吒枳尼眞天(だきにしんてん)
「神仏分離令」は明治元年に発令されました。そして明治五年に停止されます。これは奈良時代から続いた神仏習合の習慣が禁止されて、神道と仏教とを区別させたことを言います。分離して神道の国教化が図られました。
11月初めに長門市の大寧寺を訪れました。このお寺で、16世紀に守護大名だった大内氏最後の当主が滅ぼされました。このことで私はこのお寺を知っていました。さて、このお寺の脇に稲荷神社があります。豊川稲荷の縁だという。お参りする道に幟があり、「吒枳尼眞天(だきにしんてん)」と書かれていました。
神社で掃除をされている方にこの眞天について尋ねると、「スマホなどで調べて下さい」と優しさがない。縁者がこれでは神社の将来は危うそうだと感じながら離れる。気にはなっており調べると、豊川稲荷のページに曹洞宗の寺院であり、この寺院の禅師の頭上に吒枳尼眞天が現れた。そしてその霊神は稲束を荷ない、手に宝珠を捧げ、白狐に跨って声高らかに真言を唱えていたと。豊川稲荷には心霊である吒枳尼眞天が祀られているとあった。
豊川稲荷の門前に白狐が飾られている謂れを理解できた。大寧寺と豊川稲荷御分霊が同居することは神仏分離に原因があることも理解できる。明治元年に出された神仏分離令を聴いて、お寺はさぞかし驚いたことだろう。私はこの機に、豊川稲荷と白狐そして吒枳尼眞天との繋がりを知ることができた。