人生、そして青春は「劇」である

2025年02月25日 11時25分18秒 | その気になる言葉

▼試練は生命を鍛える好機になる。

苦境に屈することなく、あくまで奮闘するのである。

弱音を吐いて逃げ出すのか、そとも難に敢然と立ち向かい、乗り越えようと奮闘すかが、人生の勝負を決する分かれ目である。

▼人生、そして青春は「劇」である。

楽しい出来事もあれば、思わぬハプニングもある。

苦闘の時期や胸躍る大逆転の瞬間、時のにはほっと一息をつく幕間もあるだろう。

いろいろあるから、おもしろい。

だから、自分がつらい時、苦しい時こそ「さあ、これからだ」「いよいよ勝負の時がきた」と青春の勝利の舞台の見せ場とするのだ。

 


維新3県議 情報提供で謝罪

2025年02月25日 11時15分57秒 | 社会・文化・政治・経済
日本維新の会の兵庫県議会議員が、去年の兵庫県知事選挙の期間中、政治団体代表の立花孝志氏に真偽不明の文書や、非公開の百条委員会の音声を提供していた問題を受けて、23日、記者会見し、議員の1人は離党届を提出したことを明らかにしました。


日本維新の会の兵庫県議会議員、岸口実氏と増山誠氏は、去年の知事選挙の期間中、▽真偽不明の文書や、▽斎藤知事の内部告発文書を調査する百条委員会の非公開の音声を、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首へ提供したとして先週、百条委員会の委員を辞任しました。
岸口氏と増山氏、それに立花氏と電話でやりとりした白井孝明 県議会議員の3人は、午後1時から神戸市内で記者会見を開きました。
この中で、岸口氏は「県民に大変な迷惑をかけていておわびする。文書を渡す場に同席した以上、私から提供したということで結構だ。記載の内容が事実かどうかは判断がつかなかった。立花氏に会ったことは軽率で、党からの一定の処分の検討もある」と述べ、今後、みずから議員辞職などについて判断していく考えを示しました。
情報提供が知事選挙に与えた影響については、「全く関係がないとは言わない。選挙結果を踏まえると、立花氏が一定の役割を果たしたことはよく分かる。ただ、最後は県民一人ひとりの判断だと思う」と述べました。
また、増山氏は、音声を提供したことについて「ルール違反なので謝罪したい。私から立花氏に連絡し、カラオケボックスで会い、備忘録のような形で持っていた文書も渡した。立花氏は発信力がある人なので県民が知ることができるのではないかと思った。『立花氏が多くのデマを言っている』という意見には賛同しかねる」と述べました。
その上で「きょう、日本維新の会に離党届を提出した。議員辞職については有権者の声を聞きながら判断していきたい」と述べました。
3人が同じ時期に立花氏に接触したことについては、それぞれが連携はとっていないと説明しました。

 


東京大空襲・戦災資料センター

2025年02月25日 11時07分30秒 | 社会・文化・政治・経済

アジア太平洋戦争の末期、1945年3月10日。

アメリカ軍の無差別爆撃によって東京の下町一帯は焼け野原になり、約10万人もの人びとが命を奪われました。この「東京大空襲」をはじめ、戦争中、東京は100回以上の空襲を受け、多くの人が家財を焼かれ、傷つき、親しい人を亡くし、命を失いました。

その多くは、武器をもって戦っていたわけでなく、戦時下の日常生活を懸命に生きていた民間人―女性、子ども、高齢者などでした。
 戦争中に多くの一般市民が被害を受けた出来事としては、広島や長崎への原爆投下、沖縄戦などがよく知られていますが、東京の空襲のことはどこまで知られているでしょうか。

東京の空襲を専門に扱っている公立の博物館は今のところありません。
 なぜ東京は空襲を受けたのか、なぜこれほど大きな被害が出たのか、空襲のなかでどういう人びとがどのような体験をしたのか、空襲はどのような傷跡・影響をのこし、そのなかで人びとはどのように生きていったのか、日本社会はその歴史や経験にどのように向き合ってきたのか。

センターを通じてそれらのことをまず知ってもらい、さらに、もっと多くの人に伝えるきっかけにしてほしい。この、「知らないなら学ぼう、知っているなら伝えよう」ということが、2002年の開館以来、民立民営の施設として東京の空襲を伝え続けてきたセンターの目標のひとつです。

 戦争中、東京だけでなく国内各地も空襲を受けました。

それ以前には、逆に日本軍が中国の都市を空襲していたこともありました。

そして、空襲はアジア太平洋戦争の時だけ起こったわけではなく、飛行機が誕生した20世紀初めから始まって、世界中の色々な場所でおこなわれていました。

そこには、相手の反撃が届きにくいところ(空)から、つまり自分があまり傷つかない状況で相手にダメージを与えられれば、効率よく相手を従わせることができるはずだという共通の発想がありました。

世界に目を向ければ、同じような発想がアジア太平洋戦争以降も続いていて、それに基づいて空襲・空爆・ミサイル攻撃が現在もおこなわれ、そこで多くの一般市民が傷つき、命を奪われ続けていることに気がつきます。

このように、大きな時間・空間の枠組みのなかで空襲を学び・考えてもらいたいというのもセンターの目標のひとつです。

 東京の空襲の歴史・体験を、大きな枠組みも意識しながら、できるだけ正確にしっかり伝えていく。

それを通じて、戦争や空襲の記憶の風化をふせぎ、過去の戦争を美化・正当化するような動きには反対し、戦争・空襲のない平和な社会をつくり、まもっていく。それがセンターのめざすところです。

これからの平和の担い手になっていく一人ひとりが、センターを通じて空襲のことを深く学び・考え、それぞれに平和を考えるきっかけにしてくれることを願っています。

 あの戦争・空襲から長い年月が経ちました。空襲を体験した方々、募金などを通じてセンターを支えてくださった方々、そして、センターの母体となった「東京空襲を記録する会」をはじめ、これまで空襲の実態を掘り起こし、伝えてきた先輩たちも、どんどん少なくなってきました。

センターは、そうした人たちの歩みや想いを受け継ぎつつ、これからも空襲を伝え続けていきます。

そして、空襲を学び平和を考えるための教育の場、平和に取り組む市民活動の場、空襲を研究する場として、それらに関わる人びとがつどい、垣根をこえて交流し、お互いを尊重しつつ、ともに平和をめざして活動するための中心地(=センター)になることをめざします。
 いのちと平和のバトンを、しっかりと未来に受け渡すために。


