眠気まなこ
私の家には犬がいる。体重3.5kg、私とは20倍の違いだ。
朝私が起きるとその音が聞こえるのだろう、間無しに自分の部屋のケージから身体を「ブルブル」と振るわす音がする。起きた合図の音だ。背骨を真直ぐに戻すための運動だ。都度この動きをする。
音によるこの合図で近づき「おはよ」と挨拶し、小脇に抱えて戸外に連れ出す。小便と大便を先ずし、そして毛繕い。毛繕いは自分で手が届かない背骨周りの皮膚の血行を良くする毛の串入れ。そして少しの運動。こんな要領で家内を交えて、生き物の三者で一日いちにち生活している。
さて私が犬に近づくと、私の目を見つめて「何をするのか」100%の集中で探ろうとする。ところが私はチョッカイを出すだけ、強いて計ると10%。
「おやつ」が出るのだろうか。体重が自分に乗りかからないだろうか。などと一生懸命に心配する。さらに「ペロペロ」舐めて従順さを示す。「かなわない」と思っているようだ。
こんな間柄でいると、そばを離れる時などになんだか「申し訳ない」と思う。犬に対して私は我が儘。
あるとき家内が近づいて来た。すると私への集中が急に減り10%程度に。食事の世話をしてくれる人へ集中が移動した模様。私のチョッカイはチラと流し目のみ。
「申し訳ない」との気持ちは「まあいいか、これまで通りで」と変化した。