前回紹介した「レット・イット・ビー」が録音されたのは1968年だからポールが26歳のときか・・・。
ポールが14歳のときに母親が亡くなって、それから12年が経ってて、
その間ずっとジョンとのバンド活動にいそしんできたわけだから
なんか考えてみるとビートルズっていうバンドは、単なる音楽が好きな連中が集まって作ったバンドというだけじゃなく、
ジョンやポールからしたら「帰る場所」というか「グループホーム」みたいなところもあったんじゃないかなという気がしてくるね。
ジョンのほうは、と言うと・・・、
16歳で14歳のポールと出会い、その2年後の18歳のときに実母を交通事故で亡くしてしまう。
実際に実母が他界する時期はジョンのほうが遅いんだけど
ジョンはずっと叔母さんに育てられて、実母とはあまり関係が持てなかったらしく、「捨てられた感」をずっと持ってて心の傷は深かった様子だ。
そこらへんでポールとジョンには、母親に対する思いの違いが出てきたんだろう。
それは母について歌ったポールの「レット・イット・ビー」とジョンの「マザー」という曲でまざまざと見せつけられる。
ポールのほうは「母なるマリア」として登場し、母親に「聖母」としてのイメージで自分を守ってくれている印象を持っているのに対し
ジョンのほうは「ボクがあなたを必要なときに、あなたはボクのそばにいてくれなかった・・・」、「ママ、もどってきて!」等々子どものときに言いたかったことをソロになってから歌っており、自分を捨てていった薄情な母親というイメージ。
この違いはすごいね。
単なる時間の長さだけじゃなく、どういう関わり方をしたかで印象がガラリと変わってしまう見本のような感じ。
自分自身を振り返ってみると、
一人息子を持つ父親として、できればポールの母親のように、時間は短くてもしっかりとした信頼関係が築いていくことが肝心なんだろうなあと思うし、
そうでありたいと常に頑張っていこうと改めて心に刻んだエピソードだったよ。