池波正太郎の時代小説、それもできれば「鬼平」が
読みたくて図書館に行きました。
ですが、鬼平犯科帳は、1・2巻が借りられていたので
かわりに借りてきたのがこれ。
選定基準は、読み跡が沢山付いていたから(笑)
『剣の天地』 (上下巻)
著:池波正太郎
新潮文庫、2002年1月
この物語については、何も知らずに
予備知識無く読みました。
上泉伊勢守秀綱(のちの上泉信綱)という、戦国時代幕開けの
武将の半生記。
伊勢守は、武芸の達人であり、鹿島神流の流れを汲む
“新陰流” を創始、これを柳生の郷へと伝えた兵法家だそうです。
読み始めは、三点リーダー(…)二つ使いの言い差し表現……
の多用に、「あれ?池波さんってこんな文体だっけ?」と
当惑しておりましたが、それに慣れてしまうと
あとはぐいぐい引き込まれました。
武田信玄、上杉謙信に挟まれた土地に居を構える
上泉伊勢守。
戦国の勢力争いの図を楽しむもよし。
下巻で、上泉伊勢守が兵法家として生きる過程を楽しむもよし。
いきいきと活写された戦闘シーンを脳裏にうかべて楽しむもよし。
わたしは、全編に流れる
「日本的なもの」
を堪能しました。
すなわち、武芸の境地とは、人の生き様とは、のあたりです。
脇役の、於富という女性の生き方がまたすさまじい。
それよりなにより、読後感がすばらしく爽快でした。
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