ふと、離れの庇を仰いでびっくりした。
な、なんと!
大スズメバチの巨大な巣がぶら下がっているではないか。
バスケットボールよりはるかにデカイ。
いったい、いつの間に・・・・・
ひと月ほど前までは大工が入っていたけれど
だれも気付かなかった。
数百匹の勤勉なハチが、懸命に作り上げたのだろう、
実に見事な作品である。
しかし、このまま感心しているわけにはいかない。
美術館への客に危険があるし
毎朝庭掃除している妻もあぶない。
幸いなことにすぐ近所に養蜂家がいるので
さっそく頼んで退治してもらう。
午後4時、辺りが薄暗くなったころ
宇宙飛行士のような完全防御服の養蜂家がはしごを上る。
ぼくらは母屋のガラス窓越しに見学。
養蜂家は巨大な巣にむけてスプレーを発射、
ハチたちは怒り狂って彼にむらがる。
なかには向きを変えて
ぼくらの方のガラスに体当たりするのもいて
その怖ろしい形相たるや・・・・・
思わず〈オレじゃないぞー!〉と声を上げてしまう。
それでもさすがにプロの仕事、勝負はあっけなく終わる。
巨大な巣は庇から切り取られ
そのまま袋の中へ・・・・。
その間もつぎつぎと狩猟から戻ってくるハチがいて
養蜂家はそれらをラケットのような道具で叩き落す。
今朝になって脳震盪から目覚めた数匹のハチたちが
巣の在ったあたりをぶんぶん飛び回っている。
かなり怒っている様子なので
しばらくは外に出ないようにしよう。
行く秋を知るや知らずやカンナ燃ゆ やす