失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶの

2025年02月25日 09時44分55秒 | 社会・文化・政治・経済

『失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶのか

野中郁次郎 (著), 前田裕之 (その他) 

『失敗の本質』は、日本が第2次世界大戦で敗戦を喫した原因を解明し、教訓を引き出した著作で、長く読み継がれている名著です。

新型コロナウイルスの感染爆発、環境破壊や自然災害の拡大、世界各地での軍事的な緊張の高まりなど、「安心・安全」とはほど遠い世界の中で、日本政府や企業は国難に十分に対応できているでしょうか。

同書が浮き彫りにした日本軍の構造的欠陥は、残念ながら、現代日本の様々な組織の中にも見受けられます。

同書は日本軍の敗因分析から様々な教訓を引き出し、勝てる組織になるための方法を提言していますが、なお実行できていない組織が多いのが現実です。

今こそ、同書を読み直し、混乱の時代を乗り切る知恵を吸収するときではないでしょうか。
 そこで、著者の一人で、完成に至るまでのプロセスを主導した野中郁次郎・一橋大学名誉教授に同書誕生の背景や、その後の戦史に関わる研究の軌跡について語ってもらったのが本書です。
 野中氏の研究は「知識創造理論」と戦史に関わる研究の2本柱からなります。

本来は親和性が高いはずの経営理論研究と戦史に関わる研究ですが、日本では敗戦の反動から両者を隔てる壁は巨大なものがあり、戦争を研究すること自体がタブーでした。

戦史の科学的な分析とはほど遠いのが、『失敗の本質』誕生前夜の日本だったのです。

『失敗の本質』は予想以上の長寿作品となり、野中氏の業績の代表作ですが、野中氏自身が戦史に関わる研究について語る機会はありませんでした。

しかし、2019年9月に日経新聞に連載された「私の履歴書」では『失敗の本質』について2回にわたって述べ、その誕生の背景などについて読者の反響も大きいものがありました。

「日本企業が競争力を失ったのは、人間の野性味から出る創造性や実践的な知恵を大事にになくなったから」

「イノベーションは科学技術によってではなく、人間によってもたらされる」

野中 郁次郎
一橋大学名誉教授
1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、富士電機製造勤務を経て、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D取得。著書に『失敗の本質』『戦略の本質』『国家戦略の本質』『知略の本質』(いずれも共著)『市場と組織』『知識創造の経営』『知識創造企業』『ワイズカンパニー』など。

前田 裕之
学習院大学客員研究員、川村学園女子大学非常勤講師、文筆家
1986年日本経済新聞社入社。大阪経済部、東京経済部、大阪経済部金融担当キャップ、経済解説部編集委員などを経て現職。

 

戦中、戦後を経験した者にはよくわかる

失敗は繰り返しではならない。
政治家、経営者は一度振り返ってみてはどうだろう。
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系統だてて理解できる

大変勉強になりました
歴史に学ぶ

勉強になります


経営学の変遷が分かる

野中氏の学者になった経緯が興味深かった。また氏の研究に対する姿勢、研究のアプローチ、研究の纏め方、共同研究の留意点など、本書の狙い以上にいろいろと気づかされた。

本書のテーマもさることながら、経営学の流れ、背景、意味合いなど丁寧に触れてあり、経営学を学ぶ人、学び直す人に多いに参考になる。本書で紹介されている書籍については、改めて手にした方が理解の整理に役立ちかと。

 

野中氏戦略論の変遷、必見は自己変革組織・海兵隊

本書では、日本軍の負け方について、そのアンチテーゼとしての米軍の強さに学び、そこから「知識創造」という企業経営論、さらには国家指導者論までを語る。まさに野中氏戦略論の変遷で、過去の成功へ過剰適応して自己革新できない我々日本人としては考えさせられてしまう。

「失敗の本質」ではミッドウェー、ガダルカナル、インパールとつづく日本軍の負け方を研究している。日本軍は、戦力逐次投入や曖昧な目的、統合作戦欠如で必然的に負けたわけだ。そこから見えてきたのが、米軍の水陸両用戦という戦い方であり、海兵隊という組織の強さだった。

この海兵隊こそが野中氏の研究の転機だったのではないか。活躍しても不要との烙印を押されかけ、それでも自己変革し続けた海兵隊。実戦と訓練で培った直観で、ガダルカナル、深圳上陸と成果を出しつづけた最強組織。その中核技能が「ライフルマン」というのも痺れる。

本書には、暗黙知と実践としての「フロシネス」といった含蓄のある言葉が並ぶし、国家指導者としてのリーダーシップ論にも感銘を受ける。しかし、典型的な日本人サラリーマンの自分にとって、直観的に響くのが自己変革組織・海兵隊の歴史となる。実は、野中氏の最高傑作は「アメリカ海兵隊-非営利組織の自己革新」ではないかと思う。

 著書「失敗の本質」の解説本

アジャイル開発の本で野中先生を知りこちらを購入しました。「失敗」の「本質」について詳しく語る本かと思いきや、先生の著書「失敗の本質」ならびにその後の「戦略の本質」などいわば本質シリーズの著書群がいかにして書かれたかと、それらのエッセンスの紹介といった趣です。
ためにはなったのですが、途中で解説なのか野中先生のコメントなのか迷う構成なのと、論文や学者の紹介がやや分かりづらかったので★1つマイナスです。


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