科医に相談していた割合はたったの3.8%。家族と友人の両方に話をしているケースもあり、全体で事前に相談していたのは、わずか2割となっています。

「死にたい」と思っている人、自殺未遂、自殺既遂のケースでも、ほとんどの人は、誰にも相談しないで、いきなり自殺するのです。

生きるべきか、死ぬべきか。人生で最大の悩みを、誰にも相談することなく、時にうつ病で何も考えられない、あるいは焦燥感でイライラが激しく冷静さを失った状態で、「死にたい」気持ちを行動に移してしまうのです。

きっと、誰かに相談すれば、防げる自殺は、相当に多いです。

「死にたい」と思う人に、「誰かに相談してください」と言うと、「相談しても、問題は解決できないので意味がないです」という反論が必ず来ます。

しかし、相談は「問題解決」が目的ではありません。相談するだけで、ホッとする。つまり、「ガス抜き」の意味合いが大きいのです。相談は、間違いなく効果があります。

自殺の「衝動」はすぐに収まる

相談の目的は「ガス抜き」の意味合いが大きいと述べましたが、もっと具体的にいうと、「自殺衝動」がガス抜きされるのです。自殺行動を分解すると、次のような要素に分かれます。

「自殺念慮」とは、常日頃から「死にたい」と思っている気持ちです。「自殺衝動」とは、「今すぐ死にたい!」「今、死なないと!」という、抑えられない衝動のことです。

「死にたい」と思っている人は、日本人の1.6%もいて、そのほとんどが行動を起こさずに済んでいるのは、「自殺衝動」が低いからです。

自殺するには、ものすごい勇気がいります。死は恐ろしい。その恐怖というものが、自殺に対する抑止力となっています。

たとえば、死にたいと思って自殺の準備をしても、「すさまじい恐怖」に襲われ、「やっぱりやめた」と、ギリギリのところで思いとどまる人もたくさんいます。
このギリギリのシチュエーションにおいて、「自殺する人」と「自殺しない人」の違いが、「自殺衝動」の違いとして説明されています。

「いてもたってもいられない死に向かうエネルギー」が「自殺衝動」ですが、その衝動は長くは続きません。ピークの自殺衝動は、5~10分と言われています。誰かと30分も話していると、落ち着いた状態になるのです。

実際、私も救急外来で、何人もの「今すぐ、死にたい」という自殺衝動の強い患者さんの対応をしたことがありますが、30分ほど話をするだけでも不思議なほどに落ち着いてきます。
後から、そのときの様子を患者さんに聞くと、「あのときは、冷静さを失っていた」「あのときの私は、どうかしていた」と言います。そして、「あのとき、自殺しなくて本当によかった」とも言います。

自殺を引き起こしている真犯人は、「自殺念慮」(死にたい気持ち)ではなく、「自殺衝動」(短時間しか存在しない爆発的なエネルギー)です。

ですから、本当に死にたいと思ったときは、30分だけやりすごせばいいのです。そのためには、「人に相談すること」がものすごく有効です。電話する人が誰もいないという人のためにも、「いのちの電話こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」が用意されています。

お酒に逃げてはいけない

慢性的に「死にたい」という感情が起こる人にお願いしたいのが、「お酒を飲まない」「お酒をやめる」ということです。日本の自殺者の調査によると、自殺者の32.8%からアルコールが検出されており、特に激しい自殺の方法をとる人ほど高濃度のアルコールが検出されています。

また、自殺未遂で救急病院を受診した人からは、平均40%もの割合でアルコールが検出されています。自殺しようとする人の3~4割が、お酒を飲んで、酔った勢いで自殺をしているのです。

アルコールを時々飲む人に比べて、1日3合以上飲む人は、自殺のリスクが2.3倍に増えるという研究もあります。

慢性的なアルコールの飲用が、自殺のリスクを高め、孤独を助長し、「死にたい」という気持ちを増幅させます。さらに、突発的な酩酊で、思考力や判断能力が低下し、自殺への恐怖も薄まり、本人も予期せぬ自殺行動が引き起こされるのです。

「嫌なことがあったら、お酒に逃げる」「お酒の力で、嫌なことを忘れる」という日々の行動が、積もり積もって「自殺」にまでエスカレートしていきます。自分の意思ではなく、お酒に殺されているだけなのです。

生活を整えることが第一

「自殺衝動」の対応が、自殺行動抑止の切り札になると先ほどお伝えしました。「自殺衝動」を脳科学的に言い換えると、「セロトニン濃度の低下」です。

セロトニンを高める習慣の「朝散歩」が有効です。健康のための生活習慣として、「睡眠」「運動」「朝散歩」の3つを推奨してきましたが、自殺の予防にも効果的なのです。

「死にたい」と思う人は、それは何ヵ月も悩み、苦しみ、「自分が導いた答え」と思っていますが、それは間違いです。脳内物質の低下が導いた「脳のエラー」です。血糖値が下がると「お腹がすいた」と感じるように、セロトニンやノルアドレナリンが極端に低下すると、「死にたい」という感情が自然に湧き出てくるのです。

そんな回復可能な、一時的な脳内物質のアンバランスによって、自分の一生を終わらせることは、実にもったいないことです。

極端なセロトニン・ノルアドレナリンの低下によるうつ状態は、薬物療法、「睡眠」「運動」「朝散歩」「禁酒」などの生活療法によって改善可能です。毎日7時間睡眠をとり、週150分以上運動し、毎日朝散歩をして、それでも「どうしても、死にたいのか」を考えてみてください。

ちゃんと規則正しい生活を実践できている人で、死にたいと言い出す人は、私の経験上、1人も見たことがありません。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、16万部『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、10万部『神・時間術』(大和書房)など、30冊以上の著書がある。


「ストレスへの対処法」は不変のスキルだ!

私の臨床経験では、「几帳面でまじめな人ほどうつになりやすい」傾向を感じます。なぜなら、ストレスの原因を真正面から受け止め、不安になり、悩み続け、リセットできないからです。
悪いストレスをなくしていくことが、「ストレスフリーな人」になるためには重要です。

あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます。

本書では、誰しもが悪いストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「メンタル」「健康」という5つのテーマに対し、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」を示します。「いま何をすべきか」が明確になるでしょう。

 

『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)
2年の歳月をかけて書き下ろした集大成!
超・現実的で役に立つノウハウ!

