熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
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作品 文章 写真 販売品

平箱の話

2021-05-23 06:40:03 | 文章

5月23日(日)、晴れ。
梅雨の合間でしょうか、やや白っぽい青空です。

先日、平箱の話に触れたところ、Fさんからコメントをいただきました。
それで、良尊駒展示用平箱の考案当時のことを思い出して、少し述べることにします。

良尊駒を収める平箱を設計考案したのは、いつだったか正確には覚えていませんが、30年か、もう少し前のことだったと思います。
そもそも平箱は対局時に実用する箱ではなく、一組の駒すべてをパッと見できる展示用の箱だと思っています。
しかし当時も今もそうですが、一般に出回っているタイプの平箱は、駒の一部を逆さまにしないと収納しきれず、見た目もズングリムックリで中途半端。
その要因は何か?
スペースの無駄の第一は幅5ミリほどで5本ある横桟。それを無くせば縦が2センチほど小さくなる。そう考えました。
さらに一組の駒を1枚も逆さまにすることなく、バランスよく並べるにはどうすればよいかです。
それは横桟を蛇腹式に変えて、歩兵は横に7枚、その他は6枚並べての7段。
余ったスペースには、3枚目の玉将を並べたり、展示用のラベルも置ける。
そうして総ての駒が整列できることを見つけ出したのですが、それは奇しくも「B5サイズ」ピッタリ。これに決めました。

タテヨコが黄金比の「B5サイズ」になって、思わぬ効用が生まれました。
見た目のバランスも良く、遠目で見ても、箱の大きさで自分の駒だとわかることもその一つですが、市販されているB5 サイズ用の封筒や袋にピッタリ納めることができます。

ということで、箱は桐箱屋さんに部材の厚みにもジャストサイズに拘った設計図を渡して作ってもらうのですが、内側の駒を並べる蛇腹式の段は、思うように作ってくれる人はいないので、駒づくりの合間をみて自分で一つ一つ作ります。

なお、注目してほしいのは敷いてある布。駒に近い淡い色を使っています。
以前、大昔のことでしたが、当時、九州にお住いの方から「駒が紫色に染まってしまった。なんとかならないものか」とのお話が有りました。
「どうしたのですか?」と問うと、紫色の布に包んで駒箱に入れておいた駒が紫色になってしまった」ということでした。
重ねて聞くと、その方は駒に油を付けた状態で紫色の布にくるんでいたのだそうで、駒には油漬けは厳禁なのですが、思わぬ危険もあり、それを回避する配慮でもあります。

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