これまで人工林を観察してきた経験によるお話なので、科学的根拠は乏しいんですが・・・・
スギは、表土流亡が起こるかもしれないエリアを私たちに教えてくれている。と、個人的に思っています。
スギやヒノキなどの針葉樹は、基本的に、樹体の重心を真っ直ぐに保とうとするので、根元が曲がると、幹は根元と逆の方向に曲がる、曲がり返しという現象を起こします。
写真を見ていただくと、お分かりになると思いますが、こういう樹形のスギやヒノキをよく見かけませんか?
根曲がりだけでなく、幹が曲がっても、曲がり返しが起こります。
広葉樹は、光があたる方へ、枝を伸ばし、結果、幹が曲がりますが、針葉樹は基本的に、天に向かって真っ直ぐ伸びる(頂芽優勢)ので、何かしらの原因で幹が曲がったら、曲がり返して、もとの場所に戻る(?)ようになります。
積雪地帯のスギも、何度、雪に倒されても起き上がり、を繰り返し、弧を描く芸術的な樹形になったり・・・
このように針葉樹は、根元や幹が曲がると、再び、重心を真っ直ぐに戻そうとし、曲がり返しを起こすのが、基本的な特徴の1つです。
スギやヒノキの人工林内を歩いていると、一定の場所で根元曲がりが起こっているスギ・ヒノキに出会います。
次の写真に書かれた赤○に注目して下さい。(ちょっと、分かりにくいですね。すみません。。。)
積雪もない地域で、一定のエリアに生えているスギやヒノキが根元が曲がっていたら、もしかすると、「過去に表土が動いた」可能性が考えられます。(ただし、科学的な根拠はございません。。。m(_ _)m)
1本、2本ではなく、一定のエリア内に生えるスギ・ヒノキの根元が曲がっていたら、「なぜ?」と思わずにいられません。
高性能林業機械が普及し、作業道の作設が一般的となった現代の人工林を歩くとき、この根元曲がりエリアを注視すると・・・
比較検証をしたわけでもないので、科学的な根拠はありませんが、表土の移動量が多い傾向にあると感じました。
実際、現場に携わっている方は、どう感じますか?
次の写真は、さっきの写真の少し奥の様子を、反対側から撮影したものです
切土面(作業道の上)が脆弱で、根元曲がりエリアに付けられた道の切土面は、こういう傾向が多いのではないかと・・・。
さらに、作業道作設後に表土が崩れた場所では・・・
崩れた周囲を取り囲む様に根曲がりのスギ達が・・・・。
落ち葉もない石や礫まみれで、明らかに表土が流されているヒノキ人工林でも、根元が曲がっています。
おそらくですが、根の発達が弱い10年生くらいのスギやヒノキは、表土が動いた時に傾いてしまい、その傾きを修正するよう曲がり返しが起こった結果、根元曲がりの樹形になったのではないか・・・・と想像しています。
20年、30年になると、根が発達し、幹も強固になるので、表土が動いたくらいでは、大きく傾かないと思います。
同じく、崩壊した場所の周囲に生えている、根元が曲がっているスギ。
ここの現場は、2020年時点で25年生前後なので、崩壊した後に傾いた可能性もあります。
初回間伐(約10年前)を行った時点での崩壊はなく、作業道を作った後、崩壊したようです。
年輪を見てみると、約15年生までは倒れていなかったと思われます。
斜面下側の年輪が大きく偏り始めたのが8年前なので、8年前に傾いたと考えられます。
崩壊したことで傾いたのか、作業道を付けた直後に傾いたのか、作業道を付ける直前に表土移動が起こり傾いたのか、それは分かりません。。。(作業道の付けた時期を聞けば、分かるんですけどね(^_^;)。)
人工林が成熟期を迎えたと言うことで、皆伐や搬出間伐が進み、作業道の作設も進んでいます。
科学的な根拠は希薄ですが、スギやヒノキの樹形を観察することで、崩壊が起こる可能性があるエリアを特定し、崩壊を回避・リスクヘッジするという方法もあるのではないのかなーと思います。
可能性を見いだす視野が広がれば、
・ここに道を作るのはやめよう。
・ここは皆伐をせず、択伐または間伐にしよう。
・ここは深根性の広葉樹を植えて、崩壊しにくい山に転換しよう。
など、森林づくり・森林管理・資源管理・森林整備の選択肢の幅が広がると思います。
科学的な根拠はなく、あくまで針葉樹の特性とこれまでの観察や経験に基づくものですが、個人的に、指標としては「有り」だと思っています(^_^;)!
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