みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

コンサートでしゃべりながら

2011-07-02 22:09:31 | Weblog
タイムキープをするのは意外と難しい。
というか、普通そんな芸当ができるのはプロのアナウンサーぐらいなもので私のようなしゃべりの素人がそんなことができる方が本当はおかしいのかもしれないが(笑)、一昨日の東京文化会館でのコンサートは「みつとみ俊郎のレクチュア&コンサート」などという大それた看板があったものだから(誰がつけたんじゃい、こんなタイトル!)きちんと筋道だててしゃべらなければという思いから、あらかじめ頭の中で組み立てていた台本をお客さんの前で突然変更した。
単純に「ああ、ちょっと予定の時間オーバーしたかナ?」と思って、本来話そうと思っていた話題を一つ意図的にすっとばした。
まあ、すっとばしても筋道がちゃんと立つようにはなっていたのだけれども、自分としては話したかった話題なので「あの話をすっとばしたのはちょっとクヤシイ」みたいな感じだったが後から時間見てみると「なんだ、まだ時間あったじゃん、しゃべれば良かった」と思った次第。
まだまだタイムキープ力はイマイチだナと思った。
昔は、ラジオのDJやっていた時もいろいろなTV番組などにゲストに出たりした時もあらかじめディレクターの人に「私のコメントは何分ですか?」と聞けばわりとピッタリその通りの尺でできたのに最近ちょっとそのセンスが鈍ったのか?と若干不安(ハハハ、ホントはそんなにマジには心配していないけれどネ)。

でも、今回のコンサートのハイライトは何と言ってもゲストのヤンチン奏者の金亜軍さん。
別に金さん銀さんの金さんではないけれど、彼のキャラはある意味特別。
リハーサルの最中からフルムスのメンバーもみんな彼の演奏と人柄にハートをすっかり奪われてしまっている。
本番で私はわざと「金さん、日本語上手ですネ」というフリをしたら案の定、その後中国語をまくしたててすっかりお客さんの気をひいてしまう(きっとそう来るだろうと思っての私の呼び水だったのだけれど)。
そんなやり取りが咄嗟にできるのも金さんならでは。
これまでたくさんの中国人アーティストの方たちとつきあってきたけれど、彼のような人は特別、という感じがする。
きっと来日当時はことばの問題やアーティスト活動などで苦労なさったはず。
中国の方で日本で音楽活動をされる方は中国ではかなりのキャリアと実力を持った人たちばかりなのだが、日本ではそれがそのまま認められるわけではない。
日本ではいろんな意味で「メゲる」ことが多かったはずなのに、彼はそんなことは微塵にも出さない。
一生懸命を共演者をたて、支持してくださるファンの方たちをたて、これだけまわりに気を配る中国のアーティストは彼をおいて他にはいないという感じが私にはする。
傲慢とまでは言わないけれど、ちょっとしたプライドと高ビーさが目だつアーティストが多い中で彼のような存在は本当に貴重だ。
そういう意味でも、今回一緒にやらせてもらったフルムスのメンバーも何かを彼から学びとってくれればと願うのだが...。