ロシアのウクライナ侵攻3年

2025年02月25日 10時20分30秒 | 社会・文化・政治・経済

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、SNSにメッセージを投稿し「抵抗の3年。感謝の3年。ウクライナ人の究極の英雄行為の3年だった。ウクライナを誇りに思う。ウクライナを守り、支えているすべての人々、そしてウクライナのために働くすべての人々に感謝する。私たちの国家と国民のために命を捧げたすべての人たちの記憶が永遠に残るように」としています。

首都キーウにヨーロッパを中心とした各国の首脳が集結

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって3年となる24日、ウクライナでは、これまでの戦闘で犠牲となった人たちを追悼するとともに祖国の独立を守り抜くという声が聞かれました。


キーウ市内の修道院 建物の壁に戦闘で亡くなった兵士たちの写真

キーウ市内の中心部にある修道院では、建物の壁に戦闘で亡くなった兵士たちの写真が貼られ、この3年で壁を埋め尽くすまでになりました。

24日は朝から市民らが訪れ、写真に花を手向けたり、涙を流して見つめたりする人の姿が見られました。

ドネツク州で戦闘に加わっていた24歳の孫を亡くしたという69歳の女性は「ことばにすることができないほどの痛みや悲しみを抱えています。いちばんの願いは、みんなが生きていること、健康であること、平和であることです」と目に涙を浮かべながら話していました。

また69歳の男性は「これほど多くの罪のない人々が亡くなっていることは許されません。恐怖です。アメリカの大統領が何かしらの形で状況を変えてくれることを願っています」と話していました。

以前、領土防衛隊の隊員として戦闘に参加した47歳の男性は「亡くなった兵士の方々の無念を思い、悲しみに暮れています。安全が保証され、平和が訪れることを願いたいです」と話していました。

また63歳の女性は「軍事侵攻後、私たちの生活は変わりました。平和も自信もなく、子どもたちの未来もない。アメリカに期待できるかはわかりませんが、とにかく平和が訪れてほしいです」と話していました。

ウクライナ軍前線の兵士 “北朝鮮の部隊が再び前線に投入”

 また、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で戦闘を続けている前線の兵士がNHKのインタビューに応じ、一度撤退したとみられていた北朝鮮の部隊が再び前線に投入されたという見方を示しました。


ウクライナ軍の第95独立空挺強襲旅団の兵士で去年夏からロシア西部クルスク州で戦闘任務についているボロディミル・ネビル氏が、2月17日、前線からNHKのオンラインインタビューに応じました。

この中でクルスク州で一度撤退したとみられていた北朝鮮の部隊について、「1週間以上前から新たな兵士とともに戻ってきた」と述べ、再び前線に投入されたという見方を示しました。

そして「北朝鮮の部隊の戦術はロシアの戦術にどんどん似てきている。これまでより少人数のグループで、より分散して行動し始めている。ただ最も興味深いのは、ロシア軍が迫撃砲や重装備で北朝鮮の部隊を支援していないことだ」と述べ、ロシア軍と北朝鮮軍は連携ができていないとしています。

一方で北朝鮮の兵士はロシア製の兵器を利用するなど戦地での経験を重ねているとして「地上の兵士も司令部の将校もこの経験をほかの兵士や北朝鮮軍のほかの組織に広めていくだろう」と述べ、クルスク州での戦闘経験を持ち帰ることが北朝鮮軍のねらいだという見方を示しました。

北朝鮮軍の部隊をめぐっては、ゼレンスキー大統領が23日の記者会見でこれまでに死傷者が少なくとも4000人にのぼり、前線に1500人から2000人の兵士が補充されるという見方を示しています。

そして長期的な解決策としてNATO=北大西洋条約機構を拡大させないことや、ウクライナに住むロシア語を話す住民の権利の確保など、紛争の「根本原因」に対処しなければならないと強調しました。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部・南部の4州の掌握を目指して犠牲や損失をいとわない形で大量の兵力を投入し攻勢を強めてきました。

これに対してウクライナ軍は、欧米側の軍事支援も得ながら防衛を続ける一方で、去年8月にはロシア西部クルスク州への越境攻撃に踏み切りました。

全体としては戦況はこう着しています。

軍事アナリスト “ウクライナ 軍事的 政治的に最も難しい状況”

 ウクライナの戦況の分析を続けるポーランドの軍事アナリストは「侵攻が始まってからウクライナは軍事的、政治的に最も難しい状況にある」と述べ、兵力不足から士気が低下し、脱走の問題が顕在化していて、持ちこたえられるかは、アメリカからの支援しだいだとの見方を示しました。

ポーランドを拠点に活動する軍事アナリストのコンラッド・ムジカ氏は、アメリカの軍事専門家らと数か月ごとにウクライナの前線などを視察し、戦況の分析を続けています。今月も10日間ほど戦闘が続く東部ドネツク州やウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部のクルスク州に隣接する北東部のスムイ州などを訪れ、ウクライナ軍の部隊の指揮官や兵士への聞き取り調査を行いました。

ムジカ氏はNHKとのオンラインインタビューの中で「ウクライナ軍は最も優先的に対処しなければならないドネツク州の前線の地域などを守るための兵士が十分ではない。多くの兵士の脱走が問題となっている」と述べ、兵力不足から士気が低下し、脱走の問題が顕在化し、さらなる兵力不足を招く悪循環が起きていると説明しました。

一方、ロシア軍については「単純に前線に投入できる兵力の数で勝っている。ウクライナ軍の指揮官は口を揃えて『ロシア軍は1日に4回から8回の攻撃をしかけてくる』と話していた」と述べ、ウクライナ側に絶え間なく攻撃をしかけていると解説しました。

そして「当初は兵力の差はそれほど大きくなかったが、ウクライナ側が損失を補充することができず、ロシア側が兵士の確保をカネで解決し、圧倒的に増やしていったことで顕在化していった。侵攻が始まってからウクライナは軍事的、政治的に最も難しい状況にある」と述べ劣勢に立たされているとの見方を示しました。地域ごとの戦況については「ロシア軍はドネツク州の70%ほどを掌握した」と述べました。

