2010年度 110冊目
『趣味は読書。』
斎藤美奈子 著
文芸評論家。1956年新潟市生まれ。成城大学経済学部卒。文芸作品から社会事象までを対象に幅広い評論活動を展開中。
『文章読本さん江』(筑摩書房)で、第1回小林秀雄賞受賞(2002年)。
他の著書に『妊娠小説』『紅一点論』(以上、ちくま文庫)、『男性誌探訪』『誤読日記』(朝日新聞社)、『読者は踊る』『モダンガール論』『あほらし屋の鐘が鳴る』(以上、文春文庫)、『文壇アイドル論』 『戦下のレシピ―太平洋戦争下の食を知る』(以上、岩波書店)、『趣味は読書。』『物は言いよう』(以上、平凡社)『文学的商品学』(紀伊國屋書店)など。
平凡社
2003年
368ページ 1429円
斎藤美奈子さんは以前『冠婚葬祭のひみつ』を楽しんだことがある。『趣味は読書。』は、斎藤美奈子さんとしては二冊目。
はっきり言って、お腹がよじれるくらい面白かった。この方の感覚は鋭い。随所随所で大笑いしながら読み進む。斎藤美奈子さんが自分の考えに近く、代弁して下さる感がたまらなくありがたい。
例えば
『光に向かって100の花束』11「短期を治す秘策」では〈かんしゃくの、くの字を捨てて、ただ感謝〉について、
おわかりいただけましたか。
ヤマなし、オチなし、イミなし、ヒネリなし、センスなし。・・・・・・
「いまのは見なかったことにしよう」とかんがえそうだ。
と、こうくる。こういった本や教訓が好きな人たちが多いこの国で子の発言は素晴らしい。著者の感覚は研ぎすまされている。こういった感覚で本に限らず夜の下かをなめくり回すのはさぞかし楽しいだろうし、体力、心労も並大抵のものではないだろう。一見大胆発言に感じられるが、カノジョの繊細な感覚の襞の振動がこちらに伝わってくるようだ。
最後に書かれていた売れる本の条件はまさにその通りだと感じた。斎藤美奈子さんは素晴らしい感受性の主で、同時に天才だと感じた。あえて軽快に書かれているが、彼女はすごい!
趣味は読書。
小林秀雄賞受賞第1作!
読まず嫌いのあなたのためのベストセラーガイド!!
ベストセラーなのに、読んでいる人が周りにほとんどいないのはなぜか?
今まで誰もが気づきながら口にしなかった出版界最大の謎に、
気鋭の文芸評論家が挑む!
≪本、ないしは読書する人について≫
ベストセラーの読者はどこにいる?
本書は一九九七年七月から二〇〇二年一〇月まで、三年あまりにわたって
四十数冊のベストセラーを読み継いできた記録である。そもそものきっかけは、
ベストセラーといわれている本を読んでいる人が私の周囲にはほとんどいないことだった。
「あのう、『大河の一滴』って読みました?」
「あるのは知ってるけど、読んでませんよ、そんなもの」
「でも、あれだけ売れてるんですよ、何が書いてあるんでしょう」みなさん気にはしつつも、
時間とお金を割いてまでは読みたくないと口をそろえる。
それならば、と考えた。お忙しいみなさまにかわって、私がお読みいたしましょう。
いわば「読書代行業」である。
ところが、代行業(連載)がスタートしてまもなく、妙なことに気がついた。
未読者、未読のくせに、未読の本の内容をけっこう知っていたりするのである。
「ああ、『鉄道員』ね。はいはい。・・・・・って話でしょ」
未読なだけに、彼らが語る物語の内容は当たらずといえども遠からず、
いや遠からずといえども当たらずというべきか、
ともかくズレているのだが、ズレてるなりに知っているのが不思議である。
あるいは未読者、未読のくせに、未読の本の評価を勝手に決めてかかるのである。
「あの本は放置しちゃまずいでしょう。ひどい本ですよ。読んでないど」
批判なら一応読んでからするのが筋だと思うのだけれども、
「読まなくてもわかる」「読むに値しない」とニベもない。
あなたは透視能力者か、である。
読みたくない。読まなくてもわかる。読むに値しない。
こうしたベストセラー軽視の風潮はしかし、読書人の間に広くあまねく
共有されているといえるだろう。
(本書本文より抜粋)
■目次
1 読書の王道は現代の古老が語る「ありがたい人生訓である」
『大河の一滴』五木寛之
『日本語練習帳』大野晋
『倚りかからず』茨木のり子他
2 究極の癒し本は「寂しいお父さんに」効く物語だった
『子どもにウケる科学手品77』後藤道夫
『鉄道員』浅田次郎
『銀座ママが教える「できる男」「できない男」の見分け方
ますいさくら他
3 タレントの告白本は「以外に売れない」という事実
『密の味』叶恭子
『「みにくいあひるの子」はだったわたし』梅宮アンナ他
4 見慣れた素材、古い素材もラベルを換えればまだイケる
『買ってはいけない』
『国民の歴史』西尾幹二
『「捨てる!」技術』辰巳渚他
5 大人の本は「中学生むけ」につくるとちょうどいい
『LOVE論』つんく
『iモード事件』松永真理他
6 ものすごく売れる本はゆるい、明るい、衛生無害
『チーズはどこへ消えた?』S・ジョンソン
『声に出して読みたい日本語』齋藤孝他
一度でいいから言ってみたい・・・^±^
「じゃあ、言えばいいじゃん!」(゜Д゜)ノ
「趣味は読書!」
「うそつけ!」(゜Д゜)ノx±x・・・イツモコウヤッテナグラレルンダモノナア
「趣味は読書」・・・。
これがいえたのは小学生まででしたよ^^
そもそも私の趣味って何なのだろうって考えると、沈しちゃいそう(爆)無趣味ですね。いやぁあ!困った、まいりました。
楽しいこと、好きなことが趣味という生き方ってあんちょこだけど楽しいですね^^好きなことや興味があることが多い生き方をしていて良かったなと感じます。
ところで本書は読者&ベストセラー&著者そのものを上手くつついてくれていて、面白かったです。矢沢永吉さんや石原慎太郎さん等の記述は爆笑ものでした。斎藤美奈子さんは女性から見て好きな物書きかもしれない。思った方向のちくりと聞いた内容で、楽しい時間を過ごせました。(ばんざ~い^^)