朝の散歩から帰ってきた親父が、「糸満でチヌ(黒鯛)が大漁だってよ!」と息をきらせながら言う。
「行かねぇかい。」
「では、行きますか。」
こういうとき、30分後には海で竿を出せるのが沖縄のいいところだ。
一時間で30センチほどの中型が3枚釣れたので、晩飯に勝浦名物チヌ飯を作る。
娘は以前のどに魚の骨が刺さり、通院するほどひどい目に遭ったので、神経質そうに骨の混入の有無をしらべている。おそるおそる箸をつけた後、「これは気に入ったな!」と大人の発言をして親父をよろこばせた。
俺も「どうだすごいだろう、ジジと二人で自然界からぶん捕ってきたんだぞ」と、親ライオンな気持ちになりながら晩飯を食ったらとてもうまかった。
ううん、違う。ライオンの狩りはメスの仕事だったよ。
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