がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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月光の按司ガサシワカチャラin久米島【前編】

2017年10月06日 | ・現代版組踊レポ

ブログ更新、
だいぶ間が空いてしまいました

お久しぶりです

表の仕事と裏のシゴトが
Wで繁忙(追い込み)期に入り
ブログまで手が回りませんでした
(ツイッターは基本毎日なにかしら呟いてます)

10月はすこしづつ
落ち着いていく(はず)なので
また更新頑張りますので
お付き合いくださいm(_ _)m
(ネタも溜まりまくり!)

 

さて、そんな中ではありましたが、
先週、

 

久米島に行ってきました。

 

久米島は以前も行ったことがあるので
2回目になります。

急きょ決まった久米島旅、
旅の目的は…

 

現代版組踊
ガサシワカチャラ公演!

 

まだ本公演は見たことがなかった
この舞台。
(アトラクションはあるけど)

以前、
那覇に来てた時に行く予定だったのに
ぎっくり腰で断念してたこの舞台。

本島での公演でもないし
長期休み中でもないので、
いつもなら次の機会に…
となる所ですが、
今回は色々とワケがあって、

 

…よし!もう行っちゃえ!

 

となりました。

(夏に行く予定だった離島旅行が
台風でダメになったから、
というのも決行理由の一つ)

 

琉球歴女弟子・澪之助も誘って
いざ、
久米島の旅(ggain)にレッツゴー

 

久米島史跡記事もまた少し
UPしていくと思いますが、

その前に、
旅の目的であったこちらから!

 

 

 

 

月光の按司 ガサシワカチャラ

2017年9月30日(土)

久米島町具志川改善センター

 

 

昼と、特別に夜もと、
両方観劇させてもらいました!

 

主人公は久米島のパーフェクトヒーロー
笠末若茶良(ガサシワカチャラ)。

彼については
何度か記事にしたこともあるのですが
(→   
簡単に書くと
イケメンで、心優しくて、
強くて、人望もあって、
独身で(これ案外大事、だって若いってことだから(笑))
神にも祝福されている…
という人。

 

時は15世紀前後、久米島を統治していた
伊敷索(ちなは)按司の息子で
側室腹の3男として誕生。

登武那覇(とんなは)グスクを任され
一按司として活躍しますが、
その人気を父に疎まれ、
ついに父に討たれてしまう…


という久米島の歴史を題材にした舞台。

 

(現代版組踊は歴史劇なので、
観劇前にこのような歴史ベースや
あらすじや登場人物などを
ざっくり頭に入れておくのが吉!)

 



↑これは前の久米島旅の際に作ったやつ。
(クリックで拡大します)

 

このような歴史で
いわば悪役になっている伊敷索按司、
つまりワカチャラのお父ちゃんが
単なる勧善懲悪の悪役ではなく、
彼なりの正義があってほしいなと
ぼんやりと思っていたのです、

 

が、

 

今回の舞台、

完全にお父ちゃんにヤラれました…

 

ワカチャラは文句なき正義であり
完璧な主人公であるから
ある程度想像はついたのですが、

お父ちゃんがこう来るとは
正直、予想以上でした。

 

久米島の歴史全くのゼロ知識で見た人は
もしかしたらそれほどでもないのかもしれないけど、

歴史のベースを頭に入れていた私は
各登場人物についてもその印象があっただけに、
それとの比較というか、ギャップと言うか、
いい意味での驚きと意外性があり、

 

まずは脚本の良さにノックアウト

 

でした。

蔵當さんブラボー!

 

 

 

側室腹でも息子を愛する父の姿、
神託でワカチャラが後継者と言われた時の複雑な心境、
正妃やその息子たちとの板挟み、
久米島の統治者としての責任と葛藤、
そして覚悟。

おそらく一番演技力がいる、
物語の要となる人物、立ち位置だったんじゃないかと。

 

歴史の通り、
お父ちゃんはワカチャラを攻めるのですが、
驚く彼に対して、
首里からの命令だという本当の動機を隠し、

"わしや兄たちを差し置いて
久米島を乗っ取ろうとした"

と言ったのが1番
「ほほうっ!?」
ってひっかかった。

なぜここで本心を隠す必要があったのか
なぜ憎まれ役を買うような物言いをしたのか、

ここにお父ちゃんの全てがある

と思いました。

 

ここは舞台を繰り返し見るごとに
より咀嚼でき、
見方を深めることができそうだなと思いました。

結局はのちに本心を明かすのですが、
そこで垣間見れる按司としての伊敷索と
父としての伊敷索がぶつかりあって
(このシーンは父>按司だけど)
彼らの強さも弱さも、
そして父子の愛も魅せてくれました!

母子の愛はこれまでたくさんあったけど
父子ってのは新鮮で、
母子とは違うものがありますよね。

泣けるゼ父ちゃん…。

 

こういうの好物だ… (*´﹃`*)

 

 

 

というわけで、
伊敷索按司(お父ちゃん)は紛れもなく
久米島の英雄、ヒーローだ!

 

 

久米島の人の心には、
一人の英雄が生きている。

 

いや!一人じゃない!
二人だ!!

ビバ!お父ちゃん!

 

 

+ + +

 

主人公のワカチャラももちろん素晴らしかったです。

今回はメンバー全員が女の子!

ワカチャラもお父ちゃんも演者さん全員女の子
だったのですが、
女の子だという違和感は全くなく、
かっこよくて、勇ましくて、きれいでした。

 

ワカチャラ関係で印象的だったのは、

まずは神託が下って民に演説する所。

 

太陽は(自分ではなく)民たちだ。
私はその太陽の光を受けて輝く月だ

と。

なるほど、上手いこと言うな、と感心(笑)

 

2つめが粟国島に追放された母を想うシーン。

「北山の風」の乙樽と丘春のシーンと
ちょっと似てるかな。

久米島と粟国島、遠く離れた場所で
それぞれを想い語り合うシーン。

これはもう、鉄板ですね。

その前に演じられた父子の愛とは
やっぱりまた違ったしっとりさと哀愁があって
聴衆の涙を誘っていました。

 

 

3つ目が死ぬシーン。

主人公の死ぬシーンは
現代版組踊の名物でもありますが、

こ、これはベスト3入りですね!

音楽と、女性アンサンブルと、演者さんとの
掛け合いがお見事でした!

特に女サンの床をドンドンする、
間際のクレッシェンドが好き!!

 

うおぉぉ……

 

という息をのむ圧巻の死にざまに加えて、
クメジマボタルのシーン!

ああ、綺麗すぎて泣ける…

 

ちなみに死にざまベスト3の残りは
「百十~MOMOTO~」の賢雄と、
「オヤケアカハチ」のアカハチ。

阿麻和利ももちろん好きですが、
あれは死にざまというよりは昇天。

番外編として、
鬼鷲の攀安知の狂い死に。
(ただし演者さんや公演による)

 

そういえば、
この時のワカチャラを攻める伊敷索軍の旗紋、
松に波って本当の伊敷索の紋??

でも松は本土の松紋の表現だったし、
舞台のオリジナルなのかなー?

家紋フリークの私としては
かなり気になりました(*・ω・*)

 

 

+ + +

 

 

どうやら長くなりそうなので、
いったんここで区切ります。

 

後編へ続く!


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