福岡県大牟田市 稗方かよこ 介護職 46歳 朝日新聞 2011年9月14日 ひととき
「笑い」が私の元気のもとです。ひと昔前までは「笑いが一番です」などといえば、ただのひょうきん者だと軽くあしらわれていましたが、最近は「笑いの効能を医療に」ということが提唱されるようになり、笑いの地位が格段に上がった感があります。私にとっては喜ばしい限りです。
院内で落語を披露なさるドクターや道化師に扮し闘病中の子どもたちに笑いを届けている方々に陰ながらエールを送っています。
いま介護の仕事をしていますが、一人暮らしのお年寄りの方を訪問すると、ほとんどの方が「何も面白かことは無か。早う死にたか」と言われます。そこで私のおちゃらけな日常を少しお話させて頂きます。
例えば、道端でアリの行列が無事に道路を渡り終えるまで見守っていたら40分もかかってしまったこと、暇そうな猫と目が合ったので瞬きもせずじーっと見ていたら猫の方が照れたように目をそらしたこと---。
すると、お年寄りにフッと笑みがこぼれます。「あんた、毎日楽しかろうね」とおっしゃるので、「はい、泣いても笑っても同じ時間が過ぎるなら、笑ってしまいましょう」と元気よく答えるのです。
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