一方、ロシア西部クルスク州に派遣された北朝鮮の部隊については「戦闘能力を立て直し、戦場に再び投入されている。北朝鮮の戦い方は当初、ソビエト・スタイルだったが、いまは、ロシア軍と同じ方法だ」と述べ、当初、50人から100人のチームで突撃し、大きな損失を出したことを教訓に現在は、3人から5人の小規模のチームで分散して展開していると説明しました。

そのうえで「北朝鮮の兵士は20代から30代前半と若く、意欲的でよく訓練されている。すべての装備を身につけ5キロ歩行し、さらに、ウクライナ側を攻撃するスタミナがある」と述べました。

また、今後の見通しについてムジカ氏は「ウクライナ軍がアメリカの砲弾、高精度の兵器、インテリジェンスを入手できている間は、崩壊することはない」として、持ちこたえられるかは、アメリカの支援しだいだとの見方を示しました。

そして「懸念しているのは、ウクライナ軍が戦場でではなく心理的に敗れることだ」と述べアメリカとロシアの交渉によってウクライナが不利な条件を突きつけられるといった展開が明らかになれば、士気がさらに低下し、持ちこたえられなくなる可能性もあるとの見方も示しました。

また「ヨーロッパが砲弾の供与などを増やせば、ウクライナ軍はそこまで悪い状況には陥らないだろうが、特に精密な攻撃を行うためのインテリジェンスにおいては能力低下が否めない」として、ヨーロッパ各国がアメリカの支援を完全に補うことは難しいと話しています。

専門家 “交渉の進め方めぐり 米ロ双方の立場には隔たり”

 ウクライナでの停戦をめぐって、アメリカとロシアの交渉が始まった背景について、ロシアの外交・安全保障政策に詳しい笹川平和財団の畔蒜泰助上席研究員は「アメリカにとって戦略的に重要なのは中国との競争なのでそちらへ資源を集中させたいはずで、大きな支援をしているウクライナの戦争は一日も早く終えたい。ロシアからすると戦争で中国に対する経済的・戦略的な依存度が深まっているので、アンバランスな関係を修正したい」と述べ、米ロ双方がそれぞれ中国への対応をとる必要があったためだと分析しました。

さらに「トランプ政権の誕生は、このウクライナ問題を解決する上でバイデン政権の時と違って妥結の余地があるというのがプーチン大統領の基本的な考え方だ。ウクライナにとっては、トランプ政権が明らかにロシア側に大きく傾いた交渉をやり始めている」と述べ、ロシア側はトランプ大統領が譲歩する可能性があると考えているとの見方を示しました。

一方で「トランプ大統領は早期の停戦を求める一方、ウクライナとNATO諸国の軍事協力の問題などロシアにとって安全保障上の脅威を取り除かないかぎり、この戦争を止めることができないというのがロシアの基本的な立場だ」と述べ、アメリカ側は交渉の争点を停戦の実現に絞り込もうとしているのに対し、ロシア側はヨーロッパの安全保障体制を議論する構えで、交渉の進め方をめぐり、米ロ双方の立場には隔たりがあるとの見方を示しました。

そのうえで「今後、仮に米ロが妥結できたとしても、その合意を欧州とウクライナが受け入れない限り、最終的なゴールにたどり着かない」と述べ、早期の停戦の実現は困難だとの見通しを示しました。

キーウ 松尾寛記者 ウクライナの人たちはどんな思い?

Q.キーウで取材する松尾記者の報告です。ウクライナの人たちはどのような思いで侵攻3年を迎えているのでしょうか。


A.
将来への「不安」だけでなく「怒り」や「失望」といった感情が入り混じっています。

侵略された側がなぜそこまで言われなければならないのか。その反発がゼレンスキー大統領のもとでの国民の結束をより強めていると感じます。

ただ、ウクライナ政府にとってトランプ政権の支援は不可欠で自国の鉱物資源もテコに関係を前に進めたい考えです。

ウクライナは、停戦を目指してロシアとの交渉に臨む前に、まずはアメリカとの関係を調整しなければらないという難しい課題に直面しています。

モスクワ支局 渡辺信記者 ロシアの雰囲気は?今後は?

モスクワ支局の渡辺信記者に聞きます。いまのロシア社会はどんな雰囲気でしょうか?


アメリカのトランプ大統領の登場で、停戦に向けた交渉開始への機運が高まったとして、ロシアの人たちは、心の底では大いに歓迎していると感じます。

ロシアでは軍事侵攻で多くの死傷者が出ている現状に恐怖や疑問を抱いても、反対の声をあげられないため、トランプ大統領ならば現状を打開してくれると、希望を託しているとも言えそうです。

米ロの高官会合を伝えた時のロシアメディアの高揚感も、そうした期待の裏返しのようでした。

ただ、その後、トランプ大統領がウクライナに対し鉱物資源の権益をめぐって取り引きを迫る姿から「強欲なアメリカの本質は変わっていない」といった意見も聞かれます。

Q.
今後、停戦交渉が焦点となってきますが、ロシアのプーチン政権はどう出てくるのでしょうか。


A.
あるモスクワの西側外交筋は「ロシアは戦争継続の能力を失っておらず、時間はロシアに味方する」と指摘しました。

プーチン政権はアメリカとウクライナの関係がぎくしゃくしているのを横目に、いまもウクライナ東部などで地上戦を続けています。

そして、ウクライナに占領地があることを踏まえ、強気の立場で停戦交渉に向けて、自分たちの要求を最大限に認めさせるため、外交攻勢を強めるとみられます。

戦況地図

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ウクライナ戦況地図

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アメリカのトランプ大統領は、大統領選挙の期間中からロシアによるウクライナへの軍事侵攻について早期の終結に強い意欲を示してきました。

トランプ大統領は2014年にロシアがウクライナ南部のクリミアを一方的に併合したことや、3年前のウクライナへの侵攻について「自分が大統領だったら起きなかっただろう」と繰り返し主張し、オバマ元大統領やバイデン前大統領を批判してきました。

困難とみられてきた停戦への道筋をつけることで公約を守る姿勢を国内の支持者にアピールするとともにバイデン前大統領にはできなかったことを実現し、政治家としての遺産=レガシーを残したいねらいがあるとみられます。

