2016/04/26
「闇深し牡丹焚く火のゆれやまず(牡丹焚く火のゆれやまぬ真闇かな/綿引知子)」
「玄関の三和土タタキの上の落し文(拾へとて三和土の上の落し文/池田秀昌)」
「冬の空繊刀の月天空に(繊刀の月を仰げる寒夜かな/秀島和子)」
「思ひ出の駅のカンナの過ぎゆけり(若き日のカンナ咲く駅過ぎゆけり/谷口咲恵)」
「過ぎし日の桜貝出づ小引出し(過ぎし日の須磨に拾いし桜貝/松本桂子)」
「豆拾う子等も嫁ぎぬ追儺の夜(豆拾ふ子ら居りしころ追儺の夜/岡田好男)」
「コスモスをこころのなかの友と見る(友在りし日野コスモスの揺れてをり/青木朋子)」
「忘れな草名前にひかれまいた花(ゆかしきて忘れな草を蒔きし日よ/金井美智子)」
「人生は恥の連続羽抜鶏(人生は恥かくことか羽抜鶏/堺英輔)」
「いかなごを生きるあかしと炊きにけり(生きてゐるあかしいかなご炊くことも/渡瀬静子)」
2016/04/26
「ケマンソウあなたとともに歩みきし金婚式の朝を咲きたり(鳥海明子)」
「ケマンソウ提灯いくつもぶら下げた変な花なり桃色に咲く
(花言葉:あなたについていく)」
「霜くすべ蚕のために桑の葉を霜から守る農作業なり(『霜くすべ』)」
「霜が降るそんな夜には桑畑焚き火をしては霜害防ぐ(青芝や籾殻を焚く)」
「真夜なかの桑の月夜へ霜くすべ(長谷川素逝)」
「霜燻べ河港はひたにしづまりて製(飯田蛇笏)」
「霜くすべ女つぶやくがごと去りぬ(寿一)」