在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”トゥデーリ 2003” テヌーテ・デットーリ

2008-01-15 00:33:21 | Sardegna サルデニア
“Tuderi 2003” Tenute Dettori -Sardegna
今、日本でも話題のデットーリのワイン。
生産者のアレッサンドロ氏は素晴らしい人物だと思う。
記念すべき日(と言っても、ただの誕生日)に、あるレストラン(正確にはトラットリア)へ行った。初めてのところで、行ってみると、壁には、ずらっと、なかなか良いワインが並べてある。
こちらの誕生日は、奢ってもらえない。誕生日を迎える人がみんなに奢るのである。だから、値段ほどほど、でも、これという日に飲みたいワイン、これという日に飲んだ!と思い出したくなるワインはないか、と探していたら、あった。嬉しいことに、レストランなのに、エノテカ(酒屋)で買う値段とほとんど変わらない。(信じられない!)
で、即、注文。
幸せである。自分の年齢を考えると悲しさが過ぎるが。。。それに、好きなら買って自分の家で飲めばいいじゃん!と思わなくもないが、レストランで、人の作った美味しい料理と一緒に好きなワインを飲めるというのは幸せである。

品種はカンノナウ100%。
色がきれい。レストランの、上からのスポットに照らされ、それは美しい色合いである。ノンフィルターワインの為、やや曇りがあるが、最初はほとんど透明で、赤くきれいなプルーン(Santa Rosa種)の色。だんだんと細かい粒子が増えてきて、透明感がなくなり、グラスの中で、何とも言えない深い色合いを呈してくる。(とても魅力的なマニキュアの色のよう。。)
香りは、自然と太陽と海と土とアレッサンドロ。熟した小さな木の実、スパイス、花、血、こころもち野菜、梅とシソなどなど。奥行のある、実に魅力的な香り。
口に含むと、フルーツの香りなどがふわっと広がり、次にアルコールが出てきて、サルデニアの暑い夏を感じさせる。そこに、酸がきれいにハーモニーをなし、優しい後味がきれいに残る。木イチゴの香りがふっと出てくる。
14.5%のアルコールとは思えない優しさ。骨があり、主張があり、しかし、人を思いやる心をもった魅力的な男性のようなワイン。ワインは造る人に似るのだろう。

余談だが、こういうワインを飲むと、「年鑑本の評価」なんてどうでも良いと思えてくる。イタリアで、彼のワインに最高の評価をつける団体はもちろんあるが、絶対に最高評価をつけない団体もあるからである。