【ウクライナ支援には消極的 見返り期待も】

また、ウクライナへの軍事支援には消極的な姿勢を示していて、戦闘を終結に向かわせることでアメリカの負担を減らすとともに、限られた軍事的な資源を対ロシアからインド太平洋地域に向けて最大のライバルの中国に対抗していきたい思惑があるとみられます。

一方、トランプ大統領は、ウクライナへの支援の見返りとしてウクライナ国内の鉱物資源、レアアースなどの権益を確保したい考えも示し、ウクライナ側との合意を目指していて、「ディール」によって仲介者としてだけでなく「実利」を得たい思惑もうかがえます。

【就任直後から外交を活発化 侵攻後初の外相会談も】

こうしたことを背景にトランプ大統領は、2期目の就任直後からウクライナでの停戦に向けて外交的な動きを活発化させています。

今月12日にはロシアのプーチン大統領と電話で会談し、戦闘の終結に向けて交渉を始めることで合意したと発表。また、今月にはバンス副大統領やルビオ国務長官、それにヘグセス国防長官や安全保障政策を担当するウォルツ大統領補佐官などを相次いでヨーロッパや中東に派遣し、関係国との協議にあたらせました。

このうちルビオ長官らは今月18日にサウジアラビアでロシアのラブロフ外相らと協議し、停戦の実現に向けて双方が新たに高官級の交渉チームを設けることで合意しました。

3年前にロシアがウクライナに侵攻して以降、アメリカとロシアの外相が正式に会談したのは初めてでした。

【和平合意の枠組みは3段階】

アメリカの一部メディアは、アメリカとロシア両国の高官が3段階からなる和平合意の枠組みを検討していると伝え、枠組みは、
▽戦闘の停止
▽ウクライナの選挙
▽そして最終的な合意の署名という3つの段階からなるとしています。

また、別のアメリカのメディアは、トランプ政権側がヨーロッパの当局者に対し、ウクライナの停戦をキリストの復活を祝う復活祭にあたる4月20日までに実現したいという意向を伝えていたとも報じています。

≪3年間の犠牲者 避難者 戦死者数は≫

 ウクライナでの市民の犠牲 1万2000人余

OHCHR=国連人権高等弁務官事務所の今月21日の発表によりますと、軍事侵攻が始まった3年前の2月24日からこれまでにウクライナでは少なくとも1万2654人の市民が空爆や砲撃などによって死亡したとしています。

このうち673人は18歳未満の子どもだということです。また、ケガをした人は少なくとも2万9392人に上るとしています。

ただ、激しい戦闘が行われている地域では、正確な被害の実態は把握できていないとしていて、実際の死傷者はさらに上回るとしています。

また、ロシア軍の攻撃で医療機関は790の施設が、教育関連では1670の施設が少なくとも破壊・損傷したとしています。

ウクライナ 全人口の約4分の1が住む家を追われる

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、ウクライナでは、侵攻開始前の人口のおよそ4分の1にあたる1060万人が住む家を追われているということです。

このうち国外に避難している人は今月19日の時点で690万人あまりで、9割以上はヨーロッパに逃れています。

また、IOM=国際移住機関によりますと、ウクライナ国内に避難している人は2024年12月の時点で366万人あまりです。

さらに、出入国在留管理庁によりますと、先月末時点でウクライナから日本に避難している人は1982人となっています。

ウクライナ軍は4万人余 ロシア軍は9万人余が死亡

戦闘の長期化に伴い双方の軍の損失も拡大しているとみられます。

ウクライナのゼレンスキー大統領は今月16日のアメリカNBCテレビのインタビューで、ウクライナ軍の死者はこれまでに4万6000人にのぼると明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は去年2月に3万1000人のウクライナ兵が死亡したことを明らかにしていて、この1年間で、1万5000人が死亡したことになります。

また、けがをした兵士はおよそ38万人だとしたうえで、行方がわからなくなっている兵士も数万人いるとの見方を示しました。

一方、ロシア軍の死者について、ロシアの独立系メディアの「メディアゾナ」とイギリスの公共放送BBCは、今月24日時点で確認されただけで、9万5300人だとしています。

ウクライナ 軍に100万人以上動員 動員逃れもあとを絶たず

ロシアによる軍事侵攻後、ウクライナでは戒厳令などにより18歳から60歳の男性は原則、出国が禁じられ、対象年齢の男性は軍に動員される可能性があります。

ウクライナ軍の動員の規模について、地元や欧米のメディアはこれまでに100万人以上が軍に動員され、去年は1年間でおよそ20万人が動員されたと伝えています。

一方、動員を逃れるために出国を試みる人はあとを絶ちません。

国境警備隊の報道官は、隣国のハンガリーやルーマニアなどとの国境を流れる川を泳いで渡ろうとしたり、女装したりするなどさまざまな手口があると明らかにしています。

出国の試みの多くは犯罪グループが仲介し、これまでに摘発されたグループの数は760以上だということです。

ウクライナの警察は、動員対象年齢の数百人がこうしたグループの支援を受けて国外へ逃れたとしています。

ロシア軍 23日も無人機で攻撃 “これまでで最多”

ロシアによる軍事侵攻が始まって3年となるのを前にした22日から23日にかけても、ウクライナではロシア軍による攻撃がありました。

ウクライナ空軍は、22日夜から23日朝までの間に行われたロシア軍の攻撃で無人機267機が使われたと発表し、南部オデーサ州の当局は無人機による攻撃で3人がけがをしたと発表しました。

ゼレンスキー大統領は23日、SNSへの投稿で「戦争開始から3年となるのを前に、ロシア軍はこれまでで最も多くの無人機による攻撃を行った」と非難しました。

 