多くのビジネス書では、「ストレスから逃げろ」「ストレスなんか気にするな」という精神論が書かれていますが、そのようなアドバイスは非現実的です。
本書では、私の精神科医としての経験から、現実的であり、かつ、効果抜群のノウハウだけを紹介します。

不安、悩み、ストレスにとらわれない生き方。それができると、あなたの人生は間違いなく楽しく、明るく、達成感と自己成長が感じられる、幸せなものになります。生き方を変えるのは「今」です!

心と体を整える「決定版」

はじめに―「ストレスフリーな人」になろう

序章 すべてのベースとなる「解決法」
 不安を行動で取り除く
 自力で解決できるようになる
 他人の力を上手に借りる
 生活を整えてちゃんと生きる
 最高のモーニングルーティン「朝散歩」をする

1章 他人ではなく「自分」を変える
他人と自分を比べない方法
​人の意見に流されない方法
「信頼できる人」と「信頼できない人」を見分ける方法
「人から嫌われたくない」の対処法
悪意を向けてくる人の対処法
他人を変えるにはどうすればいいのか など

2章 「仲間」と「家族」が活力となる
孤独のリスクを減らす
大人になってから友達を作る方法
SNS疲れを解決する方法
相手に好意があるかどうかを知る方法
夫婦関係をよくしたい
子育ての問題を乗り越えるには など

3章 「天職」を求め、「やらされ仕事」から抜け出す
職場の人間関係を解決する
「仕事が楽しくない」を乗り越える方法
どうしても仕事を辞めたいときの対処法
自分の「天職」を見つける方法
仕事や勉強の集中力を高める方法
「お金の不安」を取り除く方法 など

4章 「疲れない体」を手に入れる
睡眠の質を上げる方法
運動不足の対処法
理想的な運動を継続する方法
本当に健康にいい食べ物はどれなのか
健康的に痩せる食事法
嗜好品とうまく付き合う方法 など

5章 心を整え、「新しい自分」にアップデートする
自己肯定感を高める方法
「緊張しやすい」の対処法
嫌なことを忘れる方法
「うつっぽい」と思ったときにすべきこと
メンタル疾患への対処法
「死にたい」と感じたときの対処法 など

終章 精神科医がたどり着いた「とっておきの考え方」
人生を楽しむ人になる方法
決断グセをつける
「生きる意味」を考え続ける
「死」について考える
「幸せ」を手に入れる方法


本書の特長は、これだ!

(その1)90%の「共通の悩み」をすべて解決!

私のYouTubeチャンネルでは、一般の人から質問を募集し、毎日、数十問の質問が寄せられます。その90%は過去の質問と同じ。すでに答えたことがある質問です。
しかし、「悩み」の渦中やどん底にいる人は、「きちんと調べる余裕」がなく、同じ質問をしてしまうのです。検索すればすぐに対処法がわかることも、悩み、苦しみ、ときに精神を病んでしまったりします。
本書では、私の元に寄せられた代表的な悩みを扱います。それは、誰にでも当てはまる「共通の悩み」です。きっと、あなたの悩みの9割が解決できるでしょう。


(その2)「ToDo」にこだわったアプローチ!

本書の執筆にあたって、心理学、社会学、哲学、宗教など「悩み」や「生き方」に関する本100冊以上を読み直しました。世の中のほとんどの「悩み」や「生き方」について「答え」は出ているのです。
しかし、それらの本を読んでも、「まず何をすればいいのか?」「今日(今)、何からはじめたらいいのか?」までは教えてくれません。悩み解決の「方向性」は示されるのですが、「ToDo(何をすべきか)」がよくわからない。それでは意味がありません。
そこで本書では、必ずToDoを示すことに徹底的にこだわりました。

(その3)本当に効果のある対処法とおすすめのコンテンツを紹介!

私のYouTubeチャンネルでは、2500問以上の悩み解決の動画を上げています。たくさんのコメントが付き、「高評価」と「低評価」によって、動画が役に立ったかどうかが評価されています。
コメントを見ると、「実行して、すぐに効果が出ました!」という感謝の書き込みがたくさん見られます。そうした「実際に効果のあったアドバイス」「やれば確実に効果のある対処法」だけを集めたのが本書です。
科学的根拠によって書かれただけの本は、残念ながら「どこかで聞いたような、ありきたりの漠然としたアドバイス」しか載っていません。そこで、私の経験に基づき、生々しく、リアルで、現実的な対処法だけを示すことにしました。
また、各項目では「もっと深く知りたい」「専門的に学びたい」と感じる人もいると思います。そのため、さらに学びたい人に向けておすすめの「本」や「映画」などのコンテンツを50個以上、用意しました。本書1冊で、約50冊以上もの名著のエッセンスが得られます。

 


医師が語る 自殺する人と、踏みとどまる人の違い

2021年03月14日 10時56分19秒 | 医科・歯科・介護

自殺について考える(上)
2018/3/14
日経Gooday 

3月は例年、月別自殺者数が最も多くなることから、厚生労働省は「自殺対策強化月間」と定めている。3月に自殺者が増えるのはなぜか。人はどんなときに自殺を考えるのか。身近な人が「死にたい」と言葉にしたとき、私たちはどのように対応すればいいのか。日本自殺予防学会理事長で、帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科教授の張賢徳さんにお話を伺った。

前編では、3月に自殺者が増える要因や、人が自殺を考えるプロセスについて解説する。

3月の自殺には特有の心理が影響する

――3月は1年の中で最も自殺者数が多くなっています。なぜ、3月に自殺者が増えるのでしょうか。

あわせて読みたい
同じ労働環境でも、ストレスに打ち勝つ人と、そうでない人がいる。その違いはどこにあるのだろうか(c)rawpixel -123rf
医師が明かす ストレスに強い人、弱い人の決定的違い
「この人はどんなことで心が折れやすいか」を知っておくと、フォローもしやすくなる(c)studiostoks-123rf
新しい部下は心が折れやすい? 3つのタイプを把握せよ
月別の自殺者数はその時代によっても変わってくるのですが、厚生労働省が発行している「平成29(2017)年版自殺対策白書」の「月別自殺者数の推移」を見ると、近年はほとんどの年で3月、次いで5月に自殺者が多くなっていることが分かります。


※「平成29(2017)年版自殺対策白書」より
この現象には、いくつかの要因が考えられます。一つは、3月は自殺につながりやすい心理的な効果が働くことです。そもそも自殺を考える人のほとんどは困り事を抱えていて、精神科で診断がつくレベルのうつ状態になっています。これについては後で詳しく説明したいと思いますが、そうした精神状態にあるところへ、3月は年度末となることから追い立てられるような心境に拍車がかかり、「死ぬしかない」という思いに駆られやすいのです。

