「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2013・06・29

2013-06-29 14:40:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。

「友人には君の心配事でも考えでも何でも打ち明けるがいい。君が友人を真に信頼しうる者と思う
なら、君は彼をそういう人間にするだろう。
                                    『手紙』3-3」

「憩(やす)んでいる者には行動が、行動している者には休息が、必要だ。
                                    『手紙』3-6」

「野獣は危険が迫るのを見れば逃げだす。危険が去ればもう何の心配もしない。人間だけが未来の
ことや過去のことを思って、我と我が身を苦しめるのです。人間の利点であるものの多くが、逆に
害をなすのです。」

「僕が思うに、彼のこの癖(赤面症)は、たとえ彼が自己を確立し、あらゆる欠点をなくしても、い
や賢者になってもなお、彼についてまわるでしょう。というのは、いかなる叡知によっても、肉体
の、精神の、天性の弱点は克服できないからです。
                                   『手紙』11-1」

「だから一日一日を、その日が日々の連なりの終りの日であり、人生を完了させ充実させる日であ
るかのように、生きるべきなのです。
                                   『手紙』12-8」

「現実に我々を押し潰すものより、恐怖に陥れるだけのものの方が、ルキリウス君、多いのです。
我々はしばしば事実そのものによってよりも、それについての想像に苦しむのです。
                                   『手紙』13-4」

「だから、ルキリウス君、僕の忠告は、事実に先走りして不幸になるな、ということです。君が脅
威として恐怖している物は、ひょっとしたらやって来ないかもしれないし、いずれにしろ現実にま
だやって来ていないのですから。
                                   『手紙』13-4」




(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)

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