以前、天然更新に関する記事を連載しました。
(こちら☞天然下種更新 側方天然下種更新/上方天然下種更新、天然下種更新 更新対象樹種の類型、天然更新による針広混交林化 広葉樹林化 など)
その時には、あまり触れませんでしたが、森林の伐採後、再造林するにしろ、天然更新を行うにしろ、シカの食害という問題にぶち当たります。
その対策として、シカ捕獲が進められているのですが、そもそもシカって、どんな動物なのか知ることも大切だと思います。
なので、今回はシカについて、少し連載したいと思います。
日本に生息しているホンシュウジカ、キュウシュウシカ、ヤクシカ、エゾシカなどのシカを、総称して「ニホンジカ」といいます。
さらに、ニホンジカだから、日本の固有種のように思いますが、ロシアや中国、朝鮮半島、台湾、ベトナムなどにも分布しており(国外も亜種)、生息環境も落葉樹林から熱帯林、寒帯の草原や湿地帯などにも分布し、多様な環境に適応し、標高約1、800m地点の高地にも生息しているそうです。
日本国内に生息するニホンジカは亜種ですが、生息する地域によって、体長や体重なども異なります。
シカに限らず、恒温動物は「同じ種でも寒冷な地域に生息する個体ほど、体長・体重が大きい。」という法則があり、これをベルクマンの法則といいます。
簡単に言うと、同じ動物でも寒い環境に生息する動物の方が体が大きいということです。
恒温動物は体温を一定に保つため、常に体内で熱を生産しています。
温暖な地域に生息する動物は、体温を維持するため、放熱を十分に行う必要があります(汗をかかないので。)。
そのため、体重あたりの体表面積は大きくするため、小型の方が有利となるそうです。
逆に、寒冷な地域に生息する動物は、放熱は容易ですが、体温を維持するため、放熱を抑える必要があります。
そのため、体重あたりの体表面積を小さくするため、大型であることが有利となるそうです。
ニホンジカの平均的な大きさは、体長130~160cm、体重40~90kgとされていますが、北海道に生息するエゾジカは、体長180cm、体重140kgになる個体もいます。
逆にヤクシカは体重30kgと非常に小型です。
角は雄だけが持っています。
角は毎年3月頃に抜け落ち、4~5月にかけて、袋角が生えた後、9月頃に立派な角として完成します。
角は年齢を重ねると枝数が増加し、3~4年ほどで3尖~4尖になりますが、4尖より多くなることはありません。
毎年、繁殖期(10月頃)には、立派な角となって、雌を巡って、角を突き合わせた争いを行います。
毛色は、夏では茶色~茶褐色の地に白斑が散在する、いわゆる「鹿の子模様」で、冬は灰褐色に変わり白斑も消えてしまいます。
ちなみに、ニホンジカにも全身が真っ白いアルビノ個体もいます。
ニホンジカは、昼夜共に活動しますが、どちらかというと夜行性で、(生息地によりますが、)日中は森林内で休み、早朝や夕方以降から活動します。
草食性で、草や木の葉、木の実、果実などを食べるほか、餌が乏しい冬では、樹皮や落ち葉、菌類なども食べます。
植栽した苗木、イネやトウモロコシなどの農産物や、シイタケやマツタケなども食べるので、今、シカによる農林業被害が大きな問題となっています。
人に慣れた野生のシカが、目の前で草を食べている動画です。
奈良公園のシカではないですよ。
山の中で出会ったシカで、カメラを向けても逃げようとせず、逆に近づいて、横通り抜けて、エサ食べ始めるという、野生失格なヤツです!
最近は、人を恐れず、人に慣れた動物が街中に出没したりします。
このように人を警戒しない、人を恐れない動物を「新世代〇〇」と呼んでいるそうです。
なので、動画のシカは「新世代シカ」ですね。
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