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東北視察③ 宮城県 海岸防災林

2022年05月13日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 東日本大震災により被災した宮城県の海岸防災林の現地を案内いただきました。

 実際に被災地を目の当たりにし、色々な感情がわき起こります。

 現地に赴かないと、分からないことが本当に多いと痛感しました。

 

 今回、案内いただいた現場は、10年前に被災した海岸防災林。

 宮城県では、この海岸防災林を未来に残すため、再び、クロマツを植林し、育林整備に取り組んでおられます。

  👉 みやぎ海岸防災林・森林づくり管理方針について - 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp)

 これらの取り組みが行われていることは知っていましたが、やはり、現地に赴かないと、気づかないことがたくさんありました。

 海岸防災林は、県管理と国管理に分けられ、合計で約1,100haにも及びます。

 ほぼ同時期にクロマツを植栽しているので、この1,100haの海岸防災林を時間差なく、管理し、育林しないといけません。

 

 植栽密度は5,000本/ha。

 一般的に海岸に植栽されるクロマツの本数密度は、10,000本/haとされています。

 これは、樹木の上長成長(上へ上へ伸びる成長)を促すため、密植が勧められています。

 個人的には、10,000本/haは多い、というか、管理する上では大変なので、感覚的には「5,000~7,500本/ha」が良いんじゃないのかなと思っていたので、勝手ながら、今回の現場は裏付けになったような気がしました(^_^;)。

 

 海岸防災林は、宮城県管理だけで約750haもあります。

 ということは、下刈り面積がMAXで750ha。

 この面積だと、東京ドーム約160個分。

 東京ドームの草刈りを160回行う・・・。

 クロマツは、375万本・・・。

 

 一番始めに植栽したエリアでは、初回の本数調整伐(保育間伐)が行われていました。

 1伐3残の列状間伐で、伐採列は汀線(海岸線)と並行になっています。

 個人的な所感として「良いクロマツ林(^o^)」。

 海岸防災林の森林整備は、県の公共事業として発注していますが、見事、その成果が出ている、非常に好印象・好評価のクロマツ林だと思いました。

 課題はあるものの、1つ1つ取り組めば、このクロマツ林が「未来に残せる」イメージしか湧かない(^_^)v。

 

 次回の本数調整伐は、残された3残の真ん中を列状で伐採することになります。

 伐採したクロマツを放置すると、マツ枯れを引き起こすマツノマダラカミキリを誘引する恐れがあるため、伐採したクロマツは全て、持ち出しして、廃棄するとのこと。

 伐採木の搬出に加え、廃棄する費用も莫大・・・。

 これからの本数調整伐に向けて、森林整備の方法や機械化について、参加者同士で議論を交わし、いくつかの案を出せたので、今後の進展に期待が持てそうです(安くはないけど、難しい技術ではないので、出来ると思います)。

 

みやぎ海岸林再生みんなの森林づくり活動について - 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp)

 

 クロマツ林もある程度、成長してきたので、そろそろ防風垣を除去するとのこと。

 全て木製なら世話がないのですが、大きなボルトで組み立てられているので、ボルトを取り除く必要があり、これら撤去作業も大変です。

 この撤去についても、議論を重ね、結果、人力でボルトを外しまくるが、一番低コストで一番早いかもねという話に。

 

 今後の森林整備を進める上で、一番の課題が「クズ処理」。

 展葉が始まったばかりなので、分かりにくいですが、現地では、びっしりとのクズの根が・・・

 この海岸防災林は、盛土した上にクロマツを植栽していて、盛土した土の中にクズの種があり、繁茂したのではないか、と考えられています。

 海岸防災林の再生にあたり、造成の提案は出ていましたが、その土の中に含まれるクズなどの種子が与える悪影響を、誰も想定できなかったのではないかと思います。

 実際、治山工事や林道工事では、このような問題は指摘されています。

 しかし、奥山で行われている工事なので、人目に付かない上、実害を感じないため、特に注目されていません。

 それが、実害がある形で表面化された問題が、この「クズ」です。

 現時点で、海岸防災林を未来に残す上で、一番重要な施業は「クズ処理(つる切り)」だと思います。

 このまま放置すれば、クズはドンドン広がり、クロマツを覆っていきます。

 下刈りだと、地上部しか刈り取れないので、根株を取り除いたり、根株に薬剤処理を施す「つる切り」という施業が必須です。

 本数調整伐で伐られた伐採列とクズの相性は最悪です。

 伐採列に光があたるので、それを求めて、クズが伐採列をズバっと走って行くと思います(というか、すでに走ってます)。

 

 確かに色々な課題を抱えていますが、現状としては、「海岸防災林が未来に残せる」可能性は十分にある、希望ある状況だと感じています。

 これまでの10年間、想像も付かないような苦労があったと思いますが、投資効果は確実に出ていると感じました。

 この海岸防災林が未来に残せるよう、弊社として何が出来るのか、個人として何が出来るのか、考える、向き合う良い機会になりました(マジで、移住か移転を考えてしまう)。

 

 宮城県の海岸防災林の取り組みに関する情報です。

 面白い取り組みが多いので、是非、のぞいてみて下さい。

「みやぎグリーンコーストプロジェクト」始動 - 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp)

「みやぎグリーンコーストプロジェクト」のPR動画公開 - 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp)

 

 Yahooさんも支援されています。

みやぎ沿岸の森プロジェクト - CSR - ヤフー株式会社 (yahoo.co.jp)



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