うさぎくん

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シドニー! ①コアラ純情編②ワラビー熱血編

2023年10月22日 | 本と雑誌
村上春樹 文春文庫2004年
単行本は2001年1月

先日読了した「ノルウェイの森」を書棚にしまおうとして、奥の方をごそごそしていたら、この本が出てきた。どうやら10年前に買って、そのまま読んでいなかったらしい。。

2000年に開催されたシドニー・オリンピックについて、村上春樹氏が現地に出向いてリアルタイムでレポートし、書籍にまとめたもの。もとは雑誌NUMBERの企画らしい。

ウィキによると2000年オリンピックは柔道で田村亮子、井上康生らが金メダルを獲得、マラソンの高橋尚子も金を取った。野球では松坂が投げ、サッカーは中田が参加したもののベスト8で敗退した。
のだそうだが、しょうじき個人としては全く覚えていない。。当時はおしごとで日々悶絶していたのだ。そういえばその頃、徹夜して翌日の午後まで働いてた事あったな。

村上氏はアスリートでもあるので、新種目トライアスロンやマラソンなどを中心に観戦している。また、犬伏孝行とコーチの河野監督、有森裕子(シドニーには女子マラソンの解説者として現地に出向いた)へのインタビューが挿入されている。

村上氏自身は今日のオリンピックの商業主義的な側面に違和感を感じていたようだ。開会式も途中退席し、スポンサーを巡る色々の圧力等についても揶揄するような記述がみられる。
他方、アスリートたちが眼前で繰り広げるドラマに触れ、言葉にできない何か「心に突き刺さる印象」を受けたとも書いている。

前述のように僕はもう23年前のオリンピックのことを覚えてない(というか当時もテレビ等を見てなかったかもしれない)ので、読んでいても当時のアスリートの活躍を想い起こすことはない。当時は説明をせずに済んだ周知の事実も、今読むとわからない部分もある。
もっとも、村上氏の記述も半分はふだんの紀行文みたいな記述が多く、その辺を読み飛ばしても楽しめる。

スポーツドキュメンタリー的な要素はマラソンやトライアスロンの選手に関する記述に集約される。村上氏は優れた解説者となって、アスリートの心情や大会に参加し勝利を得ること、または得られないことについて語る。

なにやら古い雑誌のバックナンバーを今読んでいる気がしないでもなかったが、論者が村上氏であることで今読んでも楽しめる作品となっている。。




そういえば東京の五輪はいろいろ残念でしたね。。

開催前は当時の職場がマラソンだかのコースに近かったため、通勤や周辺混雑を心配したりしましたが、事態はそんな心配の斜め上だかなんだかさっぱりわからん状態になり・。

村上氏は現地で見るオリンピックとテレビで見るそれがまったく違う催しに見えたと語っていましたが、結局我々は(見に行ったかどうかは別として)目の前で競技を見ることがほとんどできなかったわけです。

最悪なのは五輪汚職ですが、直前のSNSで開催反対の書き込みやら、アスリートに参加見合わせを表明せよというメッセージやらが飛び交ったことにも辟易させられました。

2000年の時点でも村上氏はオリンピックの商業主義を批判していますが、いずれ何とかせんといけないでしょうな。札幌が冬季五輪招致を断念したのは、残念なのではなく東京の教訓がうまく生かされたと言えんこともない気がします。
それにしても、AUSは2032に年にまたオリンピック、やるらしいですね(ブリスベン)。
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