PTA関係でおなじみ、作家の川端裕人さんの新刊です。
本は意外に分厚く、読み応えがありました。
中盤からは、続きが気になるあまり、
ジェットコースターのように読んでしまいました。
『ギャングエイジ』
著:川端裕人
PHP研究所、2011年8月
ギャングエイジとは、Wikipediaによりますと
「排他的な遊び仲間を求める児童期のことを指す。」
そうです。
年頃は、ちょうど小学校3年生あたりから
思春期に入るまで。案外長いんですね。
* * * * *
主人公のてるてる先生は、新卒採用された教師で、
勤務先の都合で、急遽赴任がきまりました。
なにもかも不慣れな中、受け持つのは微妙な年頃、
ギャングエイジの3年生。
しかも、 赴任早々、同じ3年生を受け持つ同僚から
こんな話を聞いてしまいます。
「そう、今年度新3年生になる去年の2年生の担任も新採だった。
けれど、学級崩壊を起こして、彼女自身が不登校になった。」
しかも、てるてる先生が急に採用された訳は、
3年生の受け持ちが決まっていた新採教諭が
新学期直前で、採用を辞退したからだ、ということです。
なんて厳しい状況!
どうするどうなる、てるてる先生!!
舞台は基本的に学校で、
てるてる先生と、3年2組の子どもたちを中心にして
お話が進みます…けれども。
それはもう、山あり谷あり事件あり。
川端さんの小説は、7冊くらい読みましたが、
どれをとってもディテールにこだわりがあり、
読んでいると、ビジュアルがありありと浮かんできます。
授業の描写など、非常に具体的で、
先生はこんな風に授業しているんだ!と
教師という職業を疑似体験しているようです。
そして、登場人物が、読んだ中では、一番多い小説です。
だって、3年2組は30人いるんですもの。
それに、いろんな人が、いろんな立場で関わってきます。
保護者、元PTA会長、地域の人々まで。
ネグレクト(虐待の一種)のエピソードまで入ってきます。
公立学校って、複雑なんだ~・・・。
社会の縮図が投影されているといっても
いいかもしれません。
そして、『PTA再活用論』 を著された川端さんのことです、
しっかり、PTAに関する描写が先生目線で
何カ所か入ってきます。
ああ、そんなことよりも。
熱意あるてるてる先生の頑張りや、カッコイイ校長先生、
なによりも子どもって良いな、と
人に対する希望を持てる、清々しい作品だと思います。