高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

ごみと私~ごみと歩んだ13年 第5回:インドへ

2019-12-09 09:00:00 | 連載
香美市香北町 ロータスグラノーラの服部雄一郎です。

第5回:インドへ

アメリカの後は、家族で南インドのチェンナイに行きました。
アメリカでインターンをしていたごみのNGOのインドオフィスで、
半年間の短期プロジェクトの契約スタッフに雇ってもらったのです。
最初の2カ月は家族で次々に病に倒れ、
「無事に日本に帰れるのだろうか?」と弱気になりましたが、
徐々に体が慣れたようで、後半はインドを満喫。
「2年間のアメリカよりも、半年のインドの方が思い出深かった」
と断言できるような貴重な滞在となりました。

発展途上国の多くに共通する問題ですが、インドのごみ事情は壊滅的です。
人口13億人が出すごみを適正に処理できる施設が
国内にまだほぼひとつも存在していないのです。
ごみの一部は自治体が回収しますが、
「持ち込める施設」がないので、そのまま町の外れに野積みするだけ。
文字通りの「ごみの山脈」が累々と続く様は、
もはや現実のものとは思えないほど。
自治体に回収されなかったごみは、
そのまま道に散乱し、川に入り、海に流れ出ます。
まさに惨憺たる状況です。

また、「waste pickers」(=ごみ拾い人)と呼ばれる人が全土にいて、
文字通りごみを拾い、金属やガラスなどの「資源」をより分けて、
資源化業者に売り払うことでギリギリの生計を立てています。
多くは貧しいカーストの人々で、女性や子どもも少なくありません。
ごみの山脈という劣悪な環境に住み、
学校にも行かずにごみを集めて生き永らえる子どもたちの姿は、
インドの紛れもない現実です。

わがNGOは、これら市民からも「蔑まれる」存在のwaste pickersたちを支援し、
「資源物を分別する価値ある労働力」として組合の結成など
地位向上を進めようと取り組んでいました。
日本のごみ問題とはかけ離れた課題を抱えるインド。
ごみ問題はつくづく奥深いです。(つづく)

※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知せ』2019年12月号より転載しました。

管理人記

を翻訳・出版した服部さんによるエッセイです。

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