≪ウクライナ侵攻3年 これまでの戦況は≫

 【2022年】ロシア軍侵攻始まる ウクライナ軍が抵抗

ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まったのは、3年前の2022年2月24日。

プーチン大統領は、ウクライナ東部のロシア系住民の保護やウクライナの「非軍事化」「中立化」を掲げて「特別軍事作戦」を行うと宣言しました。

ロシア軍は当初、北部、東部、南部から部隊を進め、侵攻開始から2週間後には首都キーウの中心部からおよそ15キロまで迫りました。

これに対し、ウクライナ軍は、欧米から供与された兵器で抵抗し、ロシア軍はキーウの早期掌握を断念。北部から撤収しました。

その後、ロシア軍は、東部に兵力を集中させ、ハルキウ州の集落を相次いで掌握しますが、この年の秋までには、ウクライナ軍はハルキウ州のほとんどを奪還しました。

【2023年】ウクライナ軍 反転攻勢も戦闘こう着

一進一退の攻防が続く中、2023年6月、ウクライナ軍は、領土奪還を目指し、東部ドネツク州や南部ザポリージャ州で「反転攻勢」を開始。

ドイツ製の戦車レオパルト2など欧米から供与された戦車や歩兵戦闘車を投入しました。

しかし、ロシア軍が支配地域に地雷原やざんごうなどを組み合わせた強固な防衛線を幾重にも築いたことで戦闘はこう着。

砲弾や兵力不足に悩まされたウクライナ軍の反転攻勢は成果を上げることはできませんでした。

【2024年】ウクライナ軍が越境攻撃 北朝鮮軍 派兵

【ウクライナ軍の越境攻撃

反転攻勢の失敗が伝えられる中、ゼレンスキー大統領は2024年2月、ロシア軍の侵攻を食い止めてきたとされ、国民の間で人気が高かったザルジニー総司令官を解任。新しい総司令官に陸軍のシルスキー司令官を任命しました。

戦闘の長期化でウクライナ社会に閉塞感も漂う中、8月、ウクライナ軍は、ロシア西部クルスク州への越境攻撃に踏み切ります。

ロシアが他国の正規軍の侵入を許すのは、第2次世界大戦後、初めてです。

この越境攻撃について、ゼレンスキー大統領は、ロシアによる侵攻を終わらせるための計画の一部だと説明していて、今後の交渉を見すえ、ロシアが占領した地域と領土の交換を行いたいとの意向も示しています。

ウクライナ軍がクルスク州で掌握した面積は8月下旬の時点で東京23区のおよそ2倍、およそ1300平方キロメートルにのぼるとしています。

【北朝鮮が派兵 クルスク州に投入】

ウクライナ軍によるクルスク州への越境攻撃が続くなか、10月には北朝鮮がロシアに部隊を派遣したことが明らかになりました。

ゼレンスキー大統領は、派遣された北朝鮮の兵士はおよそ1万1000人だと明らかにしました。

北朝鮮の兵士は12月からクルスク州での戦闘に投入されていると見られていますが、言葉の壁を背景にしたロシア軍との連携不足も指摘され、これまでに3000人以上が死傷したと推計されています。

一方、この年、ウクライナ東部では、ロシア軍が攻勢を強めました。

10月、ロシア軍はドネツク州の要衝、ポクロウシクの南にあるブフレダルを掌握しました。

ウクライナのメディア「ミリタルヌイ」は、ウクライナはドネツク州やハルキウ州でロシア軍に相次いで集落を掌握され、2024年の1年間で日本の奈良県とほぼ同じ面積の3600平方キロメートル以上の領土を失ったと見られると伝えました。

【ミサイル攻撃の応酬続く】

ただロシア軍は、占領した地域と引き換えに多大な人的損失を出していると見られていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍は2024年の1年間で42万人以上の死傷者を出したと分析しています。

このほか11月には、ロシアとウクライナのミサイルを使った攻防が激しさを増しました。ロシア国防省は、ウクライナと国境を接するロシア西部ブリャンスク州でアメリカ製の射程の長いミサイルATACMSによる攻撃を受けたと明らかにしました。

当時のアメリカのバイデン政権は、戦闘の激化を恐れてATACMSをロシア領内への攻撃に使用することを許可してきませんでしたが、北朝鮮の参戦などを踏まえ、使用を許可したものと見られています。

これに対しロシアは、ミサイル攻撃の報復だとして、ウクライナ東部の工業都市ドニプロを核兵器も搭載できる新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」で攻撃しました。

【2025年】ロシア軍が攻勢 ウクライナ軍は後退

2025年に入り、ロシア軍は、ウクライナ東部での攻勢を引き続き、強めていてウクライナ軍はじりじりと後退を余儀なくされています。

今月、ロシア国防省は、ドネツク州の都市コスチャンチニウカの南東にあるトレツクを掌握したと発表しました。

ロシア軍は今後、コスチャンチニウカやウクライナ軍の輸送拠点、ポクロウシクの掌握を狙うと見られています。

西側各国のウクライナ支援は総額42兆円余

 この3年間、西側諸国はウクライナに対し支援を続けてきましたが、最大の支援国アメリカでトランプ政権が誕生したことで、支援の先行きに不透明感が漂っています。

ドイツの「キール世界経済研究所」は今月、各国がこれまで表明した去年12月末までの軍事支援や人道支援などの総額をまとめました。

それによりますと、支援の総額は2670億ユーロ、日本円にして42兆円あまりだということです。

このうち軍事支援は半分近くを占める49%の1300億ユーロ、およそ20兆5400億円、次に金融支援が44%の1180億ユーロ、およそ18兆6400億円、人道支援は7%で190億ユーロ、およそ3兆円だとしています。

【アメリカの支援額が全体の40%】

国別の支援状況では、
▽支援額が最も多いのはアメリカで1141億ユーロ、およそ18兆円に上り
▽続いてドイツが172億ユーロで2兆7000億円あまり
▽イギリスが148億ユーロでおよそ2兆3400億円
▽日本が105億ユーロでおよそ1兆6600億円だということです。

アメリカは1か国で、全体の40%あまりを占めています。

【経済規模との比較ではバルト三国や北欧】

一方、支援額が各国のGDP=国内総生産に占める割合で見ると、
▽エストニアとデンマークがおよそ2.5%
▽リトアニアとラトビアはおよそ2%となるのに対し、
▽アメリカやイギリスは0.5%あまりにとどまっています。

各国の経済規模との比較からは、ロシアと地理的に近いバルト三国や北欧が支援のためにより多くの負担をしていることがうかがえます。

ロシアへの経済制裁とロシア経済

【西側の対ロシア制裁は2万1000件余】

西側諸国は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、ハイテク製品の輸出禁止や国際的な決済ネットワークからの排除、資産の凍結、さらにロシア産原油の国際的な取り引きに上限価格を設定する制裁などを科し、日本や欧米の企業がロシアから相次いで撤退しました。