さらに、年度末には現実的な問題が生じることも多くなります。例えば、会社員の人では年度末は繁忙期でもあり、残業や休日出勤が多くなると、睡眠などの心身を休める時間や、家族・友人とのコミュニケーションの時間も十分に取れなくなります。自営業の人では、取引先への支払いや借り入れ金の返済を迫られるといった問題も起こってくる。そうした状況が「最後の一押し」となってしまうこともあります。
また、冬の間は気持ちが沈みがちでも、3月になると春の日差しが訪れることで、気分が華やいでくるのを感じる人も多いと思います。ところが、うつ状態にある人は、そうした周囲の華やぎと自分との間にギャップを強く感じてしまい、疎外感や孤独感が深まってしまうことが、100年以上前から指摘されています。海外でも特にヨーロッパでは同様の指摘があり、やはり春に自殺者が多いことが知られています。

――一般的に、春は自律神経のバランスの乱れから、メンタル不調を起こしやすいといわれていますが、そうした影響もあるのでしょうか。

医学的な範囲に限って考えると、それが大きな要因だと思います。自律神経には、体を活性化させるときに優位になる交感神経と、体を休めるときに優位になる副交感神経があり、日の出と日の入りがスイッチとなって、そのバランスが保たれています。私たち人間の体は動物と同じように、冬と夏とでコンディションが異なります。その変わり目となるのが春と秋で、その時期には体の変化とともに、自律神経のバランスも乱れやすくなるんですね。

――春は就職や転職、異動や転勤、引っ越しなど、環境の変化からメンタル不調に陥ることもありそうです。

確かにそうですね。ただ、そういった環境の変化によるメンタル不調が自殺につながってくるのは、5月ごろになると考えられます。3月に環境の変化が起こると、その状態に慣れるために懸命に頑張ります。それから少したつと日本ではゴールデンウイークを迎えるため、そこで張りつめていた緊張の糸がプツッと切れてしまい、いわゆる「五月病」と呼ばれるうつ状態を引き起こし、自殺につながることがあります。つまり、3月に次いで5月に自殺者が多いのは、こちらの要因が大きいことがうかがえます。

余談ですが、環境の変化の中でも引っ越しは特に、うつのトリガー(引き金)となることが知られています。引っ越しの準備から新しい環境に慣れるまで緊張が続いたあとに、ふっと気が抜けることでうつ状態を引き起こす。このような現象は「荷下ろしうつ」と呼ばれています。同様の心理が働くものでは、受験に受かったあとに起こる「合格うつ」、昇格したあとに起こる「昇進うつ」などがあります。合格も昇進も喜ばしいことですが、人によってはそれまでの努力が報われたと同時に、プレッシャーや責任を感じてしまうことがあるんですね。

自殺に至るまでにはプロセスがある

――これまで伺ってきたような状況に陥ったとき、自殺を考え、実行してしまう人もいれば、踏みとどまる人もいます。その選択の違いには、どのような背景があるのでしょうか。

1つには、うつ病をはじめとする精神疾患の重症度が挙げられます。先ほど、自殺を考える人のほとんどは精神科で診断がつくレベルのうつ状態にあるとお話ししましたが、WHO(世界保健機関)が公表しているデータによれば、自殺者の実に約97%が、何らかの精神障害の診断がつく状態であったことが分かっています。

そのうちの約3割を占めるのが、うつ病を含む気分障害。次いで、薬物やアルコール依存などの物質関連障害、統合失調症、パーソナリティー障害の診断が多くなっていて、これらが自殺に関連する4大精神疾患といわれています。また、これらは主たる診断の統計で、重複診断も含めると、自殺者の約7割がうつ病の診断がつく状態であったというリポートもあります。

ただし、人が自殺に至るまでにはプロセスがあり、ある日突然、うつ病を発症するわけではありませんし、うつ病を発症したすべての人が自殺するわけでもありません。何らかの出来事(ライフイベント)をきっかけにうつ状態になった人は、「トンネル・ビジョン」と呼ばれる心の視野狭さくが起こっています。その状態が数カ月も続いていくと、さらに視野が狭くなり、「私はもう死ぬしかない」という気持ちに追い込まれて、自殺のプロセスが進行していく。第三者が客観的に見れば、その人が抱えている問題を解決する方法は必ずあるはずなのですが、本人にはほかの選択肢が見えなくなってしまうんですね。このプロセスを表したのが、下記の図です。

図を見ていただくと分かるように、うつ状態にあるときに家族や友人、職場の仲間などから適切なサポートを受けられれば、トンネル・ビジョンを脱することが可能です。また、最終段階では先ほどお話ししたように、うつ病などの精神疾患の診断がつくレベルのケースがほとんどですので、精神科での治療やそこにつなげるサポートが必要になってきます。つまり、適切なサポートの有無も自殺をするかしないかの選択につながるといえます。このサポートについては、後編で改めてお話ししたいと思います。

ここでもう1つ重要なのは、自殺を考え、実行してしまう人と踏みとどまる人の違いには、精神疾患の重症度のほかに、個人のパーソナリティーが大きく影響するということです。

個人のパーソナリティーを形成するものには、家庭や学校、友人・仲間といった要素がありますが、その根底には、その人の信念や宗教観、自殺を含めた生死に関する文化・社会通念があります。

無宗教の国は自殺率が高い

――確かに、自殺を罪とする宗教もあるので、そうした信仰を持つ人は、自殺を思いとどまれるのかもしれませんね。

そうなんです。これについても、WHOが興味深いデータを公表しています[注1]。世界の国や地域の自殺率を宗教圏別にまとめたデータで、これによると無宗教と見なされる国や地域の自殺率が圧倒的に高く、次いで仏教、キリスト教、ヒンズー教で、最も低いのがイスラム教の順になっています。自殺というデリケートな死因のため、そのすべてが報告されているわけではないことが考えられますが、教義で明確に自殺を禁じている宗教圏では自殺率が低い。一方、無宗教の次に自殺率が高い仏教は、自殺を明確には禁止しておらず、「極楽浄土」「輪廻(りんね)転生」といった思想から、自殺を誘発する懸念があることが指摘されています。


※A global perspective in the epidemiology of suicide:suicidologi 2002掲載のグラフを基に作成
こと日本に関しては、無宗教もしくは仏教の方も多く、自殺を含めた生死に関する文化・社会通念にも、自殺を誘発しやすいベースがあると考えられます。私はこの生死に関する文化・社会通念が、自殺に対する心理的な閾値(いきち)に最も影響するのではないかと思っています。

――それはどういうことでしょう?

