上里隆史さんの新刊、読了しました~!
今回は特にこれまでとは一味違った興味深い1冊。
『新聞投稿に見る百年前の沖縄』
(原書房)
沖縄の大正時代の人々に焦点を当てた本です。
それも、実に生々しい大正の人々の姿、暮らし。
それもそのはず。
これは当時の琉球新報(※現在の琉球新報とは別)の
読者投稿欄〔読者倶楽部〕に寄せられた
数々の投稿をそのまま紹介したものだから。
しっかし、今の感覚ではびっくりの内容続出です。
こんな事、公の新聞に載せるの!?
というものも満載(笑)
まじめな恋愛相談や人生相談、
提案や質問などは分かりますが、
超プライベートな内容やどーでもいい話、しょーもない主張
他人の暴露話、噂話、はては誹謗中傷のようなものまで(笑)
「婚礼前に浮気して妊娠」
「結婚したい男がいない」
「村の男と密通」
「理髪やの色ガキ」
「不良少年のイタズラ」
「僕の失敗談」
現在のSNS、ネット掲示板そのものです!
中には〔読者倶楽部〕係りの人やほかの読者からの
返信があったりして、そのやりとりも面白い。
「ボツにしないでください」
「ふられた腹いせに…」
「成績がよくなるには」
しかしさすがは大正時代。
沖縄といえども、どこからともなく大正浪漫の香りも。
ハイカラという言葉がとびかい、
当時は最先端であったであろう外来語を使して語られる
文章はツボすぎました。
「パピーなイエンゲージ」
「エグジャムをヲバーしてヒマ」
「男をチャームせしめる女」
うーん、流行らせたいですね(笑)
もちろん、詩的な抒情的な文章もあったりして、
当時の沖縄の景色や空気感を感じることもできます。
「日記の一節から」
「友を惜しんで琉歌」
「夕暮れ時の勝連城」
「満月にさそわれて」
大正時代の面白さや人々や町の様子は
上里さんのこれまでの本やブログ、ツイッターなどでも
たびたび紹介されていましたが
この本では断片ではなく、
まとまった状態で見ることができるので
大正時代の人々や暮らしの全体像が見えてきます。
元が投稿欄だっただけに
文章も短くそれぞれが独立しているので
気軽に読める1冊です。
一味違った沖縄の大正浪漫、
いかがですか?