【フジテレビ10時間会見】「報道のヤツら、何様?」という反感を視聴者に与えたダメージは大きい
中居正広氏の女性トラブルに端を発するフジテレビ批判。1月27日に同社が開いた記者会見は10時間超えという異例の展開となり、メディアやジャーナリストのあり方にもさまざまな意見が出ている。過去にメディアが世間から激しい批判を浴びた事例として、1996年に起きたいわゆる「オウムビデオ問題」があった。TBSが「未放映インタビュー」をオウム真理教の幹部に見せたことが明らかとなり、それが教団を追及していた弁護士一家殺害の一因と指摘された問題だ。当時、TBSでキャスターを務め、現在はメディアリテラシーの訪問授業や企業研修に注力している下村健一氏は今回のフジテレビ問題をどうみているのか。前後編に分けてお届けする。(JBpress)
(下村 健一:元TBSキャスター、白鴎大学特任教授)
週刊文春の訂正は、些細かトンデモか
中居正広氏の「女性とのトラブル問題」は、「フジテレビ問題」から「メディア問題」へと延焼範囲を広げている。日々様相が変わる中、現時点ではやはり28日の週刊文春の訂正問題から考えたい。
事件当日の会食に被害者のX子さんを誘ったのは、文春第一報の「フジ編成幹部A氏」ではなく「中居氏」自身でした? 少なくとも私は、これを聞いた瞬間、全力で脱力した。
実際のところ、今や問題はその日以前の慣行や以後の対応という部分にまで拡大しているから、この特定の日のA氏の関与が誤報であっても「フジテレビ問題」が小さくなるわけでは全くない。だから、フジ追及の失速を恐れる人はこの誤報を「大したミスではない」と説くし、逆に文春の勢いを削ぎたい人は「これは世紀の大誤報だ」と唱える。
その狭間で私は、「当事者間の問題」が「フジテレビ問題」に拡大した“初めの一歩”が間違っていたんだから、(二歩目以降の正誤がどうあれ)これはやっぱりひどい誤報だよな、と思わざるを得ない。
当然文春側は、この件をなんとか「大した過ちではない」と装おうとしている。インパクトの重大さがわかっていないのではなく、わかっているからこそ、過ちを認める「訂正」を避けてシレッと続報の「上書き」で済ませようとした。
文春自身が指弾しているフジテレビ同様に身内を庇っていないで、同誌は編集長が記者会見し、なぜこのような誤報が起きてしまったのか、どう再発を防ぐのかを(10時間でなくて良いから)説明しなければ、読者の信頼も、続報の迫力も褪せてしまうのではないか。
特に、性的トラブルのような詳細を伏せざるを得ない出来事を報じる場合、読者には様々な憶測を招きやすい。伝聞情報を確定情報かのように書いて煽ることは、厳に慎まねばならない。
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