例えば、時代劇では切腹のシーンがしばしば見られますよね。あれも自殺の一種ですが、美化されて描かれることが多いので、自死に対して罪悪を感じるよりも、むしろ自死をもって責任を取ることへの称賛や憧れのような気持ちを抱くことがあります。そうしたいわゆる「切腹文化」の名残が、自殺に対する心理的な閾値を低めているように思うのです。

というのも、日本では自殺に対して、「そうなってしまったことは気の毒だけど、最終的には本人が決めたことだから仕方がないよね」という考えを持つ人が少なくありません。しかし、繰り返しになりますが、自殺者のほとんどは、精神科で診断がつくレベルのうつ状態になっていて、客観的な判断ができなくなっていますから、本人が冷静に自殺を決意したわけではありません。だからこそ、自殺に至ってしまう前に、サポートすることが重要なのです。

かつての日本ではこのことがあまり理解されず、自殺予防対策がなかなか進まない現状がありました。しかし、1998年に前年の自殺率を35%も上回り、自殺者が3万人を超えたことをきっかけに、国を挙げての自殺予防対策が進められることになりました。

◇  ◇  ◇

後編「自殺を防ぐために 知っておきたい『TALKの原則』」では、日本で自殺予防対策の取り組みが進んできた背景と、身近な人が「死にたい」と口にしたときに、それを防ぐ「ゲートキーパー」の役割を果たすための対応の仕方を解説する。


[注1]A global perspective in the epidemiology of suicide:suicidologi 2002

(ライター 田村知子)

張賢徳さん
帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科教授。1991年東京大学医学部卒業後、帝京大学医学部附属市原病院・本院で臨床研修に従事。97年英国ケンブリッジ大学臨床医学系精神医学博士号取得。同年帝京大学市原病院精神神経科講師、99年同大学溝口病院精神科神経科長・講師、2004年同科長・助教授、08年同科長・教授。川崎市や横浜市の自殺対策事業など公的活動に積極的に参画。日本自殺予防学会理事長。

 

 


自殺とは

2021年03月14日 10時48分01秒 | 社会・文化・政治・経済

柳 雅也、辻井 農亜、白川 治
近畿大学医学部精神神経科学教室
DOI:10.14931/bsd.5373 原稿受付日:2014年7月8日 原稿完成日:2014年10月21日
担当編集委員:加藤 忠史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)

英:suicide 独:Suizid 仏:suicide

自殺は縊頸や高所からの飛降、電車への飛込、刃器・鈍器による自傷、入水、服毒などの手段により自らがもたらす死であり、法医学剖検による分類上は異状死として取り扱われる外因死に含まれ、その定義は死亡者自身の意志と行為にもとづく死亡とされる。しかし実際には、自殺者が明白な死の意志を持ち、その行為によって起こることを明確に予測できていることはまれであり、多くの例では意識や判断が障害されているため、精神医療における自殺の定義は極めて困難なものとなる。

自殺行動には、自殺既遂や自死とも呼ばれるいわゆる自殺のほかに、自殺行為をおこなった(自殺企図)が死には至らなかった自殺未遂、自殺未遂の中でも死の意図が明確ではないパラ自殺なども含まれるため、自殺行動の定義はさらに拡大され、より複雑なものとなる。

疫学
 自殺未遂の頻度は女性のほうが多いものの、自殺既遂は中国などの例外を除いて男性に多く、我が国でも男性の自殺者数は女性の2倍以上となっている[2]。年代別にみると自殺は若年者における死因の第一位であるが、自殺者数全体でみると4割以上が60歳以上であるように、高齢者は自殺者に占める割合が高く、高齢化の進む県を中心に自殺問題は依然深刻である。

最近の日本の自殺では、これまでの中年男性における自殺の増加から若年層における自殺の増加が問題化しつつある[2]。日本は先進諸国の中でも高い自殺率を示しているが、ロシアや韓国などさらに自殺率が高い国もあり、世界保健機構(World Health Organization; WHO)の統計によると、毎年全世界で約100万人が自殺により死亡していると推定されている。

対策
 我が国では2006年に自殺対策基本法が制定され、2007年に自殺総合対策大綱が策定、2012年には改訂され、地域における相談・支援体制の整備、教育・啓発活動など自殺予防に向けた取り組みがはじまっている。その取り組みのひとつに精神医療体制の整備が掲げられており、うつ病などの精神疾患を早期に発見し、適切な治療へと導入することが重視されている。

精神科医療で用いられる向精神薬のうち抗うつ薬は、うつ病治療で重要な役割を果たし自殺予防に寄与する一方で、衝動性や攻撃性を顕在化させることで自殺のリスクを高める場合もあるとされる。また、自殺予防に有効な向精神薬としては、気分障害の治療に用いられるリチウムや、統合失調症の治療に用いられるクロザピンが知られ、衝動性や攻撃性の軽減がそのメカニズムとして想定されている[3][4]。

病態生理
神経心理学
 自殺企図者もしくは自殺既遂者における衝動性・攻撃性の亢進が報告されており、特に若年者の自殺との関連が指摘されている[5]。また、うつ病や境界性パーソナリティ障害などの精神疾患に罹患していたとしても、衝動性・攻撃性が高い個人はより自殺のリスクが高いことが示されているように、背景となる精神疾患に関わらず、衝動性・攻撃性の高さは自殺行動につながりやすい。さらに、衝動性や攻撃性の表出と考えられる怒りや暴力が、自殺行動と相関することも報告されている。

 悲観・厭世観(pessimism)や絶望感(hopelessness)、神経症傾向(neuroticism)といった心理学的特性やパーソナリティ特性、中でも絶望感は自殺のリスクを高める要因として重要である[7]。また、絶望感や社会的孤立(social isolation)に伴うようなこころの痛み(psychological pain)が自殺念慮を引き起こし、自殺行動に至らしめる危険因子となる。

 また、自殺における認知行動的特性と関連する認知機能障害の存在が重視されている。刺激に対して適切な注意の方向修正ができない注意選択の障害(attention deficit)、別の解決策に思考が向かないといった問題解決(problem solving)や意志決定(decision making)に関する能力の障害は、認知の硬直性(cognitive rigidity)と捉えることができ、自殺との関連が認められる[7]。

