2016/04/12
「霧の朝かけ声大きく躱しけり(どの人も声交はし行く朝の霧/後藤みさ緒)」
「聞き違い咎められし余寒かな(聞き違ひ咎められたる余寒かな/相馬靖秧)」
「アネモネや壁に掛りし能面(アネモネや能面壁に掲げられ/野上浩志)」
「足裏のはしゃぐ素足の五月かな(足裏の草のはしやいで五月かな/松川茂子)」
「蟷螂をぱくりと食ひし緋鯉かな(蟷螂をひと呑みにして真鯉かな/北川順一)」
「天高し九匹の母の乳房かな(秋天や九匹産みし豚の乳/植松順子)」
「籠を編む指の捌きや竹の春(爽涼や竹籠を編む指捌き/広瀬高志)」
「草ふかき墓参の小道露けしや(露けしや墓参の道の草ふかく/片桐傳一郎)」
「万緑に溶け込む列車木曽路かな(万緑に列車溶けゆく木曽路かな/村上禮之助)」
「海の涯一直線の寒さかな(水平線一直線の寒さかな/山内彰)」
2016/04/12
「てらてらとシャガの葉の照る丘ありき反抗期のわが砦でありき(鳥海明子)」
「アヤメ科の帰化植物で白い花橙と紫の斑のありき
(花言葉:私を認めて、反抗)」
「シャガなるは漢字の射干を音写せし学名にてはIris Japonicaという
(花が六弁あるが三弁に模様がある。雄しべと雌しべだろうか?
射干=著莪・胡蝶花とも書く)」
「たらの芽の天ぷらの味うまいとか食べてみたけれいざスーパーへ
(『たらの芽の天ぷら』)」
「多羅の芽の十や二十や何峠(石田波郷)」
「たらの芽や結城のたより聞こえざる(子規)」