商店街を通り抜けると大勢の母親たちが
ため息をついてる。
ついに知らせがやってきたんだ。
「あと5年間しかない、
泣くことしか残されていない」
知らせに来た男は僕たちに告げて泣いた。
「地球はもう死んでしまった」
泣きじゃくった彼の顔は
涙で覆われている。
どうやら嘘ではないらしい。
電話の音、オペラハウス、大好きなメロディ
少年たち、オモチャ、アイロンやTV
そんなもので一杯で
ボクの脳ミソは倉庫みたいにボロだから
空いたスペースはもうないんだけど
とりあえず、そこらじゅうのたくさんのことを
頭に押し込んだ。
太ってたりやせてたりする人々、
のっぽやチビの人々、
有名な人々や無名な人々も全員だ。
今まではそんなにたくさんの人たちが必要だなんて
全く思ってはいなかったよ。
ボクと同じ年頃の少女が、気がふれたのか、
ちっちゃな子どもたちを叩いてる。
もし、黒人が彼女を止めなかったら
彼女は子どもたちを殺してただろう。
腕のない兵士がキャデラックのタイヤをじっと見つめてる。
警官がひざまずき、牧師の足にキスをしてる。
それを見たゲイがへどを吐いてる。
アイスクリーム屋で冷たいシェイクを飲んでるあなたを見たときの事を思い出す。
微笑んで、元気に手を振るあなたはとても元気そうだった。
この曲で使われることなんて夢にも思ってないだろうな。
寒くて、雨が降ってて、ボクは役者のような気分だ。
ママのことを思い出すと家に帰りたくなった。
あなたの顔、あなたの一族、あなたの話し方、
あなたにキスをしよう。
あなたは美しい。
あなたに歩いていてほしいんだ。
5年間だけだ。さあ、目に焼き付けておこう。
5年間しかない。なんてことだ!
5年間なんだ。頭がイカレそうだ。
5年間。僕らに残されたのはそれだけなんだ・・・。
―――――
アルバム「ジギー・スターダスト」を聴いたとき、オープニングのこの曲に衝撃を受けた。
淡々としたドラムから始まり、
消え入りそうなボウイのボーカル。
「泣いてる・・・」
歌詞の意味はわからなかったけど
そんな気がした。
今は手元に歌詞カードがあるから日本語に訳してみたら、
感じたとおりの内容だった。
今聴いても、背筋がゾクゾクするくらい
いい曲だとおもうよ。