各国の制裁についてまとめているアメリカの専門サイトによりますと、日本やアメリカなど西側諸国は、2022年2月の侵攻開始以降、ロシアに対し2万1000件あまりの制裁を科しました。

【ロシア経済は原油輸出で回復】

しかしIMF=国際通貨基金によりますと、ロシア経済は侵攻を始めた2022年はGDP=国内総生産の実質の伸び率はマイナス1.2%と落ち込んだものの、2023年は3.6%となり、2024年は3.8%と予測されるなど、回復しています。

これまでロシア経済が堅調だった理由の1つが、主な収入源である原油の輸出が続いたことです。ロシアは「BRICS」で協調するインドや中国に低価格で輸出しているとされ、ロイター通信は去年7月の1か月間でロシア産原油を最も輸入した国はインドだったと伝えました。インドはその後も輸入を増やし続けていると伝えています。

また、ロシアは制裁を回避して原油を運ぶ「影の船団」を組織していると指摘され、先月には、アメリカの当時のバイデン政権がタンカーなど183隻に対し制裁を科すと発表しましたが、制裁と制裁逃れは、「いたちごっこ」の状況が続いています。

【ロシア国内はインフレ 経済は減速】

一方で、兵士の確保に伴う人件費の高騰や経済制裁などによる輸入コストの増加で、インフレに歯止めがかかっていません。

インフレを抑制しようとロシアの中央銀行は、2023年7月時点で7.5%だった政策金利を段階的に引き上げていて、2024年10月には19%から21%に引き上げました。

中央銀行は今月の会合で金利を21%に据え置くことを決めましたが、国営企業からは運転資金が調達できず、倒産につながるなどという声も上がっています。

こうした状況を受けIMFは、今後のロシアのGDPの伸び率について、ことしは1.4%、来年は1.2%と予測していて、ロシア経済は減速が見込まれています。

≪世界の防衛費 エネルギー価格に大きな影響≫

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、世界の防衛費の増加につながったほか、エネルギー価格などに大きな影響を与えました。

世界の防衛費 過去最高に

イギリスのシンクタンクIISS=国際戦略研究所が今月12日に発表した、世界各国の軍事力や地域情勢を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス」によりますと、去年の世界全体の防衛費は前の年より7.4%増えて2兆4600億ドル、日本円にしておよそ370兆円と過去最高に上りました。

このうち軍事侵攻を続けるロシアの脅威を前にヨーロッパでは多くの国が前の年に比べて防衛費を増やし、ドイツが23%余り増やしたほか、スウェーデンや、ロシアと国境を接するバルト三国のエストニアとラトビアなども20%以上増やしました。

原油 LNG 天然ガス 侵攻直後に高騰

原油価格は、ウクライナ侵攻が始まった直後の2022年3月、西側諸国による制裁などで世界有数の産油国ロシアからの原油が減少する懸念から、国際的な原油取り引きの指標となるWTIの先物価格が1バレル=130ドルを超え、13年8か月ぶりの高水準となりました。

その後は需給が安定するにつれ価格が下がり、2023年から去年にかけては1バレル=70ドルを切ることもありました。

JOGMEC=エネルギー・金属鉱物資源機構によりますと、現在は1バレル=70ドル台前後の水準で推移しているということです。

一方、天然ガスとLNGの価格も侵攻後に高騰しました。

LNGは、ヨーロッパ各国がロシア産天然ガスの代わりとして輸入を急激に増やしたことなどからLNGの取り引きで日本が指標とする、JKM=ジャパン・コリア・マーカーと呼ばれる価格が取り引きで使われる熱量の単位を表す100万BTUあたりで80ドルを上回り、過去最高値をつけました。

天然ガスも、ロシアからドイツやポーランドなどのヨーロッパ各国へのパイプラインでの供給が減少したことなどから、ヨーロッパ市場で天然ガスの取り引きの指標となる「オランダTTF」と呼ばれる先物価格の終値が、2022年8月、100万BTUあたりで100ドル近くまで値上がり、過去最高値となりました。

その後、ヨーロッパ各国がガスの貯蔵量を増やしたことで天然ガス・LNGともに価格は落ち着きましたが、コロナ禍前の2019年と去年の年間の平均価格を比べると2倍あまり高くなっているということです。

エネルギー価格の今後の見通しについてJOGMECの担当者は「ウクライナとロシアの停戦に向けて協議が進めば、西側諸国などによるロシアに対する制裁の緩和につながる見方がある。その場合、価格を大きく押し下げる要因になる可能性がある」としています。

食料価格指数 侵攻直後は過去最高に

ロシアとウクライナは世界有数の穀物の輸出大国です。

FAO=国連食糧農業機関によりますと、2021年の小麦の輸出量は、ロシアが世界で1位、ウクライナが5位でした。

このため、侵攻直後には供給が滞ることへの懸念から価格が上昇し、FAOが毎月出している「食料価格指数」は2022年3月に過去最も高い160.2となり、特に穀物の指数は2022年の3月と5月に170を超えました。

その後は落ちつき、先月の食料価格指数は124.9と侵攻前の水準に戻っています。

ただ、ウクライナでは多くの農地や農業施設が被害を受け、復興に向けた支援が課題となっています。

≪軍事侵攻に対するロシア ウクライナ両国の世論は≫

ウクライナ “和平達成なら領土放棄も”が38%に

ウクライナ国内で行われている最新の世論調査では、侵攻を続けるロシアに対して「いかなる状況でも領土を放棄すべきではない」と答えた人が51%で過半数となりましたが、この1年でみると23ポイント下がりました。

この調査はウクライナの調査会社「キーウ国際社会学研究所」が2022年5月から行っていて、去年(2024年)12月までにあわせて12回実施されています。

この1年でみると、ロシアに対して「いかなる状況でも領土を放棄すべきではない」と答えた人は、去年の2月が65%、5月が55%、10月が58%、12月が51%となり、過半数を維持していますが減少傾向となっていて、12月の最新の調査では、おととし12月と比べて23ポイント下がりました。

一方「できるだけ早く和平を達成し独立を維持するため領土の一部を放棄してもいい」と回答した人は、去年の2月が26%、5月が32%、10月が32%、12月が38%となっていて、徐々に増えています。

