草履で歩きながら考える

笑う門には福来たるで、マイペースでやりたいこと やってみよう♪基本PTAブログですが、日常やがんのことも綴ります。

『剣の天地』(上下巻)池波正太郎:著

2012年04月25日 | 本棚

池波正太郎の時代小説、それもできれば「鬼平」が
読みたくて図書館に行きました。
ですが、鬼平犯科帳は、1・2巻が借りられていたので
かわりに借りてきたのがこれ。 

選定基準は、読み跡が沢山付いていたから(笑)

 

  『剣の天地』 (上下巻)
  著:池波正太郎 
  新潮文庫、2002年1月

 

この物語については、何も知らずに
予備知識無く読みました。

上泉伊勢守秀綱(のちの上泉信綱)という、戦国時代幕開けの
武将の半生記。

伊勢守は、武芸の達人であり、鹿島神流の流れを汲む
“新陰流” を創始、これを柳生の郷へと伝えた兵法家だそうです。

読み始めは、三点リーダー(…)二つ使いの言い差し表現……
の多用に、「あれ?池波さんってこんな文体だっけ?」と
当惑しておりましたが、それに慣れてしまうと
あとはぐいぐい引き込まれました。 

武田信玄、上杉謙信に挟まれた土地に居を構える
上泉伊勢守。
戦国の勢力争いの図を楽しむもよし。

下巻で、上泉伊勢守が兵法家として生きる過程を楽しむもよし。

いきいきと活写された戦闘シーンを脳裏にうかべて楽しむもよし。

わたしは、全編に流れる

  「日本的なもの」

を堪能しました。
すなわち、武芸の境地とは、人の生き様とは、のあたりです。 
脇役の、於富という女性の生き方がまたすさまじい。


それよりなにより、読後感がすばらしく爽快でした。



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