「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2012・09・22

2012-09-22 07:00:00 | Weblog



今日の「お気に入り」は、佐野洋子さん(1938-2010)のエッセー「死ぬ気まんまん」から。

 「私は今が生涯で一番幸せだと思う。
  七十歳は、死ぬにはちょうど良い年齢である。
  思い残すことは何もない。これだけはやらなければなどという仕事は嫌いだから当然ない。
  幼い子供がいるわけでもない。
  死ぬ時、苦しくないようにホスピスも予約してある。
  家の中がとっちらかっているが、好きにしてくれい。
  あの世などあると思わないが、もしあって親父がいたら、私は親父より二十も年上なので、
  対応に困ると思う。
  すっげえ貧乏をした。私が学んだことは、全て貧乏からだった。
  金持ちは金を自慢するが、貧乏人は貧乏を自慢する。
  みんな自慢しなければ生きていけないんだな。
  夕食の時の訓辞にもう一つあった。
  『一番大事なものは金で買えない』
  私にとって一番大事なものは何だったのだろう。
  『情』というものだったような気がする。」


 (佐野洋子著「死ぬ気まんまん」光文社刊)






  大事なものは只では得られない・・・か。
コメント
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