キャロル・キング 「つづれおり」より 1971
「遥か遠くの向こう側」みたいな意味らしいです。まだ行ったことはない。でも私はそこを知っている。そこでは寒さや飢えから守ってくれるところ。行けばすぐに甘くて素敵な人生を見つけることができる。。
70年代初めごろの女性歌手、キャロル・キング、カーリー・サイモン、カレン・カーペンターあたりの人たちの曲を聴いていると、これはまた別の歌を紹介するときにも同じことをいうかもしれないけど、そのころの自分が体感した社会―子供のころの身の回りの風景や、彼女たちと近い世代だったはずの、学校の先生方、あるいは親戚、叔父、叔母などのことを思い浮かべたりする。
「つづれおり」のことは、前にLPを買ったと書いたことがあるが、’71年初めごろにリリースされ、その後大ヒットになったアルバムだ。当時は小さかったから当然リアルタイムでは知らない。しかし、なんとなくその頃の街の風景や、テレビを通して伝わってくる社会の様子などを、思い起こすことはできる。あの頃の若い人たちは、やはりこの曲を聴きながら、ああ、新しい音楽だな、と感じていたのだろうな。
いつかは、知っているあの世界にたどり着くことができる、という夢物語は、裏を返せば今、目の前に広がる世界は理想的でない、いつかはそこから去りたい世界だということを意味する。その意味で、この曲にはある種の社会批判のようなメッセージが含まれている、と言えるのかもしれない。まあ、もう少し素直に考えれば、いつの世でも、だれでも、いつかは夢の世界へ、と思っているものなのだろう。。