また、去年6月と12月の調査では、戦争の終結に向けた3つのシナリオも提示し考えを尋ねています。

このうち6月の調査では、「ロシアが東部2州やクリミアの占領を続けるものの、ウクライナが南部2州の支配権を取り戻し、NATO=北大西洋条約機構などにも加盟する」というシナリオについて受け入れ可能だとする人が最も多く、57%でした。

また、12月の最新の調査では「ロシアが東部2州と南部2州や、クリミアの占領を続けるものの、ウクライナがNATOなどにも加盟する」というシナリオについて受け入れ可能だとする人が最も多く64%となり、6月よりも17ポイント増加しました。

調査結果からは、仮に領土を譲歩するにしてもNATOへの加盟など、ロシアが再び侵攻する事態を防ぐための安全保障を求める声が強いことがわかりました。

ロシア “和平交渉の開始”望む人が60%超に

ロシアでは独立系の世論調査機関「レバダセンター」が毎月、ロシア国内の1600人あまりを対象に対面形式で調査を行っています。

それによりますと、ロシアが「特別軍事作戦」とするウクライナへの軍事侵攻について「支持する」と答えた人は、この1年70%台で推移し、依然として高い支持率を維持していることが分かりました。

このうち先月の最新の調査では、「和平交渉の開始」と答えた人が61%で、これまでで最も高くなりました。
国連事務総長 “ウクライナの領土保全を維持した和平必要”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から24日で3年となるのに合わせて、国連のグテーレス事務総長は「ウクライナの主権と独立、そして国際的に認められた国境での領土の保全を完全に維持し、公正で持続可能かつ包括的な和平が緊急に必要だ」とする声明を発表しました。

また「ウクライナでの戦争はヨーロッパの平和と安全だけでなく国連の基盤と中核的な原則そのものに対する重大な脅威だ」と位置づけ、公正で包括的な和平の実現に向けたあらゆる努力を国連は支援する用意があるとしています。


失敗の本質  戦場のリーダーシップ篇 

2025年02月25日 10時03分13秒 | 社会・文化・政治・経済

野中郁次郎 (編集, 著)

率先垂範の精神を欠くリーダー、硬直化した官僚的組織、プロフェッショナリズムの誤解――かつての日本軍と同じように、日本の企業や政府は、いま「失敗の拡大再生産」のスパイラルに陥ってしまっている。最大の問題は、傑出したリーダーが出現しないことだ。

著者について

野中郁次郎/一橋大学名誉教授
杉之尾宜生/元防衛大学校教授
戸部良一/国際日本文化研究センター教授
山内昌之/明治大学特任教授
菊澤研宗/慶應大学商学部教授
河野仁/防衛大学校教授
土居征夫/学校法人城西大学特任教授
 
 

 昭和・明治・アメリカの思想・教育の比較検討が必要ではないか

指揮官に焦点を当て、なぜ昭和期の日本軍はあれほどまずい戦い方をしたのかを検討したもの。

簡潔で読みやすい。本書によれば、理想のリーダーは現場感覚と大局的な判断力を兼ね備えた「実践知」の持ち主であるが、太平洋戦争時の日本ではそのような人物は活躍できなかった。

反対に、敵方のアメリカのリーダーが現場の実情に合わせた的確なリーダーシップを発揮し(野中郁次郎「戦場のリーダーシップ」本書第1章)、実力不十分な指揮官を解任するなど、人事面でも的確だった(山之内昌之「山口多聞」本書第9章)。

 昭和期の軍人は日本全体の利益を考える大局的な視点に欠けていた。

陸海の軍人は組織的な利益を優先し続け、アメリカとの戦争回避という大局的にみれば当然な選択ができなかった(戸部良一「昭和期陸軍の病理―プロフェッショナリズムの暴走」本書第4章)。

日米開戦の4カ月前に軍人と多くの文官が参加して日米戦のシミュレーションを行い、「日本必敗」の結論が出ていながら、政治・外交の意思決定には反映されなかった(土井征夫「総合国策の研究と次世代リーダーの養成-「総力戦研究所」とは何だったのか」本書第5章)。

 陸軍では、トップリーダーではなく中級の将校が意思決定の実験を握っており、満州事変やノモンハン事件などで、現場の指揮官が中央の指示を無視して暴走し、トップリーダーがそれを追認することが繰り返された(戸部「プロフェッショナリズムの暴走」)。

中堅将校がこのような行動に出た背景には、戦争に必要な資源を確保して総力戦体制を確立する、という軍事的な目的があり(同)、狭い意味では合理性があったが、このような行為の積み重ねが英米の警戒心を刺激し、対米開戦につながった。

 また、日本軍は実践から学んで行動を修正することができなかった。

海軍では試験の成績で昇進を決める「ハンモック・ナンバー」制度が取られ、有能な指揮官がトップに立つことができなかった(山之内「山口多聞」)。

陸軍では、ノモンハンでの敗戦の責任者である辻政信がその後順調に出世するなど、適切な人事評価がされているとは到底言えない状態だった(山之内昌之「辻政信」本書第8章)。

 本書の考察からは、明治の時代と比較して、昭和の時代のリーダーはなぜこうも小粒になるのか、という疑問が改めて浮かびあがる。

政策の責任者が実質不在、という明治憲法の構造的欠陥や(森山優『日本はなぜ開戦に踏み切ったのか』2012年)、植民地化される可能性の排除や欧米と対等の近代国家の確立といった明確な政治目標の存在等、外部的な理由も考えられるが、それだけでは昭和期の軍人が示した極端なセクショナリズムや硬直的で教条主義的な行動は説明できないように思われる。

 可能性の一つとして、明治以降の思想や教育が考えられないだろうか。

つまり、明治以降の教育が悪かったために指導者層の矮小化が進んだ、という考えである。

日露戦争時(1904~1905年)の日本のリーダーと太平洋戦争時のアメリカ軍のリーダーに共通し、昭和の軍人にはない経験・思想を考察することが、今後の考察の一つの鍵になるように思われる。

失敗の本質本体を読めば十分かな、、、。

失敗の本質をリーダーシップの観点で見直したものという建て付けではあるものの、期待していたのが、企業でのリーダーシップだっただけに、軍隊で活躍した人の経緯が前面に出ている感じがして、途中なかなか読み進められなくなった。
失敗の本質は、かなり昔の本ではあるものの、それをしっかり読み込めば十分だと思う。

