古川 薫 (著)
開塾にあたって松陰は「天下を奮発震動」させる人材が輩出すると予言した。
松下村塾――それはわずか一年余の指導で、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文らの俊才を生み出した幕末の奇跡である。
物置小屋を改造した粗末な塾舎では何があり、二十八歳の青年は塾生たちに何を教えたのか。塾の成立から閉鎖までを徹底検証、松陰の感化力と謎の私塾の全貌。(講談社学術文庫)
開塾にあたって松陰は「天下を奮発震動」させる人材が輩出すると予言した。
開塾にあたって松陰は「天下を奮発震動」させる人材が輩出すると予言した。
松下村塾――それはわずか一年余の指導で、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文らの俊才を生み出した幕末の奇跡である。
物置小屋を改造した粗末な塾舎では何があり、二十八歳の青年は塾生たちに何を教えたのか。塾の成立から閉鎖までを徹底検証、松陰の感化力と謎の私塾の全貌。
「華夷の弁」という教育理念。
自分の生まれた土地の劣等感を抱く必要はない。
その場で励めば、そこが「華」である。
当時は寒村に漂う劣等感を克服すよの決意。
村から必ず傑出した人物を輩出して見せる―この一念で明治維新の志士たちを育んだ。
著者について
1925年,山口県下関市生まれ。山口大学教育学部卒業。
教員を経て、山口新聞に入社。
編集局長を務め、文筆活動に入る。
1993年に『漂泊者のアリア』で第104回直木賞受賞。
著書に『幕末・維新の群像 吉田松陰』『吉田松陰 留魂録』『松下村塾と吉田松陰』『高杉晋作』『山口県謎解き散歩』『十三人の修羅』『暗殺の森』『正午位置』『幻のザビーネ』ほか多数。
吉田松陰の活動の軸である”松下村塾”を中心に書かれている。松陰を好意的にあっさりと、少ないページ数でまとめているので松陰について考える上で入門書として最適な一冊だと感じた。
なぜあんなに短命な私塾だったのか、なぜあんなに傑物を輩出したのかがわかりました。
カリキュラムがないから学ぶべきことに直線的に向かえたのですね。
実に面白いです。
カリキュラムがないから学ぶべきことに直線的に向かえたのですね。
実に面白いです。
吉田松陰の生き様と、彼の門下生、松下村塾で何が行われたかが活き活きと伝わる。当時の書簡の写真なども織り交ぜられ、当時の迫力が感じられる。
氏の本はこれまで何冊か読んでいるが、どれを読んでもくせのない落ち着いた文体で、親しみが
もてる。今回、この本を手に取ったのは「吉田松陰」より、「松下村塾」について知りたかったからだ
が、その願いに十分こたえてくれている。
松下村塾はいわゆる「エリート塾」ではない。大坂の適塾や豊後日田の咸宜園のように全国各地
から秀才が集まり、学力を競い合うのではなく、長州の片田舎でさまざまな身分の者が集い合う自
由な学び舎だった。
が、その願いに十分こたえてくれている。
松下村塾はいわゆる「エリート塾」ではない。大坂の適塾や豊後日田の咸宜園のように全国各地
から秀才が集まり、学力を競い合うのではなく、長州の片田舎でさまざまな身分の者が集い合う自
由な学び舎だった。
しかも、教育期間はわずか一年であり、にも関わらず、維新の功労者を次々と
生み出した。
生み出した。
氏は、その秘密を松陰の「感化力」だと言うが、その「感化力」の秘密とは何だろう?
私は、松陰が塾生一人一人を「人間」と見たことによると思う。
「学は、人たる所以を学ぶなり」と松陰は考えていたらしいが、藩校や他の私塾が「人間」を手段に
「学問」を目的としていたのに対し、松下村塾は「学問」を手段に「人間」を目的としていたのだろう。
実際、講義や個人指導だけでなく、共に額に汗して働き、語り合うという書物としての学問を踏み越え
た接し方をしていたことが、本からうかがえる。
私は、松陰が塾生一人一人を「人間」と見たことによると思う。
「学は、人たる所以を学ぶなり」と松陰は考えていたらしいが、藩校や他の私塾が「人間」を手段に
「学問」を目的としていたのに対し、松下村塾は「学問」を手段に「人間」を目的としていたのだろう。
実際、講義や個人指導だけでなく、共に額に汗して働き、語り合うという書物としての学問を踏み越え
た接し方をしていたことが、本からうかがえる。
「至誠にして動かざる者未だあらざるなり」をモットーに、
それぞれの個性に合った関わり方をされれば、誰だってやる気になり、成長するだろう。これが、維新
へつながる人材を育てた原動力だったのではないか?
現在、教育界では「道徳」を正式科目化する動きがある。が、そんなことより、教師一人一人が生徒
一人一人を「人間」として見る目を養う方がずっと効果的だろう。
それぞれの個性に合った関わり方をされれば、誰だってやる気になり、成長するだろう。これが、維新
へつながる人材を育てた原動力だったのではないか?
現在、教育界では「道徳」を正式科目化する動きがある。が、そんなことより、教師一人一人が生徒
一人一人を「人間」として見る目を養う方がずっと効果的だろう。
日本史の教科書に記載されている程度の知識はありましたが、吉田松陰とその松下村塾について詳しく知らなかった為、NHK大河ドラマで「花燃ゆ」が取上げられたこともあって、本書を手にしました。
小説ではなく、史実に基づいて、且つ手軽なページ数で理解したいと思ったもので、本書はまさにその希望に沿うものでした。更に、巻末には松下村塾関係人名録もあり、折に触れ、人物を確認する際にもとても便利です。
本書で描き出されている吉田松陰は教育者そのもの、どの様な場所にいても、自ら学び、人に教えたい方だったのだと感じます。
そして、塾生を感化させ、奮い立たせる影響力も大きかったことが分かります。松下村塾で吉田松陰が熱弁を振るったのは、僅か2年数か月のことですが、松陰が処刑された後、塾生は松陰の志を受けて、大きく時代を動かして行きます。
大河ドラマを尚一層楽しみたい方には、お薦めの一冊です。但し、NHKの番組はドラマなので、ところどころ、本書とは違って娯楽性を高めています。
大河ドラマを尚一層楽しみたい方には、お薦めの一冊です。但し、NHKの番組はドラマなので、ところどころ、本書とは違って娯楽性を高めています。
この本のテーマは
『高杉晋作.久坂玄瑞.伊藤博文.山縣有朋など多数の活躍者が育った松下村塾で、 先生だった吉田松蔭は教育者として彼らに何を教えたのか?』
です。
作者の方が主張されている結論が、やや抽象的な印象を受けたことだけは少し残念でしたが、
幕末史に少しでも興味をもった方ならば、一度触れてみたい面白いテーマじゃないでしょうか
幕末史、初心者向けだと思います☆
『高杉晋作.久坂玄瑞.伊藤博文.山縣有朋など多数の活躍者が育った松下村塾で、 先生だった吉田松蔭は教育者として彼らに何を教えたのか?』
です。
作者の方が主張されている結論が、やや抽象的な印象を受けたことだけは少し残念でしたが、
幕末史に少しでも興味をもった方ならば、一度触れてみたい面白いテーマじゃないでしょうか
幕末史、初心者向けだと思います☆
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