悪筆で有名なベテラン放送作家がいる。
彼がまだ駆け出しの頃の話だそうだ。
侍が出てくるコントを書いた。
その中にこんなト書きがあったそうだ。
「侍、魚を抜く」
敵と戦う場面で、
刀ではなく魚を抜くのだ。
意味不明だ。
その意味不明さに、
「あいつは天才だ」と評判になったそうだ。
だから彼は言い出せなかった。
本当は「魚」ではなく「刀」と書いていたことを。
彼の悪筆で書かれた「刀」という文字を
みんな「魚」と誤読していたのだ。
それにしても、
どう書いたら「刀」を「魚」と読み間違えられるのか。
山名 宏和
放送作家。古舘プロジェクト所属。1967年生まれ。 ・詳しいプロフィールはコチラ
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