2010年度 96冊目
『夜のミッキー・マウス』
谷川俊太郎 著
新潮社
2003/09/25
107ページ 1,575円
『夜のミッキー・マウス』というタイトルをみて、谷川俊太郎さんも離れている間にそういったかとほくそ笑む。
『夜の 』といえばセンダックや『真夜中の 』の木村泰子を思べ、好感がもてるがあとにミッキー・マウスがつくとやたら気恥ずかしい。
しかし詩を読み進むと谷川俊太郎惨らしい言葉遊ぶが感じられる。
中でも「よげん」は仮名が並び、まるで呪文のようで好きだった。
よげん
きはきられるだろう
くさはかられるだろう
むしはおわれ
けものはほふられ
うみはうめたてられ
まちはあてどなくひろがり
こどもはてなずけられるだろう
そらはけがされるだろう
つちはけずられるだろう
やまはくずれ
かわはかくされ
みちはからみあい
ひはいよいよもえさかり
とりははねをむしられるだろう
そしてなおひとはいきるだろう
かたりつづけることばにまどわされ
いろあざやかなまぼろしにめをくらまされ
たがいにくちまねをしながら
あいをささやくだろう
はだかのからだで
はだかのこころをかくしながら
新潮社 ▼
谷川俊太郎 著
この上ない言葉たちが誘う、この上ない世界とのかかわり方。新たな新鮮な詩集の誕生。
買っておけばよかったと思うものは多くはない もっと話したかったと思う人は五本の指に足らない 味わい損ねたんじゃないかと思うものはひとつだけ それは美食に渇きつつ気おくれするこのぼく自身の人生――意外な表情のミッキーや鉄腕アトムに出会い、世界と交合し、魂の彷徨を尾行する。書下ろしを含む、単行本未収録の29編収録の最新詩集。
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