戦前の日本軍隊の失敗、科学に背を向けて突撃一本槍の姿は、安倍晋三、管政権の態度そのもので戦慄を覚えます。

全て気に入ってます。日本国民20%位の人がこれを読めば、日本国もデフレを脱却できて、米中を猛追できるのにと思います。


過去の成功体験を捨てきれない

現状でも現場の有りのままを見据えないで行動をしてしまう。
方針が各組織に於いてバラバラで一つの方向性で行動していない。
会社でも、経営理念、企業理念、経営方針、経営目標を定めてないと行動するベクトルが
同一方向にならない。

 

教訓

第二次世界大戦の教訓から現代の対応がよく分かる点が非常に良いです。

 

結果で語られるしかない

勝てば官軍、負ければ賊軍と。そもそも国民国家で戦場に行かないと行けなくなった時点で超一流の人物ではない。残念ながら。
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失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶの

2025年02月25日 09時44分55秒 | 社会・文化・政治・経済

『失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶのか

野中郁次郎 (著), 前田裕之 (その他) 

『失敗の本質』は、日本が第2次世界大戦で敗戦を喫した原因を解明し、教訓を引き出した著作で、長く読み継がれている名著です。

新型コロナウイルスの感染爆発、環境破壊や自然災害の拡大、世界各地での軍事的な緊張の高まりなど、「安心・安全」とはほど遠い世界の中で、日本政府や企業は国難に十分に対応できているでしょうか。

同書が浮き彫りにした日本軍の構造的欠陥は、残念ながら、現代日本の様々な組織の中にも見受けられます。

同書は日本軍の敗因分析から様々な教訓を引き出し、勝てる組織になるための方法を提言していますが、なお実行できていない組織が多いのが現実です。

今こそ、同書を読み直し、混乱の時代を乗り切る知恵を吸収するときではないでしょうか。
 そこで、著者の一人で、完成に至るまでのプロセスを主導した野中郁次郎・一橋大学名誉教授に同書誕生の背景や、その後の戦史に関わる研究の軌跡について語ってもらったのが本書です。
 野中氏の研究は「知識創造理論」と戦史に関わる研究の2本柱からなります。

本来は親和性が高いはずの経営理論研究と戦史に関わる研究ですが、日本では敗戦の反動から両者を隔てる壁は巨大なものがあり、戦争を研究すること自体がタブーでした。

戦史の科学的な分析とはほど遠いのが、『失敗の本質』誕生前夜の日本だったのです。

『失敗の本質』は予想以上の長寿作品となり、野中氏の業績の代表作ですが、野中氏自身が戦史に関わる研究について語る機会はありませんでした。

しかし、2019年9月に日経新聞に連載された「私の履歴書」では『失敗の本質』について2回にわたって述べ、その誕生の背景などについて読者の反響も大きいものがありました。

「日本企業が競争力を失ったのは、人間の野性味から出る創造性や実践的な知恵を大事にになくなったから」

「イノベーションは科学技術によってではなく、人間によってもたらされる」

野中 郁次郎
一橋大学名誉教授
1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、富士電機製造勤務を経て、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D取得。著書に『失敗の本質』『戦略の本質』『国家戦略の本質』『知略の本質』(いずれも共著)『市場と組織』『知識創造の経営』『知識創造企業』『ワイズカンパニー』など。

前田 裕之
学習院大学客員研究員、川村学園女子大学非常勤講師、文筆家
1986年日本経済新聞社入社。大阪経済部、東京経済部、大阪経済部金融担当キャップ、経済解説部編集委員などを経て現職。

 

戦中、戦後を経験した者にはよくわかる

失敗は繰り返しではならない。
政治家、経営者は一度振り返ってみてはどうだろう。
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系統だてて理解できる

大変勉強になりました
歴史に学ぶ

勉強になります


経営学の変遷が分かる

野中氏の学者になった経緯が興味深かった。また氏の研究に対する姿勢、研究のアプローチ、研究の纏め方、共同研究の留意点など、本書の狙い以上にいろいろと気づかされた。

本書のテーマもさることながら、経営学の流れ、背景、意味合いなど丁寧に触れてあり、経営学を学ぶ人、学び直す人に多いに参考になる。本書で紹介されている書籍については、改めて手にした方が理解の整理に役立ちかと。

 

野中氏戦略論の変遷、必見は自己変革組織・海兵隊

本書では、日本軍の負け方について、そのアンチテーゼとしての米軍の強さに学び、そこから「知識創造」という企業経営論、さらには国家指導者論までを語る。まさに野中氏戦略論の変遷で、過去の成功へ過剰適応して自己革新できない我々日本人としては考えさせられてしまう。

「失敗の本質」ではミッドウェー、ガダルカナル、インパールとつづく日本軍の負け方を研究している。日本軍は、戦力逐次投入や曖昧な目的、統合作戦欠如で必然的に負けたわけだ。そこから見えてきたのが、米軍の水陸両用戦という戦い方であり、海兵隊という組織の強さだった。

この海兵隊こそが野中氏の研究の転機だったのではないか。活躍しても不要との烙印を押されかけ、それでも自己変革し続けた海兵隊。実戦と訓練で培った直観で、ガダルカナル、深圳上陸と成果を出しつづけた最強組織。その中核技能が「ライフルマン」というのも痺れる。

本書には、暗黙知と実践としての「フロシネス」といった含蓄のある言葉が並ぶし、国家指導者としてのリーダーシップ論にも感銘を受ける。しかし、典型的な日本人サラリーマンの自分にとって、直観的に響くのが自己変革組織・海兵隊の歴史となる。実は、野中氏の最高傑作は「アメリカ海兵隊-非営利組織の自己革新」ではないかと思う。

 著書「失敗の本質」の解説本

アジャイル開発の本で野中先生を知りこちらを購入しました。「失敗」の「本質」について詳しく語る本かと思いきや、先生の著書「失敗の本質」ならびにその後の「戦略の本質」などいわば本質シリーズの著書群がいかにして書かれたかと、それらのエッセンスの紹介といった趣です。
ためにはなったのですが、途中で解説なのか野中先生のコメントなのか迷う構成なのと、論文や学者の紹介がやや分かりづらかったので★1つマイナスです。