在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

モンテプルチャーノ・ダブルッツォ DOC/コッリーネ・テラマーネ DOCG

2008-01-16 07:48:36 | イタリア・ワインABC
Montepulciano d’Abruzzo DOC
Montepulciano d’Abruzzo Colline Teramane DOCG -Abruzzo

モンテプルチャーノは、このところ、ちょっと注目されている品種である。
DOCだったのが、一部、切り離されてDOCGに変わり、生産者も今とばかりに宣伝に力を入れている。
ところで、モンテプルチャーノと言うと、トスカーナにあるヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノの産地、モンテプルチャーノを思い浮かべることの方が先ではないかと思う。ややこしいが、同じ名前でも、一つは村の名前、もう一つは品種の名前である。何も同じ名前にしなくても良いのではないかと思うが。。
ワインの方のモンテプルチャーノ、略してヴィーノ・ノービレと呼ぶが、これは、サンジョヴェーゼ(地元の名前でプルニョーロ・ジャンティーレ)を使うので、品種のモンテプルチャーノは関係がない。
品種のモンテプルチャーノは、アブルッツォ州を代表する品種で、トスカーナとはあまり縁がない。しかし、もともと、モンテプルチャーノからもたらされた品種だ、という説があり、その辺からモンテプルチャーノという名前が付いたとも言われている。
その時、もうちょっと考えて、違う名前にしてくれたら良かったのに。

① DOCの方の規定から。
赤とチェラスオーロ(ロゼ)がある。
モンテプルチャーノの使用、最低85%。
・ ロッソRosso 最低アルコール度12%、翌年の3月1日以降販売できる。熟成期間が2年以上(うち9か月は木樽)になるとリゼルヴァRiserva(アルコール12.5%以上)と名乗れる。
・ チェラスオーロCerasuolo チェラスオーロはサクランボの一種。その色、香りに似ているという感じで付けられ。最低アルコール度12%。翌年の1月1日以降販売できる。

ソットゾーナsottozona(さらにこまかい特定の地域)が二つある。
・ “Casauria o Terre di Casauria“ モンテプルチャーノの使用100%。最低アルコール度13%。最低熟成期間18か月(うち9か月木樽)、リゼルヴァはアルコール13.5%以上、30か月以上(うち9か月木樽)。どちらも6カ月以上のボトル熟成。
・ “Terre dei Vestini” アルコールのみが違って、最低12.5%。リゼルヴァで13%以上。他の規定は同じ。

② DOCGの規定
名前の通り、アブルッツォ州の北部にあるテーラモ周辺のもので、DOCの範囲からみるととても小さい。そして、当然規定を満たしているものを指す。
赤のみでチェラスオーロはない。
モンテプルチャーノを最低90%使用のこと。サンジョヴェーセを10%まで加えても良い。
最低アルコール度は12.5%。最低熟成期間は11月1日から起算して2年(うち木樽は1年以上)。リゼルヴァは3年(うち木樽は1年以上)。6カ月以上のボトル熟成。

モンテプルチャーノと言うと、何といってもトップはヴァレンティーニValentiniであろう。
右に出るものはいないと思う。最近はすっかり有名になったワイナリー、エミディオ・ペペEmidio Pepeもモンテプルチャーノを造っているワイナリーである。イタリアン・ビオの代表選手の一人で、今だに足踏みでワインを造っているのと、熟成をすべてボトルで行ってしまうというのが特徴的な、実に面白いワイナリーである。
他、優良な大手というと筆頭はマシャレッリmasciarelliだろう。やや面白みには欠けるが、良くできている。