乱鳥の書きなぐり

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『近松浄瑠璃 下』(岩波 日本古典文学大系 赤)より『出世景清』近松門左衛門  言ひもあへず差し添え抜き両の目玉を繰り出し。云々

2019-04-03 | 近松門左衛門
 大神神社(三輪神社)  『三輪』



 『近松浄瑠璃 下』(岩波 日本古典文学大系 赤)より『出世景清』近松門左衛門 



『近松浄瑠璃 下』(岩波 日本古典文学大系 赤)より『出世景清』を読む。

 近松作品は世話物といったイメージで定着している場合が多いが、実際には時代物を多く書いている。

 浄瑠璃という芸能の性格上、史実を行くに作られた作品は作者のデフォルメがあったとしても歴史を世に伝えるという役割を持ったとと解説に記されていた。

 浄瑠璃の戯曲に携わる近松はそういった信念のもとに、時代物の作品多く描いたのであろう。

 今回読んだ『出世景清』も時代物の一つ。

 よって近松作品は、皆に知らしめるといった役割を考えて作った作品とのことで、黙読するよりも音読が好ましいそうだ。

 私は解説に従って、浄瑠璃の義太夫風にではなく、歌舞伎風の義太夫風や役者風に抑揚をつけて読み進めた。

 とはいえ、途中で頭注を読んだり前に戻ったりで、なかなか芝居らしくはいかないところがまた面白い。

 古典文学も、こういった楽しみ方があってもいいなと常々感じる。


『出世景清』で面白いのが、第5章。


  …とにかく、この両岸があるゆえ。
 
  …言ひもあへず差し添え抜き両の目玉を繰り出し。

  御前に差し出しあげて…

  頼朝御感あり前代未聞の侍かな。…

  …末世に忠を尽くすべき仁義の勇士武士の手本は景清と。

  ………………

  …日向の国を本領し悦び退出す。

  ………………万歳をぞ唱えける。


 忠義と言いながらも国をもらい、喜びを隠す世間体もなんのその、いそいそと乳がに向かう人間らしい景清を描く近松でかした、あっぱれじゃ!

 これが近松と鳥、にんまりと笑う。












 以下はウィキペディアより ▼
 『出世景清』(しゅっせ かげきよ)は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃の演目。貞享2年 (1685) 大坂竹本座初演。全五段、時代物。のちに歌舞伎化された。

概要
 幸若舞(https://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/s/幸若舞  幸若舞関係記録)の『景清』を下敷きとし、平家滅亡後も生き延びて源頼朝を討ち滅ぼそうとする悪七兵衛景清の苦悩を描く。
 それまでは宇治加賀掾に作品を提供していた近松が初めて竹本義太夫のために書いた作品である。

 貞享2年(1685年)、大坂の竹本義太夫と京の加賀掾が大坂道頓堀で競演したが、井原西鶴が加賀掾のために『暦』『凱陣八嶋』の2作品を書いたのに対し、義太夫は『賢女の手習幷新暦』と近松の新作『出世景清』で対抗した。

 景清は『平家物語』や能楽、幸若舞でも取り上げられた題材であったが、近松はそこから悲劇的な葛藤をとりだして、人間性豊かなドラマに仕立てたと評価される。

 本作は義太夫節の創始と位置づけられる画期的なもので、それまでの浄瑠璃を「古浄瑠璃」、以後を「当流浄瑠璃」とよぶ。
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