精神医学的診断との関連
 自殺企図の直前には精神医学的診断が与えられる状態にある場合が多く、心理学的剖検では、その90%以上がなんらかの精神障害を有するとされる。そのため、特定の精神疾患あるいは精神症状との関連から自殺の病態を捉え、治療的に介入する試みがこれまでにもなされてきた。ところが、実際には精神疾患に罹患したとしても自殺行動に至ることは決して多くはなく、また精神疾患の重症度と自殺のリスクの高さは必ずしも相関しないことが示されている。

このことは、精神医学的診断から独立した、すなわち特定の精神疾患という枠組を越えた自殺に至る脆弱性の存在を示唆している。自殺を心理学的観点から捉えると、ストレス因を引き金とする思考・行動の病理といえるが、自殺には脳機能や神経内分泌の変化、遺伝的要因などが関与することが示されているように(次章参照)、自殺に至る脆弱性には生物学的背景が存在しうる。

脳画像所見
 磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging, MRI)を用いた脳構造画像研究により、自殺企図歴のある患者群では、気分障害やパーソナリティ障害、統合失調症といった特定の精神疾患に関わらず、前頭前野眼窩部を中心とした脳体積が減少していることが報告されている。また同じくMRIを用いた研究で、自殺企図歴のある群においては、脳の白質病変(white matter hyperintensitities)が多くみられることも報告されている[8]。

 一方、機能MRI(fMRI)研究では、前項で述べた自殺に特徴的な神経心理学的所見と脳機能との関連が前頭前野眼窩部を中心に報告されている。うつ病患者のうち自殺企図歴を有する群では、意思決定課題の遂行時に前頭前野眼窩部の反応が乏しいことが報告されているとともに、怒りに関する情動刺激の提示による同脳部位の賦活が大きいことが報告されている。

さらに健常者における研究ではあるが、自殺の危険因子である社会的孤立を連想させる刺激提示によって、同脳部位が活性化されることが報告されており[9]、自殺行動に至る背景として前頭前野眼窩部が重要な脳部位であることが窺える。

神経生化学的・神経内分泌学的変化
 自殺の生物学的機序の解明は、自殺既遂者あるいは自殺企図者における神経生化学的・神経内分泌学的な変化を捉える試みに始まる。とくに自殺者死後脳を直接対象とした研究は、自殺傾性の重症度が最も高くかつ生物学的均一性も比較的高いと考えられる。

そして、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達系の変化、細胞内情報伝達系の変化、神経細胞の形態変化などを直接捉えることができるため、自殺の生物学的な病態の解明には不可欠である。自殺における脳内神経伝達系の異常として、主にセロトニン神経系の失調とノルアドレナリン神経系や視床下部-下垂体-副腎系 (hypothalamic-pituitary-adrenal axis, HPA)の失調が示唆されており、前者は遺伝的な規定を強く受けるtrait-relatedな系であるのに対し、後者の二つはストレスに反応して変化するよりstate-dependentな特性を示す系とされている。

セロトニン神経系
 セロトニン神経系(Serotonergic system)は、主に脳幹の縫線核(raphe nucleus)を起始として前頭葉をはじめ脳のさまざまな領域に投射しており,その失調が、抑うつ気分などの気分変調や衝動性・攻撃性といった情動不安定性を含めた自殺関連行動の背景と考えられている。

 自殺者死後脳における脳脊髄液の変化として、セロトニン神経系の機能低下についての報告が数多くみうけられる。自殺者死後脳の前頭前野においては、シナプス前部のセロトニントランスポーター(以下5HTT)の減少や、シナプス後部のセロトニン1A(5HT1A)および2A(5HT2A)受容体の増加が報告されているが、これらは前頭葉におけるセロトニン神経伝達の低下を示唆する所見とされる。

これらの変化は前頭葉のなかでもとりわけ、腹外側前頭前野(ventrolateral prefrontal cortex)(前述の前頭前野眼窩部を一部含む)での報告が多い[13]。さらに、自殺者死後脳の脳幹において、セロトニンおよびその代謝産物である5-ヒドロキシインドール酢酸 (5-hydroxyindole acetic acid, 5-HIAA)の低下が報告されている。

セロトニン合成酵素であるトリプトファン水酸化酵素2(tryptophan hydroxylase isoform 2; TPH2)は中枢神経系で特異的に発現しているTPHのアイソフォームであるが、うつ病自殺者の死後脳において、TPH2のタンパク及びmRNAレベルが縫線核で上昇していたとの報告もある。この変化は、自殺でのセロトニン神経系の機能低下に対する代償的変化である可能性が考えられる。

 死後脳以外でも、自殺におけるセロトニン神経系の機能低下を示す所見は数多く報告されている。致死的な自殺企図歴をもつうつ病患者に限らず、統合失調症やパーソナリティ障害における自殺企図者においても脳脊髄液中の5-HIAAの低下が認められ、また衝動性の高いものほどその低下が目立つことが明らかにされている。これらのことにより、脳脊髄液中の5-HIAAの低下は、特定の精神疾患の枠を超えた自殺と関連する生物学的指標と考えられている。

ノルアドレナリン神経系
 ノルアドレナリン神経系(Noradrenergic system)は、ストレス応答や絶望感などの心理学的特性に関与する系で、セロトニン神経系ほどではないが、その失調と自殺との関連が指摘されている。

 自殺既遂者において、ノルアドレナリン神経系の起始核である青斑核(locus coeruleus)の神経細胞数の減少と細胞密度の低下が報告されている[18]。同じく自殺既遂者の脳幹においてノルアドレナリンが低下しており、その二次的な変化とされるアドレナリンα2受容体(以下α2受容体)結合の増加が報告されている。これらの所見は、脳幹におけるノルアドレナリンの枯渇を示唆する。

一方、自殺既遂者の前頭前野では、ノルアドレナリンの上昇とα2受容体結合の低下が報告されているが、これは皮質でのノルアドレナリン活性の亢進を示すと考えられる。しかし、前頭前野におけるα2およびそのサブタイプであるα2A受容体が増加しているとの報告も多数あり、自殺既遂者の皮質においてみられるこのような相反した所見は、青斑核においてもノルアドレナリン生合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素(tyrosine hydroxylase; TH)の増加または減少として報告されている[26]。このような不一致は、研究間での対象の違いに起因する可能性が考えられ、もしそうだとすれば、状態依存的にノルアドレナリン神経系が変化する可能性がある。したがって、自殺においては、当初みられたノルアドレナリンの活性亢進がやがては低活性に至るような過程があるのかもしれない。

