中学、高校が男子校だったので、大学に入って同じ世代の女の子たちと一緒になったときは結構戸惑った。
多感な時期に男女別学で過ごすというのは、それなりに人格に影響を及ぼすようだ。男子校って、気楽で楽しいのだが、なんだか子供感覚がずっと抜けないというか、がきんちょの延長でずっと過ごせてしまう、というところがある。そのまま大学に行くと、なんだか自分がひどく子供のような気持ちになって、内心萎縮してしまったりする。
そうしたのんびり育ったという経験は、大人になってもどこかにその片鱗を残すようだ。社会人になってから出会った人でも、この人男子校出身かな、と思って聞いてみると、けっこうあたってたりして。前一緒に仕事していたた会社の子も、聞けば女子校出身で、なるほどね、と思ったりした。
ふと思い出すのは、大学に入ったばかりの頃、合宿か何かで、夜みんなでフォークダンスを踊ったことがあった。ちゃんとしたものではなく、もしかしたら偶然誰かが思いついて口三味線か何かでやったのかも知れない。オクラホマミキサとか、マイム・マイムみたいなやつ。小学生の頃以来だから、どうやったのか全然覚えいてないが、すごく照れくさいのととてもわくわくして楽しいのがごちゃ混ぜになりながら、夢中で踊ったのを覚えている。
昔の社会は、若い男女にそういう機会を与えることで、ソフィスティケートされた社交を身につけさせたのだろうね・・。ダウントン・アビーでも何度か、使用人も参加する舞踏会や、休憩中のダンス練習なんていうシーンがあったな。シーズン3の最後で、アンナが見事なリールを披露するシーンなど、とても素敵だった。
今、ショパンのマズルカがかかっているけど、これももともと舞曲だ。マズルカやワルツ、スケルツォ、カドリール・・。踊るというのは、人々の心の自然の発露なんだろうな・。
いにしえの世界の、人々の洗練された社交のことを思うと、現代の我々は果たしてどれだけ幸せなのかな、と思うこともある。自由になった分、辛く思えたり、粗野なやりとりをしなければならなかったりして、心をすり減らしながら、人生とはこんなものだろう、と思ったりしているのかも知れない。
アルも時々踊っている。止まり木の上を、ステップ踏みながら左右に体を揺らしていることがある。