視床下部―下垂体―副腎系
Hypothalamic-pituitary-adrenal axis; HPA system

 HPA系は、生体のストレス反応性を規定する主要なシステムである。生体がストレスにさらされると、視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone, CRH) 分泌が増加し、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン (adrenocorticotrophic hormone, ACTH) 分泌および副腎皮質からのグルココルチコイドの分泌を促進する。分泌されたグルココルチコイドは、生理的レベルでは、視床下部、下垂体前葉に分布するグルココルチコイド受容体への結合を介して、CRHおよびACTHの生合成と放出を抑制している。また、視床下部のCRH産生ニューロンは、さらに上位に位置する海馬から抑制性の入力を受けており、生理的レベルのグルココルチコイドは、海馬によるHPA系への抑制を強化する。

 これらのネガティブ・フィードバック機構および扁桃体から視床下部への興奮性の入力などを通じて、HPA系は制御されている。HPA系の機能評価として、デキサメサゾン(dexamethasone, DEX)を用いたDEX抑制試験またはDEX/CRH抑制試験がある。DEXは外因性合成グルココルチコイドホルモンで、その投与によりネガティブ・フィードバックを介してACTH、グルココルチコイド放出を抑制する。

 生体へのストレス負荷が持続するとグルココルチコイド分泌が上昇し、その上昇の持続によって、海馬神経細胞の傷害や神経新生の抑制などが生じる[27]。海馬の傷害により、HPA系への抑制性の制御は減弱し、その結果HPA系の過活性がもたらされると考えられる。ストレス負荷と関連する自殺においても、HPA系の過活性を示唆する報告が多い。結果は必ずしも一致していないものの、うつ病や自殺ではDEXによるグルココルチコイドの抑制がかかりにくい(non-suppression)とされており、HPA系の過活性の存在が示唆されている。

non-suppressionは将来の自殺既遂の予測因子ともされており、15年以上にわたるフォローアップ研究において、non-suppressorはsuppressorと比較して約14倍自殺のリスクが高まると報告されている。またnon-suppressorの気分障害では、自殺のリスクが約4.5倍高まるとするメタ解析の報告もある。

その他にも、脳脊髄液におけるCRH濃度の上昇、前頭葉におけるCRH結合親和性の低下[30]、下垂体と副腎の肥大[31]といったHPA系に関する変化が、うつ病の自殺者で報告されている。


A級トップ棋士の誇りと意地の戦い「将棋界の一番長い日」をご存知か

2021年03月14日 06時45分11秒 | 事件・事故

2020 2.27

決戦は本日午前9時より始まる
小島 渉観戦記者

極限状態のなかで

「将棋界の一番長い日」をご存知だろうか?

それはトップリーグ、順位戦A級の最終戦が一斉に行われる日を指す。名人に挑む者とA級の座から陥落する者が決まるため、昔から注目を集めてきた。朝から始められた対局は深夜にまで及び、トップ棋士の頭脳と体力は限界に達する。極限状態のなか己の一手が運命を左右し、ときには信じられないような大逆転劇が起こってしまう。今年の決戦の舞台は静岡県静岡市「浮月楼」。対局は本日2月27日朝9時に開始される。

順位戦は1946年に開始された伝統のある棋戦で、これまで様々なドラマが生まれてきた。今回はA級の歴史的な戦いを振り返ってみよう。


第78期名人戦・順位戦 A級 <主催:朝日新聞社・毎日新聞社 協賛:大和証券グループ>
まずは順位戦の仕組みを説明しよう。順位戦は1年かけて行われるリーグ戦で、クラスは上から順にA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組に分かれる。人数はピラミッド型で、現在のC級2組が52人なのに対しA級は10人。A級の優勝者は、将棋界には8つあるタイトルのひとつ「名人」に挑戦する権利を得る。

順位戦は各リーグで昇級者と降級者(B級2組以下は降級点制度で、累積すると降級)の人数が決まっている。新四段は原則C級2組からの参加。下のクラスからひとつずつ上がっていくしかないため、いくら成績が優秀な棋士でもいきなりA級に参加はできない。順位戦を指さない棋士、またはC級2組から降級した棋士はフリークラスに所属し、規定の年数や年齢に達すると基本的に引退が決まる。

「頭ハネ」が生んだ悲劇

順位戦の特徴は、文字通り「順位」がものをいうこと。前期のリーグ成績に基づいて各リーグの順位がつけられ、同星の場合は上位者が優先される。同星ながら順位下位のせいで昇級を逃したり降級することを、俗に「頭ハネ」という。これは多くの悲劇を生んできた。藤井聡太七段でさえ、2018年にC級1組で師匠の杉本昌隆八段に頭ハネを食らっている。若き日の羽生善治九段も同様に順位差が響いて昇級を逃したことがあった。

A級の挑戦権は、同率で並ぶとパラマス式トーナメントが行われる。しかし、降級は同星だと下位の棋士が落ちる。順位で助かるものもいれば、その逆もしかり。ある棋士の順位戦の悲運を紹介しよう。

トップリーグで総当たりのA級は、大混戦のすえに順位差で落ちることも珍しくない。羽生善治九段の1歳年下の深浦康市九段はタイトル獲得3期、棋戦優勝9回、A級10期の実績があるものの、順位戦では苦戦した。A級では3回、順位差で降級している。第63期と第65期は4勝5敗の成績を上げながらも、順位が悪くて残留できなかった。ここ20年のA級を調べてみると、4勝5敗での降級はわずか3回で、そのうちの2回が深浦である。

その深浦を順位差で5回頭ハネしたのが、2歳下で1996年に七冠を独占していた羽生善治から棋聖を奪取した三浦弘行九段だ。

三浦と深浦の奇妙な縁は、1994年までさかのぼる。順位戦の初対戦となった、第52期C級2組の最終戦は三浦勝ち。翌年のC級2組は三浦6位、深浦が9位でスタートし、最終成績が9勝1敗で並んだため、順位差で三浦が昇級した。第58期はB級2組で三浦は20位、深浦は21位で参加したが、またも9勝1敗で並び、深浦がわずか順位差1枚で昇級を逃す。そして、第63、65、67期のA級は、いずれも三浦と深浦が同星になるも、降級したのは順位が下の深浦だった。

深浦が初めて三浦を順位戦で上回ったのは第73期A級。第72期のA級で深浦が5勝4敗、三浦が4勝5敗の成績を収めたため、第73期の順位は深浦が5位、三浦が6位になった。もし第72期の深浦―三浦戦で三浦が勝っていれば、第73期の順位は三浦が上になっていた。

深浦が三浦を上回るのには、C級2組の初対戦から20年もたっていた。たとえ昇級のチャンスや降級の恐れがない勝負でも、勝って順位を少しでも上げないと数年後に泣くことになるかもしれない。1年1年の積み重ねが現在の順位につながり、浮き沈みを繰り返す。順位戦を人生に例える棋士がいるのもうなずける。

大棋士の執念

A級は過酷なリーグなので、名人経験者でも落ちるときがくる。1994年、49歳の最年長で名人を奪取した米長邦雄永世棋聖は、1998年に4勝5敗ながら順位差で降級。そのままフリークラスに転出し、二度と順位戦を指さなかった。羽生善治九段のライバルで十八世名人の有資格者である森内俊之九段も、2017年にA級降級を受けてフリークラスを宣言している。


1977年、34歳当時の米長邦雄氏(写真/講談社写真資料室)
現在、羽生世代でA級に参加しているのは羽生善治九段と佐藤康光九段のみ。来期A級には平成生まれでタイトル経験者の菅井竜也八段、斎藤慎太郎八段が昇級してくる。百戦錬磨の大棋士であっても、若手で勢いのある棋士の参戦で、取り巻く状況はますます厳しい。

早世した棋士をのぞき、唯一、生涯A級を貫いたのは大山康晴十五世名人だ。1948年にA級入りしてから1992年に69歳で逝去するまで、名人獲得18期を挟み、A級以上連続44期の大記録を樹立した。十七世名人の有資格者・谷川浩司九段とは39歳差で、自分の孫にあたるような年齢差の棋士ともA級で戦った。

当然ながら、年を重ねるとともに体力や思考力は落ちてくる。大山の特筆すべき点は、61歳でガンになっても挑戦権レースに絡んだことだ。ガン発覚後の1984年度の第43期名人戦挑戦者決定リーグ戦(当時のA級の名称)は休場したものの、翌年はA級に復帰。参加者11人の降級枠は3名で、大山の順位は張り出しの最下位と悪条件ながら、終わってみれば6勝4敗で加藤一二三九段、米長邦雄二冠と並ぶ。三者プレーオフを勝ち抜き、63歳で中原誠名人の挑戦権を獲得した。


競輪人間学 固定観念を捨てる

2021年03月14日 05時06分13秒 | 未来予測研究会の掲示板

私たちが、自分の心を縛る制限を取り去り、さらに自由で幸せになるためには、 不要な固定観念を捨てることがとても大切です。

GⅢ大垣競輪開設記念 水都大垣杯3日目(3月13日)

9レース

競輪ファンの多くは、固定観念に縛られている。
先行と捲りでは結果は違ってくるものなのだ。
軸は9-1(3.8倍)で固い思い込む。
当然1-9(5.8倍)を押さえるべきなのに、
 
並び 3-5 9-1-4 7-2 6-8
レース評
自慢のパワーを誇示して積極策を貫く染谷が◎で、連係実績ある新田が援護から迫る。ダッシュ鋭い津村の捲りに警戒
 
1番新田 康仁選手は47歳で競走得点100.65、勝率8・3
一方、9番染谷 幸喜選手は32歳で競走得点105.23 勝率30.7
この比較から9-1を軸で9-1-3を買って、1-9-3を買っていない。
固定観念から<裏目で泣くケース>。
 
結果
2車単 1-9 580円(2番人気)
3連単 1-9-3 2730円(5番人気)

 




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
1 1 新田 康仁   11.5   捲振り差す
2 9 染谷 幸喜 1/2車輪 11.7 B 果敢に先行
× 3 3 津村 洸次郎 3/4車身 11.6   S 張られも耐
  4 6 薦田 将伍 1車輪 11.1     立直中踏み
5 5 山口 貴弘 1車輪 11.5     津村に続き
  6 4 開坂 秀明 1/2車身 11.6     搦まれ伸欠
7 2 渡辺 十夢 1/2車身 11.3     前仕掛遅く
  8 7 角 令央奈 1/2車輪 11.5     後方で不発
9 8 溪 飛雄馬 1/8車輪 11.2     BS最後方

レース後記

レース後記写真

 染谷幸喜が打鐘から先行策。番手の新田康仁は最終バックからまくりにきた津村洸次郎をけん制して、最後はきっちり差し切った。
 「ちゃんと競輪ができたなかって思う。1番車を頂いていたし、スタートで前中団は染谷君にとってもベスト。ホームとバックの加速も凄かった。引き付けて津村君をけん制して、染谷君を残してワンツーを決められたので良かった」

---------------------------------------------
 11レース

平原 康多選手(埼玉38歳)に山崎 芳仁選手(福島41歳))がマークした珍しいレース。
並び 2-7 1-9-4 3-5-6-5

レース評
東日本勢は4車で結束。平原が柔軟な立ち回りで別線を攻略し山崎が迫る。北津留の一発や好目標を得た柴崎も手強い。

平原 康多選手 競走得点 118・88 勝率52・9
山崎 芳仁選手 競走得点 110・80 勝率57・6

一番人気は3-5(4・3倍)

多くの競輪ファンたちは、3-5で決まると思い込む。

だが、平原 康多選手を追走した山崎 芳仁選手がまさかで、付けきれず離れてしまう。

誤算は、実績上位の山崎 選手は絶対に離れないはずだ思い込むファンたちの

定観念>である。

結果

2車単 3-9 850円(3番人気)

3連単 3-9-46,840円(25番人気)

レース後記

レース後記写真

 皿屋豊が赤板過ぎに平原康多を押さえる。後方に置かれた北津留翼は打鐘から巻き返すも、皿屋もペースを上げる。北津留は最終1コーナーで一杯となる。中団で立て直した平原が2コーナーから仕掛けると、皿屋をマークした柴崎淳はバックから番手まくり。原真司が踏み遅れた隙に柴崎の後ろに入り込んだ平原が最後は交わして1着。
 「踏み遅れないようにしようと思っていた。北津留君の辞め方は最悪でしたね、乗って損した。そこからは仕掛けていかないとって。ラインで後ろを回ってくれている人に申し訳ないので。脚は溜まっていなかったけど無理矢理行きました。意地でも行かないと、山崎(芳仁)さんにもチャンスがないので。風は強かったが、今日が一番軽く感じました」
 2着には柴崎淳が入った。
 「そんなに余裕はなかった。ホームで北津留さんが見えて、その後ろに赤色が見えた。もう一度振り返ったら北津留さんが消えていた。(番手から)出ないと、後ろに原さんもいたので。被ってしまったら終わりだし、その辺の判断はできた。最後は出力が出ないので、この状態で走る以上は気持ちだけ。ここまでやれている自分を褒めたい」
 3着には山崎との伸び比べを制した原真司が食い込んだ。
 「力を出し切った。千切れたし、一杯でした。余裕もなかったです。諦めずに踏んでいったのが良かった。記念の準決勝は2回目です」

 

 




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
1 3 平原 康多   11.1 S 追上差切る
2 9 柴崎 淳 3/4車輪 11.2 B B番手捲り
  3 4 原 真司 3車身 11.2     搦まれ耐続
4 5 山崎 芳仁 1/8車輪 11.1     平原付切ず
  5 6 金成 和幸 2車身 11.1     前が離れて
  6 8 山田 幸司 1車身 11.1     大勢のまま
7 7 坂本 健太郎 1車身 11.5     追走阻まれ
8 1 皿屋 豊 1/2車身 11.9     目イチ駆け
× 9 2 北津留 翼 大差 12.1     叩けず外浮

競輪人間学 集中と選択

2021年03月14日 04時22分03秒 | 未来予測研究会の掲示板

選択と集中は、企業の競争戦略上、得意とする、あるいは、得意としたい事業分野を絞り込み、そこに経営資源を集中することを指します。 多角化から選択と 集中へ.

競輪に絶対はないが、実力の差によって<ダントツ>とも言える確立の高い軸があるものだ。

例えば、レース運びがうまい平原 康多選手の場合。

GⅢ大垣競輪開設記念  水都大垣杯(3月12日)

2日目の6レースの吉田 拓矢選手と11レースの平原 康多選手ケース。

つまり、車券を買うレースを絞り、そのレースに資金を集中し、<ダントツ>の軸を選択するのである。

効率と確立の問題である。

全てのレースに手を出していたら、資金は尽きてしまうものなのだ。

6レース

並び 2-4 1-8 3-5-6 9-7

レース評
初日特選で逃げて感触を確かめた吉田が豪快な捲りで飲み込む。相川は追走までで、好目標を得た村上や松岡が不気味。

吉田 拓矢選手は初日12レースの特選に出て、平原選手の前で先行し貢献した。

6レースでは<ダントツ>と言える。

結果は本命軸として吉田 選手はファンの期待に応えた。

おいし車券となる。

2車単 2-3 3110円(9番人気)

3連単 2-3-5 6740円(21番人気)




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
1 2 吉田 拓矢   11.9 B 出脚良捲る
2 3 高久保 雄介 1車輪 11.7   捲れも踏直
3 5 村上 義弘 3/4車輪 11.7     援護し差ず
4 9 野田 源一 1/4車輪 11.5     後方捲れず
  5 1 長尾 拳太 1/2車身 11.6     切って一杯
  6 7 山口 貴弘 1車輪 11.5     野田と共倒
  7 6 角 令央奈 1/8車輪 11.7     内締め続き
× 8 8 松岡 篤哉 1/2車身 11.5     長尾が不発
9 4 相川 永伍 2車身 11.9     吉田に離れ

レース後記

レース後記写真

 野田源一、長尾拳太の順で切った上を、高久保雄介が打鐘で叩いて先制。8番手になった吉田拓矢は3コーナー過ぎからすかさず反撃に出ると、最終2コーナーで高久保をとらえて先頭に立つ。番手の相川永伍は踏み出しで離れてしまい援軍を失った吉田だったが、直線でも力強く踏み直してそのまま押し切った。
 「高久保さんと力勝負になるかなと思っていました。隊列が伸びたところで行くことになってしまって出切るのに時間がかかったけど、流れていたのでこのまま踏んでれば出切れるなと思った。平原(康多)さんにセッティングを見てもらって上向いているけど、ペダリングが乱れているのでもうちょっとですね」
 逃げた高久保雄介は、村上義弘の援護を受けて2着に粘った。
 「先行態勢に入って、吉田君の動きをみながらっていう作戦でした。すかさずすごい勢いできて強かった。村上さんの援護と(角)令央奈が3番手でずっと内を締めていてくれたおかげです。村上さんと確定板に乗れたのはほんまにうれしい」

----------------------------------------------------

11レース

 並び 5-2 1-9 7-3-8 6-4

レース評

落車明けの不安を払拭した平原が不動の軸。中川は追走に不安あり、初日のスピードが光っていた島川と好調染谷が相手。

結果

平原 康多はうまいレース運びで1着となる。

軸が確かなら、人気薄も買うことだ。総流しでもありのレースだった。

2車単 5-6 5320円(12番人気)

3連単 5-6-4 3万1620円(56番人気)




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
1 5 平原 康多   11.7   合わせ捲る
  2 6 佐藤 雅春 3/4車輪 11.6   俊敏に切替
  3 4 金成 和幸 1車輪 11.5     佐藤に続く
  4 8 二藤 元太 3/4車身 11.7     直線外回し
× 5 7 染谷 幸喜 1/2車身 11.9   B 平原捲られ
6 9 久米 康平 1/8車輪 11.6     島川不発で
7 2 中川 貴徳 1/8車輪 11.6   S 平原に離れ
8 3 飯田 辰哉 3/4車身 11.9     援護できず
9 1 島川 将貴 2車身 12.1     捲り外浮く

レース後記

レース後記写真

 染谷幸喜が打鐘で先頭に立つ。8番手に置かれた島川将貴がホームから巻き返すと、6番手にいた平原康多も合わせて踏み込む。島川を合わせ切った平原がバック過ぎに逃げる染谷を捕えると、後続の追撃を振り切って白星を手にした。
 「島川君に合わせて思い切り踏みました。島川君がジャン前に行くのかと思ったけど、叩きにいかなかったのは誤算。でも、その時々で臨機応変にやっているので。最後は(佐藤)雅春が来たので、えって思った。フレームのせいとかではなくて、腰の修正をしないと。昨日よりは痛みはなくなっています」
 平原の後ろにスイッチした佐藤雅春が2着に食い込んだ。
 「狙っていました。島川にしろ、平原さんにしろ今日はああいう組み立てをしようと。予想通りの展開になって良かった。飛び付けたのはびっくりしましたけど(笑)。金成(和幸)さんと2、3着が決まって良かったです」